日記

※この記事は「彼方からの君に捧ぐ」のネタバレを含む二次創作です。解釈違いを起こす事もありますので、苦手な方とネタバレが駄目な方は見ないようにお願いします。





<誰かの日記>

A.C.500
デーヴィットさんと朱音さんが自分達の居場所へと帰ってから1ヶ月が経ちました。私はこの1ヶ月、すら子さん、隼颯さん、ランスさん、スピアさんと共に、この彼が憎んだ世界を見て回りました。ユエの記憶の世界ではなく、私の記憶として、この世界を知っておきたかったのです。
世界を回る中で色々な方のお墓へも立ち寄りました。その中で、ユエのお墓にも行ったのです。その時に私は見ました、すら子さんと隼颯さんがとても泣きそうな顔をしているのを。それを見てとても嬉しかったのです。こんなにもユエに寄り添ってくださる人が居たんだなって。本当に、嬉しかったのです。

私にはユエの記憶があります。ユエが1500年、時間にして凡そ1314万時間、何をしてきてどうしてあの結論に辿り着いたのか知っています。記憶の中の彼は本当に頑張っていました。人を犠牲にせず世界を救う方法。中には自分だけ犠牲になって世界を救う方法もありました。色々な方法を考えて、考えて、頑張って頑張って頑張って。それでも見つからなかったのです。結果、彼は1人で頑張りすぎて壊れてしまったのだと、私はそう感じました。
彼は天才でした。天才だからこそ寄り添ってくれる人が居なかった。一緒に考えてくれる人が居なかった。彼はずっと孤独だったのです。
ですからこれは彼方遠くにいるあの方達への私からの願いです。どうか、ユエを、祐川英輔を助けてあげてください。私達が生きる未来の結末にならない為に、どうか力を貸してあげてください。祐川英輔の救世主になってください。お願いします。

私は私の命が尽きるまでこの世界を愛してみようと思います。この世界に生まれた1人の人間として。この世界を守り、作り出してくれたユエに、「ありがとう」とお礼が言える様に。ユエが安心して長い夢を終え、眠れる様に。それがユエの救世主になれる方法だと信じて。


最後のページには、この日記の持ち主らしき名前がある。

"Sera"