その日、僕は長い長い旅を終えた。

その旅は、長く険しいものだった。ある時は迷宮に迷い込み、ある時は時間との戦いを強いられ、またある時は精神的な鍛錬を要求された。

それでも僕はやった。がむしゃらに、やった。
周りの友人は続々と旅を終えていった。僕は旅を始めるのが遅かったから、その差をまじまじと見せつけられた。

別の友人は旅をやめると言った。先の見えない旅は、同じところをぐるぐると周り続けているような感覚があり、目的がわからなくなってしまうのだ。

旅の中継地点では、自分が目的地に近づいていることがわかり、嬉しかった。それでも、なかなか旅は終わらない。

チェックポイントに着いた。ここは先に旅を終えた先達が轍を作り、我々を導いてくれる。ただそこを歩けばいい、だがその歩くのがひたすらに厳しいのだ。

ゴールが見えてきた。今までとは違う険しさだ。しかし、今までの僕とは違うんだ。さあ、ただひたすらにやるんだ。


最終地点に着いた。人々は僕を祝福する。僕は?僕は旅を終えたんだ。僕は長い長い旅を終えたんだ。あんなに辛い旅を終えたんだ。自由なんだ。僕は、僕を祝福したい。ひたすらに今このひと時を謳歌したい。そうだろう?

ただ、僕は思う。僕は、その旅を確かに楽しんでいたんだ、と。


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