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私にとってのチェリーちゃん

季節外れの彼岸花ですが、なにかチェリーちゃんのイメージにしっくりきます。
彼岸花は美しいけれど、全ての部分に毒が含まれているそうです。

私にとってチェリーちゃんは、見つめ続けたら失明してしまう太陽のような存在です。例え目が潰れたとしても見つめるしかない。
初めてチェリーちゃんを見た時、なんだか怖い気がしました。Instagramのフォロワーさんのポストで見ました。それから忘れてしまったのですが、気がついたら朝昼晩チェリーちゃんのことばかり考えるようになっていました。夜もよく眠れなくなってしまい…虜になるってこういうことなんでしょうか。

その当時はフリマサイトで定価の倍くらいでした。(Dollybird受注生産のmashumaroチェリーちゃん)
これまでドールに出したことのないような値段でしたが、眠れなくちゃあ困るので、清水の舞台から飛び降りる気持ちで買いました。そうしてmashumaroチェリーちゃんは我が家にやってきました。
あの時、『指輪物語』(J.R.R.トールキン著)の一つの指輪に引き寄せられるものの気持ちがわかったような気がします。大袈裟ですが。

チェリーちゃんの表情は極めてニュートラルです。瞳に瞳孔は描いてありますが、リカちゃんやrurukoなど他のドールにあるようなハイライトは入っていません。ボディは細部までリアルな人間の体を意識して造形されています。二の腕の肉付き、背中の丸みや鎖骨、膝裏など作家であるオダニミユキさんのこだわりが隅々まで表現されていて、本当の女の子のようです。

チェリーちゃんは、毎回違う髪型とメイクで販売されます。メイクが違うと全く違う印象になります。

mashumaroちゃんは女の子の夢を体現したようなドールです。ペールブロンドの真ん中分けゆるウェーブのロングヘアに淡いグレーの眉と青い目、シルバーラメのアイシャドウをサッと引いた控えめメイクでくすみピンクのリップがとても可憐です。
ドールファンが着せたいゴージャスなドレスもリアルクローズもなんでも着こなす非常に汎用性の高い仕様になっています。
そんなmashumaro ちゃんですが、決して持ち主に歩み寄ることはありません。
私が勝手にそう思っているだけかもしれませんが、彼女は確かにうちにいるけれど私のものになったように思えないのです。
チェリーちゃんはチェリーちゃん自身のものなのです。

オダニミユキさんはチェリーちゃんの箱に ”be my baby Cherry! “という文を書きました。

「僕のかわいいチェリーちゃん」

ここが非常に面白いところですが、逆説的に「僕のかわいいチェリーちゃんになって欲しい」(けど、なってくれない)という意味なんですね。
こういう点が実にオダニミユキさんらしいというか。
オダニミユキさんはあれだけの人気を誇りながら、1ミリたりともユーザーに歩み寄らない物作りで定評があります。チェリーちゃんが熱狂的にドールファンに受け入れられてその地位を確立するや否や、矢継ぎ早に実験的とも言えるデザインのチェリーちゃんをリリースしました。(緑の色肌ゾンビチェリーちゃんや半透明の蛍光ピンク肌チェリーちゃん)しかもどのデザインもあまりにもチャレンジすぎるにもかかわらず、わずかな時間で売り切るという偉業を成し遂げました。

お値段も、リリースを重ねるごとに上がっていきました。決して簡単に買える値段ではありません。(2022年12月時点でとうとう一体10万円を超えてしまいました。タイのファッションブランドSretsis、クリエイティブスタジオKLOKAとのコラボであるということはありますが)
私も欲しいような、でも欲しくないような微妙な気持ちを抱えつつ、受注合戦に参戦しましたが購入出来ませんでした。高額のため参戦すら迷いましたが、ものの数十秒で売り切れてしまいました。

あの時、mashumaroチェリーちゃんを購入しておいて本当に良かったです。
今では定価のほぼ十倍です。
こうした値動きを見ていると、物の値段は決まっていないんだな、ということに改めて気付かされますね。

物の値段については、また別の記事で書きたいと思います


私にとって特別なマシュマロちゃん
マシュマロちゃんにとってなんでもない私

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