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たばこをすいました

 たまたま、今、うちには、親父の49日に供えてやろうと買っておいたタバコがありました。

 僕自身は2014年の5月の末から禁煙を初めて、8年と…何日だ。5ヶ月か。今日までタバコを吸わずにいました。

 で、今日、というかついさっき。久しぶりに、たまたま家にあった、親父の49日の供え物にしようと思って買っておいたタバコを開封して、火をつけて、吸いました。

 禁煙を初めてから、本当に他人のタバコの煙が不愉快な嫌煙になっていたし、8年と5月ぶりのたばこはろくに肺にもいれられず吸えたもんじゃなかろうと思ったのですが、そんな事はありませんでした。

 ま、ちょっと肺に抵抗あるかなって感じでしたけど、大変に、美味しかった。ニコチンがガンガン、脳みそに決まってセレトニンがドックドク出ています。

 葬式のときにも同じタバコを買って、それは親父の棺に入れてやって、そのときは別に何も思わなかったのですが、今は、この残りを墓前に供えるのはなんだかもったいねーなーという気持ちがあります。

 あーあ。8年と5ヶ月かけて、タバコが無くても、ニコチンがなくても平気なようにチューニングしなおした脳みそが、また元のニコチンで気持ちよくなる脳みそになっちゃったかなあ…という気がします。

 一本くらいでまたニコチン中毒になんてならない。と思いたいところですが、たった一本で何十年も続いてた禁煙が終わってしもた…なんて話もよく聞きます。

 ああ、何年も刑務所にいて、出所して迎えにきた子分にタバコの火をつけてもらうヤクザの親分って、今、こんな気持なんやろか。おつとめごくろうさんです、と子分にねぎらってもらいながら吸うタバコは、さぞや美味しいのでしょう。

 今、ほんとうに気分がいいです。なんもかんも、めんどくさいことが片付いた気分。

 でも気分だけ。何も片付いて無い。それで、つい、うっかり、なんとなく、まあいいか、久しぶりに、一本だけ、火をつけるか…ってなった訳ですが、この気持ちよさは本当に、ごまかしと言うか、ダメと言うか、うん、ダメだ。それはもう、ちゃんとわかってる。わかってねんでんで?

 それでも、8年と5ヶ月ぶりかに吸うタバコは、大変に、美味しいです。まあ49日にはまた新しいタバコを供えてやるから勘弁しろ、親父。

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