【元受講生が語る】アガルートマネオプ不合格体験記

どうも、のとまるです。
私事ですが、私は2019年から2020年の間、アガルートの一年合格マネジメントオプション(通称マネオプ)を受講していました。


受講を始めた当時は、期末試験をやっとこさ乗り越えては忘れる、程度の法律知識(民法94条2項という言葉は知ってるが意味はわからない、刑法の構成要件、違法性阻却、責任阻却の体系だけ知ってるくらい)でしたが、令和2年度の予備試験は論文3ケタ台と、それなりの成長があったと言えます。

一方で、予備試験の1年合格には数十点足りず、不合格となっています。これをどう捉えるかは人次第ですが、予備校の掲げる目標は達成できていないというのが一つの現実として突きつけられています。

予備校の体験記では、合格者により語られる、よい点ばかりがフィーチャーされがちですが、その性質を正しく理解するためには、そうでない点も正しく把握しておく必要があると私は考えています。

そこで今回は、令和2年予備試験不合格者の私がアガルートのマネオプについて感じたことや、友人に対してヒアリングして集めた情報をもとに、お話しさせていただけたら、と思います。


アガルートマネオプのメリット

①圧倒的な学習スピード
 まず、アガルートのマネオプでは、週に1,2通答案を書き、添削を受けるという指導方式をしています。
 2019年当時は、「論文答案の書き方」講座→「重要問題習得講座」→予備試験の過去問 という順序で、答案のテーマが移り変わっていきました。
 インプット講座は最小限に、アウトプットをしながら覚えていくというスタンスのもと、指導が組まれているので、知識が不十分な頃にも、答案の型を覚えつつ、知識も同時に吸収することができます。
 個人的には、答案の型は、全ての勉強の土台であり、まず最初に絶対覚える必要があると考えているので、この点は特にアガルートが優れているところだと思います。
 
 あくまで自分の感覚ですが、答案を何も参照せずに書けるようになってきたのは、予備試験の過去問をおこなう終盤(学習開始から11,12ヶ月)くらいで、それまでは、簡単なものについても、直前に一回解いた際の短期記憶を参照したり、テキストを見ながら答案作成しました。
 なので、予備試験の過去問に突入した段階(開始から7ヶ月)においては、知識の習得という面では、まだまだ足りず、体系的な理解が不足していたというのが正直なところです。

②ラウンジにいて質問しまくれる
 こちらも当時は非常に活用していました。初学者のとき、答案の型が定まっていないときは特に指導者による正しい方向への誘導が必要です。自分の場合は、ラウンジで勉強して、わからないことを即質問して解消する、ということを繰り返しておりました。大体の場合、一人はラウンジの質問可能なエリアにいるため、すぐに質問にいくことが可能です。その中で、講師の方と試験勉強について相談したり、雑談をしたり、一緒に勉強をする友達ができたりと、様々な効用が生まれました。
 個人的には、マネオプを利用したメリットの最も大きい点だと感じてます。ラウンジに入り浸りがちで、当時は大学よりも通ってましたね。

 特に、学習レベルが同程度の友人自主ゼミを組めたことは非常に大きかったです。自分は大学の周りの友人に比べて学習開始が遅く、自分の勉強のペースと理解度が見合っているかを確認する手段が少なかったため、日々の勉強においてラウンジ指導と両輪でペースメーカーとして機能してくれました。

 もちろん、ラウンジにいることは強制ではないので、一人で黙々と勉強したい人にとっても、最適な環境だと思います。


アガルートマネオプのデメリット

①実際に一年合格できた人はほとんどいない
 アガルートのホームページにも書いている通り、上記のマネジメントオプションを利用して、合格した人は平均の4.9倍ということで、受講生のうち約20%が最終合格しています。これはもちろん素晴らしいことで、実際に自主ゼミを組んでいた友人の一人は1回目の受験で合格しています。

 しかし、これを裏側から捉えれば、アガルートのマネオプをもってしても、5人に4人は不合格になる、ということです。100人受講したら、20人しか受からないということ。自主ゼミをしていた4人のうち、3人は不合格だったので、母数が少ないのもありますが、まあそれくらいの合格率というのは納得できます。
 さらに、ここで注意しなければならないのは、アガルートのマネオプを利用した人の全員が初学者というわけではないという点です。合格体験記に1年合格と書いている方は一年合格ですが、書いていない方はおそらく1年合格ではない、ということでしょうから、そう考えると完全初学者から1年合格した人間というのは、かなりの少数であることが窺われます。

