『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』

2019年に公開された『翔んで埼玉』は、実現不可能と言われた実写化と映像化で、一大ブームを巻き起こした。
一部の人の中で伝説と呼ばれた漫画が映画になり、漫画を知らなかった人までまきこんで、大ヒットとなった。中身はとてもくだらないお祭り騒ぎだったけど、あの時の熱量はものすごくて私も映画館で見たときに観客が一体となってお祭りを楽しんでいたのを覚えています。
「草でも食っとけ」などの原作通りの強烈なセリフ、キャストの振り切った演技、オリジナル要素だったご当地有名人の垂れ幕対決など、どれも想像を超えていて、埼玉をあまりよく知らない人、そんなにイメージがない人でも楽しめた作品でした。
今回はその第2弾で、タイトルの通り舞台は関西です。

宣伝や映画館の上映回数など、露出の多さから、メディアが力をいれているのがよくわかります。第1弾のヒットで、予算をかけて、確実にヒットにするんだ、という思惑が透けて見えます。
もはやその時点で、前回の自然発生的なヒットとは別のものになっているように感じました。「ほら、こういうのがいいんでしょ。みんな盛り上がってよ。」というなんとももやもやする展開と笑いの連続。
「滋賀県は冷遇されているけど、琵琶湖の水を止めたら困るのは京都や大阪だからな」を実際止めてみたらどうなるか、その一本槍で作られた映画です。
細かい要素はいろいろあるものの、他の映画のパロディやご当地キャラクター、前と同じ垂れ幕など、どれも想像通りか、ちょっと下回る小ネタに終始していました。
そこに、私鉄の協力や出生の秘密など、ストーリーもごちゃごちゃして、なんだかショートコントを見させられている気分に。
私は前回の2割くらいしか笑えず、消化不良の映画となりました。

やはり、前作のように、じわじわと浸透してた原作の強烈な面白さがあってこその映画と、今回のようにテレビのドラマスペシャルのようなお金かけて前回を踏襲して作ってみました、では全然成り立ちが違います。
2作目でありながら、この映画はもはやシリーズでもなんでもなく、前回で終わっておけば、日本を巻き込んだお祭りとしてよい思い出で終わっていたのに、と、とても残念に思いました。

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