【E評価】令和2年 予備試験 再現答案 民事実務基礎科目

第1 設問1
1 小問(1)
所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求権
2 小問(2)
被告は、甲土地につき、本件抵当権設定登記の抹消登記手続をせよ。
3 小問(3)
本件訴訟は、判決時に意思表示が擬制される類型(民事執行法177条)の訴訟であり、
仮の執行を観念できず、不要であると考えたため。
4 小問(4)
①令和2年5月15日、Xに対して、500万円で、甲土地を売った。
 ②Y名義の抵当権設定登記がある。
第2 設問2
1 小問(1)
(1)結論:抗弁である。
(2)登記保持権限の抗弁
2 小問(2)
(1) ( i )
① ?
 ② ?
(2)( ii )
上記抗弁は登記保持権限の抗弁であるところ、その要件事実として、被担保債権の発生
原因事実を要する。そこで、これに該当する事実として、(ア)で、YがBに対して被担保債権たる600万円の貸金債権を有している旨主張した。
第3 設問3
1 小問(1)
時効承認の再々抗弁
2 小問(2)
Qとしては、令和7年12月25日に200万円の弁済をしたことをもって、時効承認
(民法152条1項)がなされたと主張することが考えられる。もっとも、令和4年12月1日に100万円を弁済した時点で、時効承認され、時効が更新されていて、令和7年12月25日時点では時効完成していない(166条1項1号参照)ことになり、時効主張がそもそもできないため。
第4 設問4
1 以下の通り、XがAから甲土地を購入した事実は明らかである。
2 まず、X名義の銀行預金口座の通帳から、令和2年5月20日にAに対して500万円が送金された事実が証明される。通常、500万円という大金を、何らの理由なしに送ることは考え難いから、XがAに500万円の支払うことを内容とする債務が発生していたことが推認できる。
 そして、この債務の支払日は、同年5月1日に、AとXが共にB宅を訪れた際に合意されたA X間の土地売買の、代金支払の期日の5月20日、及び金額が一致する。ここで、全く別個の同人への500万円の債務の履行期日・額が一致することは想定し難い経験則から、本件の500万円の支払いは、A X間の甲土地売買の売買代金支払い債務の履行としてなされたことが推認される。
そうすると、債務の履行があった以上、XがAの土地を買ったことは明らかである。
 また、Bは自分がAから甲土地を買い受け、売却代金をすぐに工面できなかったからXから出捐してもらった旨主張している。確かに、XとBは兄弟であり、他人に比べ信頼度の高い仲だったと言える。しかし、兄弟であれど、500万円の大金について代払いをする場合には、借用書等を作成することが予想されるし、現在まで7年ほど何らの取り立ての音沙汰がないことは想定し難い。そうすると、Bの右主張は失当である。
3 もっとも、甲土地の所有権移転登記がB名義になっている。そうすると、所有者が所有権移転登記を経由するという経験則からすれば、Xは名義人でない以上、甲土地の所有者ではない、すなわちAから甲土地を買っていないことが推認されるとも思える。
 しかし、そもそも甲土地をXが購入することを検討した理由は、自宅を土地上に建築するためであり、その融資の際に融通が効くようにB名義の登記にしたに過ぎない。よって、右事実の経験則が否定されるため、Xが所有者でない推認は働かない。
4 また、甲土地について、令和3年から7年の固定資産税の領収書の名宛人がBであり、①領収書の名宛人が当該事項について支払いを行い、また、②土地の所有者が公租公課を支払うという経験則からすれば、Xに甲土地を買い、所有権を取得したとはいえないとも思える。
 しかしながら、上記のように名義人をBとした以上、必然的に、固定資産税の支払名義人は、Bとなる。そこで、XはBから納付書をもらい、自らこれを支払っていたのだから、名宛人が支払いを行うという経験則が否定される。そうすると、固定資産税を支払ったのはXになり、②の経験則から、土地の所有者であることが推認できる。
 また、Bは自分が支払ったと述べているも、詳しくはわからないと曖昧な返答をしていて、その推認力は低い。
5 よって、甲土地をXがAから買ったことは明らかである。
以上

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