 そして、私と友人が個人的に考えていたのは、このような一年合格を達成したのは、元々頭がいい人間ほとんどなのではないか、ということです。ここでいう「頭がいい」は、東大現役合格者のことを言います。無論東大現役合格者=予備試験合格者なんて図式はありませんが、それ以下の学歴の場合には、別で何か学業に秀でていることを示す一つの指標がある(ex.会計士合格済み、など)と思います。

 そう考えると、アガルートは元々1年合格するポテンシャルがある人間を、脇道逸さずに1年合格させることのできる予備校と位置付けることができると思います。


②講師により、指導力や、指導への態度にムラがある
 アガルートは近年非常に有力になりつつある予備校で、講師陣の拡充も図っています。そうすると、当然ですが、担当する講師によって指導歴の長短があり、指導の実益という観点からかなりの差があると言われています。
 まず、実益があった、という方からお話しします。
 ある講師の方は、答案を1文字ももらさず正確に読み、文章の整合性・あてはめの考慮要素の網羅性・文章の記載から論点に対する理解が誤っている点を正確に抽出して、全て私の元に提示してくれました。そこでは、自分が「わかった気になった」ことを「本当にわかった」ことに変換していただき、まさに目から鱗といったところでした。また、別の講師の方は、様々な有力な参考書をもとに、伝聞証拠該当性の判断過程を丁寧に教えていただき、実際にその年の東大ロー入試で非常に役に立った、ということもありました。

 一方、実益がなかった、という方については、私の友人が最初に担当となった講師の方が、解説をただ読み上げるだけの指導しか行わず、全く実にならなかったため、すぐにその講師でない人にお願いするように依頼した、といったことがあったそうです。
 私の経験でも、実際にあったのが、「憲法の正当化のところはそれっぽい事情をまとめて書き連ねれば大丈夫」という発言です。初学者だった私はそれを鵜呑みにして、それから3~4ヶ月程度憲法の答案の改善作業に苛まれる、なんて事態も生じました。



③講師との「仲の良さ」によりオムニバス形式か、同じ担当になるかが決まる
 アガルートの指導はホームページ上では、「オムニバス」形式になっていて、講師は固定されず、毎週担当の講師が変わる、ということになっています。実際に私も、さまざまな講師の方にお世話になりました。ただ、大体同じ曜日同じ時間にすると、同じ方になる割合が高かったです。
 こんな感じで原則オムニバス形式になってはいたのですが、一部の講師から気に入られたり、仲が良かったりする受講生は、実質的には講師固定で指導を受けていました。
 自分はそこまで不満に感じませんでしたが、一部の受講生からは不満が募り、本部の方に苦情が入った(?)という噂も聞きました。実際、上記のように若干の「当たり外れ」がある中で、「当たり」の先生の固定で指導が受けられる生徒と受けられない生徒がいる場合、不平等感はありますよね。それに、令和2年の結果を見ても、固定で指導を受けていたらしき方々の合格率が高いのだろうな、という印象を受けます。


④予備試験の過去問に入った段階では、自分の知識が整理できていないため、答案作成力に疑問がある。
 1年合格は、やはり時間がない仲の勝負になるので、予備試験の過去問を解き始めた段階(勉強開始から7ヶ月〜)では、知識がガタガタである場合が多いです。なので、論証を見ないで答案作成をすることはまだまだ現実的ではないように思われます。
 ただ、某マネオプ受講生の方が言っていたように、論証をカンニングしながら、論点抽出能力を養う練習をメインにする方法で、ひとまずは解決できそうです。

⑤期間が短い+行間のある予備校テキストで、知識に穴ができる
 予備校テキスト一般に言えますが、箇条書きになっていて、文章量が抑えられている反面、見返したときに「何を言っているのか」がわかりにくい場合が多いです。
 学習初期の頃は、「なんとなくこんな感じ」というレベルの理解をすることが重要であるため、アガルートのテキストは非常に参考になりました。しかし、学習が深まるにつれて、「ここの問題の所在の書き方がおかしいな」「これは二つの意味に捉えられるけど、どちらの意味なのだろう」と言った点で躓きを覚えることがおおくなり、基本書に立ち返る、という機会が増えてきたような気がします。また、書きぶりによっては、ある概念の体系的な位置付けを理解することが難しかったりしました。


結局アガルートマネオプはおすすめです

 あーだこーだと不満のようなものを書き連ねていましたが、僕がそれなりに予備試験で戦えるようになれたのは、あくまでもアガルートを利用したから、それに尽きると考えています。
 アガルートは教材がいいとか、テキストがいいとか色々言われていますが、初学者として一番よかったと思っているのは、毎週の指導で自分の実力チェック+ペースメーカーができたことです。
 今受講しようと考えている方は、講師と仲良くなることに重点を置き、かつ「この人は本当に指導力のある人なのか?」と考えつつ(笑)、受講してみてくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?