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部屋と私と段ボールの小窓

‪どえらい台風が過ぎ去った。いつもは「なんとかなるっしょ」の精神で生きている私も、前回の台風で被害を受けた妹からの警告により、厳重に守りを固めて台風に臨んだ。結果から言うと9割くらい無事だった。



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私の家には雨戸がないため、会社から段ボールを6枚ほど持ち帰り、窓に貼った。上司からは散々笑われたが、いかんせん、雨戸がないというのは心細い。前回の台風ではなんの対策もせず、いつ瓦や鈍器が飛んできて、アクション映画のように窓ガラスをぶち破られてもおかしくない状態で、不安に震えながら安眠出来ずに困っていた。飛散防止が本来の意図するところで強度的にはさほど変わりないとは思うものの、少なくとも段ボールの壁に守られているという意識で、今回の台風ではぐっすり眠れた。ぐっすり寝すぎて、日曜に起きた時には昼前だった。



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小窓だってついてるんだぞ!!!

アイドルの瞳に映った景色で所在がわかってしまうニュースがあったが、この小窓から漏れる風景で住所がバレたら面白いな。いや面白くないな。

この愛らしい段ボール小窓、Twitterで色々なスタイルを見かけて面白かった。私のように切り込みを入たり、一工夫してスライド式(なぜかめちゃくちゃバズっていた。)にしたり、友達はパタパタしている部分を留めずにそのまま窓にし、カーテンフックを引っ掛けてノブにしていて「天才か??」と思った。

会社の地下倉庫に置いてあったためカビ臭く、開けるたびに段ボールの切り屑が落ちるこの小窓も、私にとっては外界の状況を知るための唯一の手段だった。窓を段ボールで塞ぐと、予想以上に外の状況がわかりづらくなるのだ。光も通さず、午前中でも明かりをつけなければ薄暗い。そんな中、台風が過ぎ去る頃には小窓にすっかり愛着が湧いていた。



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ありがとな、小窓。苦楽を共にした仲間よ。資源ごみの日にふん縛って捨てます。




段ボールのまじないのおかげか窓ガラスも割れず、停電も断水も起こらなかった鈴木ハウス。そんな中でなぜ冒頭で「9割無事」と言ったか。残りの1割だが、



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網戸がズタズタになった。そんなことあるのか?シースルーどころじゃない。

どうしてこんなことになったのかというと、強風で網戸が外れ、ベランダでめちゃくちゃ暴れまわっていたのだ。ガンガン窓ガラスにぶつかってきて、リアルで「ヒィー!!」と言った。人間って本当にヒィー!!って言うんですね。30分くらいガンガンいっていたが、どこかに落ち着いたのかスン…となにも聞こえなくなった。なんとなく網戸の死を悟った。

そもそもアパートやマンションに雨戸がついていないのは、台風などの強風で外れて、落下した先での事故などを防ぐためにらしい。そのせいか最近はシャッターが多いという。風で雨戸が外れるか?と思っていたが、今回の騒動で外れるのかもな、と思った。だからってガラス戸1枚で台風に立ち向かうのは心細いよ。


大きな台風が過ぎ去って私の家に残ったのは大量のサトウのご飯を中心とした食料、水を貯めるためにピカピカになった浴槽、ズタズタになった網戸だった。無事だったとはいえ、なんとなくプラマイゼロ、とはいかず、むしろマーイな結果となった。

しまっていたものを外に出したり、多すぎる段ボールの処分、地味に面倒なことは山積みだ。とはいえ、台風が過ぎ去った今日を逃せば、管理会社(もとい大家さん)に網戸を直してもらえる機会も失う。昼休みには台風で壊れた雨戸について電話した。ついでになんか調子が悪かったトイレも台風のせいにして伝えた。自分のせいではないとはいえ、こういうことがなければ、なかなか大家さんに電話する勇気が出ない。ありがとう台風。ごめん、台風。

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