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    主に書評を投稿していきます。

最近の記事

【読書感想文】『今夜は眠れない』(宮部みゆき)を読んで(453文字)

 なんてことない平穏な僕の家族に突然舞い込んだ五億円の大金、しかも博打好きの資産家から僕の母親への遺贈だって!?  主人公である僕がこの騒動に巻き込まれながら、人間として成長し、家族のあり方を考えていく物語。  軽快な語り口調で進んでいく物語は、刻々と場面を変えてスピーディに進行する。心の機微を丁寧に描きながら、一方で手に汗握るドキドキ感を演出する。  人はみな、人生の中で何度か大きな博打を打たなければならないときがある。この身を賭して、この先の人生に賭けてみる。勝っても

    • あえて「嫌い」と言う作戦(569字)

       人のことを悪く言うことがご法度になったこの時代、特に仕事を通じたコミュニケーションでよく感じるのは、つまらなくなったな、という思いである。  仕事は業務から馴れ合いに落ちぶれ、人の顔色ばかりを窺って誰も本音を言わなくなった。当たり障りのない発言はお互いの干渉を無にし、薄っぺらな時事の話題と人を馬鹿にしたようなから笑いが沈黙を埋めている。  だからこそ自分ははっきりとした物言いを心がけるようになった。「良いと思う」ではなく「好きだ」、「苦手かも」ではなく「嫌い」。あえて強

      • 【読書感想文】『永遠の出口』(森絵都)を読んで(392文字)

         青春を描くのってすごく難しいのに。この作者は目に見える分かりやすい部分から、直視するのも憚られるような毒々しい悪意まで、なんと鮮やかに描き出していることだろう。  小学生から高校生まで最も多感な時期を1人の主人公にフォーカスして書いた作品。こんなことあったかもなぁって感じる場面がたくさんあり、青春って意外とみんな似てるのかなって思う。  仲間外れにして、仲間外れにされて、クラスで団結して、ちょっと旅に出て、グレて、恋をして、家族と話して、社会に出て、懐かしい人に出会う。格好

        • 【仕事での気づき】敬語の崩し方(790字)

           これは完全に好みの話ですが、タメ口で話してくれる後輩って、印象上がるんです。  職場の同僚とは「ですます体」で話すのが当然の世の中で、人によってはさらに過剰な敬語を多用していると思いますが、敬語って時間がかかりますよね。 ●お時間あるときで構いませんので、この書類を3部コピーしておいていただけますでしょうか。 ●時間できたら、これ3部コピーしておいてー。  上の例では敬語を省くと文字数がおよそ半分になります。これ、1日、1週間、1年と見ると莫大な時間を損してることにな

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          【ショートショート】公園の亀(1,327字)

           勉強も部活も何もかも嫌になって公園で池を覗いていたら亀が話しかけてきた。 「貴様、浦島太郎知らないのか」  猛暑も一段落して空気が少し冷たくなり、土の匂いが強くなっていた。雑草は乾燥して先が少し黄色くなり、気の早い落ち葉もちらほら見られる。初秋の快晴の中、近所の公園に来ていた。  池の周りには木の杭とロープが設置されていて、進入禁止と大きく赤字で書かれた看板が斜めに傾いでいる。池は小川の一部であるものの、胃袋のような形に膨らんでおり、行き場を失った流れがそこに滞留していた

          【ショートショート】公園の亀(1,327字)

          『走れメロス』を読んで

          出会いは中学二年生  中学二年生の時分、国語の教科書を読むのが好きだった。単元の進み具合に関わらず、気になった小説・評論文をぱらぱらと読み進めていた。そんなとき『走れメロス』に出会った。  およそ20年前の僕は爽快な物語だと感じていたはずだ。国語教師も「友だちの大切さ」やら、「一度決めたらやり抜くこと」やら、「悪に立ち向かうこと」やら、そんなことを「筆者の伝えたかったこと」として説明した。まるで太宰に会ってインタビューしてきたみたいに自信満々で。  中学生のころ、太宰を読

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          【雑感】趣味をもつこと

          気分転換以外にも、、、?趣味をもつことは人生においてかなり重要だと考えています。何の趣味でもいいし、何回でも変更可能。とにかく趣味を持ち続けることが大事です。 趣味を持った方がいい理由。気分転換はもちろんありますが、もう1つあると思うんです。 今いる場所からドロップアウトしないため。 趣味にすら興味を覚えなくなったとき、生命に危険が迫っている可能性があります。それに一刻も早く気づくこと、これこそが趣味をもつ意味です。

          【雑感】趣味をもつこと

          【美言葉】上を向いて歩こう

          上を向いて歩こう 涙がこぼれないように永六輔さん作詞 上を向いて歩こう の一節です。 倒置法ですね。上段に主意がきているとき、順番を入れ換えて強調する手法。こんなにきれいに決まることって稀じゃないでしょうか。まさか理由がくると思わないので、裏切りも含まれています。 ただ、個人的には涙はこぼすようにしています。吐き出せるので、なにもかもを。(倒置法うまくない)

          【美言葉】上を向いて歩こう