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前頭葉つんつん男――感情の老化

今年の2月、コーチングを受ける機会がありました。

診断士試験の受験仲間だった方がコーチングの勉強をされていて、その方の実践の相手役をやらせてもらった、という経緯です。人生初めての経験でした。

いろいろな質問に答えていくことで改めて自己を振り返るよいきっかけとなったわけですが、その中で得た気づきの一つが、
「俺、最近物事への感動が薄れてきてね?」
というものでした。

私は昔から根っからのインドア派です。
スポーツやったり友人とゲーセン行ったりするよりは、テレビ、ラジオ、小説、音楽、お笑い、ゲーム、映画などに触れる時間の多い青春時代を過ごし(そしてこじらせ)ました。
そこまで日常生活で喜怒哀楽がはっきりしている方の人間ではないですが、文化的な領域ではそれなりに心揺さぶられる経験をしてきたつもりです。

しかし、30代を迎えた今、そういうのがめっきり減ってきているな、と気づきました。

「貪るように読む」とか、「かじりついて見る」とか、最近してない。何か別のことを考えながら読んだり、ちょっとスマホ触ったりしちゃってる。

腹を抱えて爆笑する瞬間はあっても、なんか刹那的に終わってるような(髭男爵の「髭男爵ルネッサンス」というDVD内のワンコーナー「髭男爵50の質問」で、「好きな音楽は?」という質問に対して山田ルイ53世が答えた「ドビュッシーまたはミスチル」がツボにはまり、学校の授業中含めて1週間思い出し笑いしつづけた高2の冬は、あれはいったい何やったんや)。

小説をちょっとだけ読むつもりが、気づいたら全部読んでしまっていたとかもない。多分最後は朝井リョウの「武道館」だけどそれもずいぶん前。

最近で言うとティアキン(ゼルダ)はおもしろくてハマったけど、感情が揺さぶられるっていう感じではなかった。

日常は私生活も仕事もありがたいことに安定していて、怒ったり悲しんだりすることは少ないけれど、心の底から喜んだり楽しんだりすることもないような。

先に述べた被コーチングの機会で、「充実した生活を送ってるはずなのに、何か物足りなさを感じている自分」に気づき、その「物足りなさ」を深堀していくと、自分の感受性が鈍っているのでは? との仮説に至りました。

何かに没頭して、心の奥底から感情が震えるみたいな経験って最近ほとんどしていない。
これってもしかして、、、老い?

で、ネットでいろいろ調べると、どうやら「感情の老化」というものがあるらしい。
ほう。「感情の老化」とは言い得て妙ではあるまいか。もっと詳しく聞かせてくれたまえ。
と思ってポチったのがこれ。

前回に続いて和田秀樹本。たまたまです。
(明らかに中高年男性に向けて書かれており、化石のようなジェンダー観も散見されますが、まあ20年くらい前の本なので、、、)

特に刺さったのが次の内容。

  • 脳の中で感情を司っている前頭葉は加齢とともに縮んでいく。すると自発性や意欲が損なわれていく。「めんどくさい」「もういいや」が増えていく。

  • 身体は使わないと機能が低下する。それは感情(脳)も同じ。

  • 年を取ると刺激に慣れてしまう。だから意識して強い刺激を求めるのが大事。

とまあ、書き出してみるとそんなに目新しいことでもないような気もしますが、私自身は「たしかに……!」と頷きながら読みました。

確かに気づけば同じミュージシャンの同じ曲ばっかり聞いてたり、本屋で知ってる作者の本ばっかり買ってたり(中学生のときに好きだった曲って、もう20年前やでしかし)。
もともと過度な吝嗇&めんどくさがりなので、そんなに外を出歩いたりもしない。遠出もしない。はじめましての人がたくさんいる場よりも、気心知れた数名でしっぽり飲みたい。
というふうに結局同じようなものばかりを擦り倒してきたから、それらの刺激に慣れてしまって、アンテナが保守的になって感度が下がっているのかも。それが「物足りない」感覚につながっている……?

本の中では感情の老化は40代から始まると書いてあるものの、現在30代の私でも、というか生まれつきこういう気質は強めなのかもしれません。
ただでさえ「めんどくさい」「もういいや」の塊である私の前頭葉がこれ以上縮んでしまったら、いったい全体どうなるというのか!?

さすがに十代の頃のようなびんびこびんの感受性で生きることは難しくても、せめて感情の老いのスピードは緩やかにしておきたい。
性分の赴くままに金を残しているうちに年を取り、肉体は衰え、感情も衰えてしまっていたら、「さあ使うぞ」という段階で結局何もできなくなってんじゃね? だったら意味ないじゃーん。働く必要なくなるじゃーん。

「自分の感受性は自分で守れ」(意味深)ということで、自分の前頭葉をつんつんすべく、このGWは柄にもなく活動的な過ごし方をしました。

遠出して、ずっと会いたかったはじめましての人たちと会ったり、

丸ノ内パエリアティック

生まれたばっかりの友人の子どもと遊んだり、

帰りに買った柿の葉寿司

行ったことない店で飲んだくれたり、

パラダイス天満

初めての会場へライブを見に行ったり、

帰りに食った天一

ほとんど知らなかった漫画を大人買いして一気読みしたり、

漫画関係なく食ったラーメン

してました。飯ばっかりやないか。

でも、いつものGWならここぞとばかりに家にこもってゴロゴロしてたはずですが、意識して外に出ることによってうれしいとか楽しいとかいろんな感情を味わえたように思います。
特にはじめましての人との邂逅や語らいは、私の前頭葉をつんつんとつついてくれた感覚があります。

完璧に感情をコントロールし、心の波風を立てないことを是とする言説をたまに見かけるけど、それも善し悪しだな~と思いました。
人に迷惑をかけない範囲内では暴れさせといていいんじゃね? その方が人生楽しい気がする。そんなことを考えたGWでした。

私の前頭葉をつんつんしてくれた方々ありがとうございました。
今後ともつんつんさせていただければ幸いです。

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