必要な英文法 VII (名詞)

前回の必要な英文法 VI では動詞を名詞みたいにするというのをやりました。動詞を名詞のようにする方法というのは他にもあって、話が長くなります。その前に、名詞の方を考えてみましょう。

必要な英文法シリーズでは今のところ、名詞に関しては「動詞に食べられるやつ」みたいな位置づけで、名詞とか名詞句とは何か、というのはあまり考えて来ませんでした。いい加減にしてきた理由は、それを考えるとそれだけで一つの話になってしまうので放置しておきました。今回はその話を考えてみましょう。

まず、「動詞に食べられる」のは厳密には名詞句であって名詞ではないです。「厳密には」と今のところ言ってきましたが、今回の話が終わると厳密どころかそれ重要って話になる予定です。

念の為おさらいですが、名詞句を1個食べる動詞が自動詞、2個食べる動詞だというのを 必要な英文法 I でやりました。今回は動詞のことはあまり考えないので大丈夫です。ただ、名詞や名詞句だけでは文とはならず、文の中で名詞句は動詞や前置詞に食べられる存在です。食べられないで存在することはほぼ不可能なのですが、またその話は今度にします。


可算名詞、不可算名詞というのを聞いたことがあるかと思います。用語自体はどうでもいいです。英語には数えられる名詞と数えられない名詞があるというだけの話です。

英語でわ〜とよく聞きますが、日本語のことは誰も説明してくれませんでしたよね。大雑把に言って、「日本語の名詞(句)は全部不可算」だと思っておくと良いです。厳密には加算っぽさを引き出したりは出来るのですが、不可算だと思っておけばいろいろ解決します。

「不可算」というのは数えられないという意味ではないんです、日本語でも

3本のペン
3杯のコーヒー

って言えます。ただそのときに「本」とか「杯」とかの単位をつけないといけない、これが「不可算」という意味です。(実際には「5万5千の観客」とか言えたりして、可算なのかもという部分はありますが、無視しておきます。)

一方で英語だと

three pens
three cups of coffee

となります。

ここで pen は可算なのでいきなりthree をつけて数えられる、coffee は不可算なのでthree cups of にしてカップを数える、という違いです。

で、可算か不可算か、どうやって決めるんだよ?って話になりますよね。

これはテキトーに決まっていて、名詞の意味と同時に覚えるしかありません。実際のところ、「コーヒー」っていうのは液体ですし、液体は数えられないから不可算というそれなりの理由はあります。「単位化しないと数えられないようなものは不可算」って憶えておけば問題ないです。

しかしながら、テキトーなのは確かで、キャベツは可算、レタスは不可算だと言われてたりします。three cabbages は言えるけど、three lettuces は言えなくて、three heads of lettuce と言わなくてはいけなかったりなど、似たような色で似たような形の似たような草が、片方は可算で片方は不可算だったりしますので、厳密な線は存在しないようです。辞書を調べれば可算か不可算か書いてありますし、デジタル入力すれば文法チェックで調べてくれたりするでしょう。Three coffees! って注文すれば通じるでしょうし、自分でどちらか判断できるか自体はそんなに重要ではないのかも知れません。しかし、可算と不可算の違いがあって、可算の名詞は単位無しで数えられる、というのを知っておくのは大事です。


ここで話が終わりならばとてもよかったのですが、可算名詞はめんどくさいです。不可算名詞は数えなければ問題ないですし、数えないといけないときは単位をつければ良い、それで終わりです。一方で、可算名詞は数えられるという性質のため、必ず数えなくてはならないという呪いがかかってます。

可算名詞は1つなのかもっと多いのかを明示しないといけません。単数形複数形のどちらかにしなくてはいけないってやつです。1つのときは単数、2つ以上(1を超えるとき)は複数形です。もうすでにめんどくさいですね。

しかもさらにめんどくさくて、1つのときは a (またはan)をつけなくてはなりません。本当にめんどくさいです。複数のときは数えなくてもよい、というのは朗報だとしましょう。

単数: a pen
複数: pens (two pens, three pens, … , many pens)

みたいな言い方が可能となります。

動詞が食べられるのはこの上のどれか、になります。a long pen とかみたいに形容詞を入れたりも可能ですが。


a pen の代わりに the pen も言える、これは確かです。ただし、the は a の代わりではないです。

a pen の場合世の中に数あるうちの1本ペン(ならばなんでもいい)を指しています。"This is a pen." というのは「私が手にしているのはペンなんですよ〜」って事です。見りゃ分かるがなという事で、あまり実用性の無い分かもしれませんが、猫の手の形をしたペンを持って "This is a pen." って言うと、えっ、それペンなんだ!ってなります。そういうときに使えます。

例えば、"Can I borrow a pen?" って言ったら、何でもいいからペンを貸してくれという事で、特に何か特別なペンを貸してほしいというわけではないですよね。初対面の人に言っても大丈夫です。ペンがあれば貸してくれるでしょう。

一方で、the pen というのは何か特定のペンを指します。ペンであれば何でもいいと言うときには使えません。なので、初対面の人に"Can I borrow the pen?" はなかなか言えないです。もしその人がペンを手に持っていたら「そのペン貸して!」って意味で使えます。一方で道ですれ違った人とかに"Can I borrow the pen?" と言うと、「どのペンの話だよ?」って話になります。

一方で、借りたペンを貸してくれた人にお返しする際は "Can I return the pen?" になります。貸してくれたそのペンを返すので、その特定のペンを返すからです。もし、 "Can I return a pen?" って言ったら、貸してくれた人の知らない別のペンを返すって話になります。

特定の何かを指すときに the を使う、これでいいんじゃないかと思います。

これは単数に限りません。The three pens というと特定の3本のペンを指します。誰かがペンを何本か手にしてて、それ貸してほしいときに"Can I borrow the pens?" と頼むことができます。

なんと不可算名詞にも使えます。

 "I like coffee." というとコーヒーが好きな人という事になりますが、"I like the coffee." とか "I liked the coffee." って言うと、特定の店のコーヒーが好きとか今目の前にあるコーヒーが好きとか、さっきの店のコーヒーが美味しかったとか言う事になります。何か特定のコーヒーを指しているということです。

楽器のように特定じゃないのに the をつけないといけなかったりなど、めんどくさいやつはありますが、とりあえず今のところ無視しておきましょう。

a と the の違いは特定かどうかという事ですが、実例をいろいろ見たほうがわかりやすいと思うので、この先の必要な英文法での例文でなるべくその都度説明していきたいと思います。

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