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【将棋ウォーズ】10分切れ負けで五段昇段するためにやったこと

 今月、将棋ウォーズの10分切れ負けで五段昇段したので、メモもかねてやったことを書いておきます。

 前回の四段昇段は2018年12月だったので、四段に五年半以上いたことになります。おそらく長いほうで、上達法としてもかなり参考にならない部類とは思いますが、参考までに読んでくださると嬉しいです。


四段までのだいたいの棋歴

 小1のときにルールを覚えました。対人での対局はほとんどせず、東大将棋、AI将棋など、将棋ソフトを相手に延々と指し続けて、小5くらいには初段くらいに達していました。
 小5から将棋教室に通い、高1まで継続。高1のころは24で最高レート1950,ウォーズは三段。なんとなく飽きたのと、大学受験もあって将棋自体を中断しました。
 4年ほどブランクを挟んで、2018年に復帰したものの、AIの台頭で環境が激変していたので、ついていくのにかなり苦戦しました。よく指していた先手6六歩型矢倉が左美濃急戦で潰れ、後手で得意としていた横歩取り△8四飛も青野流でそもそも組めない状況に。振り飛車は角交換系が激減してノーマル三間が勢いあり、相振り飛車は角交換型が主流と、完全に取り残されていました。
 居飛車にせよ振り飛車にせよ、いままでの常識が通用しないなら、いままではメインではなかった居飛車で通そうということで、大流行していた角換わり4八金・2九飛を中心に、横歩には青野流、一手損には早繰り銀、後手番なら2手目8四歩で先手の作戦を受けて立つという、王道居飛車スタイルを、ソフトや研究ブログ、プロの最新棋譜で勉強しつつなんとかインストール。もともと序盤型のため、苦手で避けていた詰将棋や『羽生善治の終盤術1~3』など終盤関連の書籍で勉強、復帰から半年ほど経った2018年12月に三段→四段に昇段しました。

振り飛車党に再転向

 四段に昇段したはいいものの、居飛車王道スタイルを指していて「これ本当に楽しいか?」という疑問が出て来ました。小学生時代から藤井猛九段のファンだったので、藤井システムや角交換四間飛車を指していましたが、昇段後はそれを復活させて居飛車と振り飛車を併用、次第に振り飛車メインになっていきました。
 ただ、私は序盤型だったので、四間飛車だけだと先手の利を生かしきれないのではないか。そう考え、藤井九段もそのころよく指していた先手中飛車を勉強して指し始めました。まったく未知の作戦だったので、かなり負けた記憶があります。特に56歩型で斜めのラインが空いている片美濃は、四間飛車の本美濃に慣れていると薄すぎて、なかなか指しこなせませんでした。
 数年、先手中飛車/後手四間飛車で指し、2023年頃には3手目7五歩からの石田流も指し始めたものの、せいぜい達成率は四段50%止まり。先手振り飛車と後手振り飛車の組み合わせはどれがベストか?というのを延々と考え、試行錯誤を続けましたが、『新・将棋アマ日本一になる方法』という本で、「戦法にこだわらなくなったら上達した」というのを読んで、結局どの振り飛車でもいいんだよなぁと思うようになってからは、不思議と成績が上向きました。
 ちなみに昇段時は、先手▲7八飛戦法(角道オープン型)・後手角交換四間飛車の、角交換振り飛車メインでしたが、先手中飛車や後手ノーマル四間も変化球(というより負けが込んだ時の気分転換)として指していました。
 なんだかんだいろんな筋に飛車を振っていましたが、なんでも指すわけでもなく、藤井九段リスペクトの指標はありました。それは「居飛車穴熊と正面切って戦う振り飛車は避ける」というもので、先手石田流や先手中飛車、初手▲7八飛戦法(角道オープン型)は、相手もいちおう居飛車穴熊に組めるものの、角道を止めない振り飛車が自由に動けるという主張があるのでOK、角交換四間飛車はバランス的に居飛車穴熊に組みづらく、ノーマル四間は藤井システムでそもそも組ませないor相穴熊で堅さ勝負としていました。
 逆にノーマル四間飛車の銀冠、ノーマル三間の石田流組み換えなど、ノーマル振り飛車で居飛車穴熊に組ませて対抗、という展開は、昔から今まで全然指せません。小さいころから居飛車穴熊のほうが好きで高く評価しているので、組ませる展開は避けたいと思います。
 あと対振り飛車は、展開次第で居飛車(対抗形)と相振りを織り交ぜていましたが、居飛車の勝率が悪かったので、昇段時は相振りメインにシフトしていました。
 あと棋神は全く使いませんでしたが、なんとかなりました。相手が棋神のときは仕方なく負けと割り切って指していました。
 

詰将棋はほとんど解かず、棋譜並べメイン

 詰将棋は小学生のころからずっと苦手で、大学に入って将棋に復帰しても変わりませんでした。古本屋巡り(といってもほぼブックオフ)が趣味で、110円で売られていた7手詰ハンドブックや、成美堂の文庫版の詰将棋シリーズをなんとなく買ったりはしましたが、たぶんこの5年間できちんと全部解いたのは、『7手詰ハンドブック I』、『佐藤康光の詰将棋』(成美堂出版)くらいな気がします。
 三段→四段にあがったころはちゃんと解いてはいたのですが、結局定着しませんでした。詰めチャレとかも苦手で全然やってません。
 やっていたのは棋譜並べと振り飛車の棋書がメインでした。個人的にかなり見る将寄りで、特に振り飛車の序盤に興味があるので、棋譜並べは古今の振り飛車の名局を、じっくり鑑賞できるという意味で自分に合っていると思います。
 昇段する頃は、『藤井猛全局集1・2』『振り飛車年鑑2021』を並べ、何日にどの将棋を並べたかをノートにメモしていました。四間飛車しか指さない人だと、四間飛車の棋譜しか並べないというのをたまに聞きますが、序盤の形こそ違えど、中盤の捌き、美濃の凌ぎの手筋などは共通なので自分が指さない振り飛車の棋譜も並べると参考になります
 最短距離で強くなるなら詰将棋は必須だと思いますが、私みたいにのんびりやりたい勢は詰将棋やらなくてもなんとかなります
 そもそも詰将棋の目的は
①実戦頻出の詰み形を覚える
②読みの力を鍛える
の二つですが、①はだいたい実戦を指していれば身に付くので問題なし、②は、棋譜並べでじっくり読む、たとえば中盤の要所の局面で候補手数通りを5手先くらいまでじっくり読みを入れる、常に3手の読みを意識して並べるなどで充分詰将棋の代替になります
 あと、序盤に特化したおかげで、昇段時は序盤・中盤で大差で優勢になって終盤がないという将棋がかなり多かったので、王道とは言えないまでも、序盤に特化するのも、意外と率がいい気がします。


今後の展望

 今後は、引き続き振り飛車の棋譜鑑賞を続けていくのと、新たにnoteで、振り飛車の序盤および棋書に関する発信をやっていく予定です。

 振り返ってみると、私の昇段の軌跡は、棋力の向上を目指していたというよりも、藤井猛九段の将棋を、より深く理解したい、という思いで日々棋譜を並べ、藤井猛九段が指す振り飛車を実戦で体感していたら、時間はかかったけれど五段になっていた、というのが実情な気がしています。

 また、藤井将棋のみならず、藤井システムが誕生するまでの原型となった小林健二九段のスーパー四間飛車や、大山名人の将棋、あるいは大山ー藤井の系譜を受け継ぎつつ、現在進行形で独自の進化を見せている佐藤天彦九段の振り飛車の将棋などについても勉強していこうかなと考えています。
 

 

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