燕の巣
ツバメの巣というと中華料理などで食べられる高級食材が思い浮かぶ方も多いだろうが、あれはアナツバメの巣。アナツバメは断崖に巣を作るので、命懸けで巣を採集しに行くなんていう話も小耳に挟んだことがあるが、本当にそうなのだろうか?
同じツバメという名前ではあるが、春になると日本にやってくるツバメはアナツバメとは随分遠縁で、その巣についてもだいぶ違うものとなっている。食用になるアナツバメの巣はほぼ唾液腺の分泌物によって作られているらしいのだが、こちらで見かけるツバメの巣は泥や草などで作られている。
僕自身のツバメについての記憶を遡ると、最も古く印象に残っているのは、まだ改札で駅員さんが切符を切っていた頃の所沢駅の記憶だ。当時の所沢駅は春になると沢山のツバメが飛来して、ホームの屋根に巣を作っていた。そのせいでホームも排泄物だらけだったのだが、子供の僕はそれが楽しく、春の楽しみでもあった。おそらく大人にとっては嫌だったのだろう。駅舎が新しくなった頃にはにその光景も無くなってしまっていた。
さて、この家に引っ越してきたとき。玄関前の屋根の部分に古いツバメの巣が残っているなあとは思っていた。でも、その頃は冬だったし、春になっても特にツバメは現れなかったのでそのまま放置していた。
それから4年。
なんと今年になってツバメがやってきて巣に住み着いている。最初は時々やってきているだけかなあ、今のうちに巣を落としてしまおうかなあなどと思っていたが、よく見てみるともう卵を産んで温めている様子。仕方なく卵とヒナの行末を見届けることにした。そして、今日、割れた卵の殻が落ちていたので、おそらく孵化したのだろう。ヒナが落下してきたら嫌だなあと毎日びくびくする日々が始まる。
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