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転校生は甘々な天使さんでした。


(朝礼のチャイム)


〇〇:ふぁ…

大智:ほら起きろ。

〇〇:ふぇ?もう朝礼?

大智:おうよ。しかも、転校生来るらしいぜ。

〇〇:ふ〜ん。

大智:なんだよ、普通もっとテンション上がらないか??

〇〇:だって、どういう子か分からないし。

大智:いやいや、隣見てみろって。

親友の大智に言われ、右を向く。


〇〇:ああ、席空いてるな。なるほど…

大智:いやいや冷めてるな…考えてみろよ。もし転校生がめっちゃ美人な女子とかだったらさ、最高じゃねーか!

〇〇:そういうのは期待し過ぎたら、後でガッカリする羽目になるからやめとけ。

大智:だ、まぁ…そうかもしれないけどよ。

担任が教室に入ってくる直前で、大智は自分の席に戻っていく。


担任:今日は、おそらく皆んな知っているだろうが転校生がこのクラスに来る。

転校生と聞いて周りが期待の声を発して、ざわついていた。

担任:静かに。それじゃ、入って来て。

教室の引き戸が開けられ、転校生が入ってきた。


彩:はじめまして、小川彩です。

教室内が再びざわつき始めた。


そして転校生を見た瞬間、自分も思った。



〇〇:(か、可愛いすぎないか⁉️)



さっきまでの眠気は一瞬で吹き飛んだ。


担任:じゃあ小川さん、そこの空いてる席で良いかな?

彩:はい。

小川さんが隣の席に来て座ると、真っ先に視線を感じて見ると大智が羨ましそうな目をこちらに向けていた。

大智:(ズルいぞー、〇〇)

と唇を動かして伝えて来た。


彩:よろしくお願いしますね。

〇〇:あ、う、うん…宜しく。

こんな可愛い子に笑顔で挨拶されたことがなかったからか、凄く緊張して挨拶をした。




最初の授業が終わると、小川さんのところにクラスの女子たちが集まってきた。


皆んな転校生と連絡先を交換したり、友だちになったりしたいからだろう。


大智:なぁ、言った通りになったろ?

予想が当たってニヤニヤしている大智がこっちに来た。

〇〇:な、うるさい。

大智:まぁー、頑張れよ〜早く良い報告待っているからなー。

と揶揄い、席に戻っていく。

〇〇:ったく…


そして、次の授業が始まる前に小川さんの周りにいた集団がいなくなると、小川さんが話しかけてきた。

彩:お名前、聞いても良いですか?

〇〇:あ、い、一ノ瀬〇〇。

彩:〇〇くん、って言うんですね。カッコ良いじゃないですか?

〇〇:え、そ、そうかな…?笑

たかだか名前を褒められたくらいで顔が赤くなっているのは、我ながら情けない気もした。



次の授業が始まった時、小川さんが慌てていた。


彩:無い…教科書が。

〇〇:あ、貸すよ小川さん。

彩:え、良いの?

〇〇:もちろん。


彩:ありがとう。あ、机くっつけて良い?

〇〇:あ、うん。

自分と小川さんの机をくっつけて、歴史の教科書を2人で共有した。


彩:なんか小学生の時みたいだね。

〇〇:確かに。

とヒソヒソ話していると、

先生:よし一ノ瀬、ここ分かるか?

〇〇:え、あ、はい!

不意打ちで質問され、あたふたしたら周りからクスクス笑われた。


〇〇:ふ〜

質問に答えて正解し安堵した。

彩:凄いね、〇〇くん。

〇〇:あ、ありがと…

授業の進行に合わせて、教科書のページをめくる。

彩:これ、〇〇くんが書いたの?

〇〇:あ、それは…

教科書の隅に描いた落書きを見られて、隠そうとした。

彩:あ、ごめん。見ちゃいけなかった?

〇〇:あ、ううん…そういうんじゃ…

彩:上手だね、〇〇くんは絵を描くの。

落書きは漫画の好きなキャラの絵だったが、小川さんはニッコリして褒めてくれた。


授業が終わると、小川さんにお礼を言われた。

彩:ありがとう、教科書貸してくれて。

〇〇:うん、どういたしまして。

彩:〇〇くんって、よく授業中に絵描くの?

〇〇:あ、うん…たまに、その…ボーっとしそうになると。

彩:そっか。彩もね、授業中眠くなって寝ちゃうことあるんだ〜

〇〇:わ、分かるよ。退屈になっちゃうとそうなるよね。

彩:うん。でも〇〇くんの絵見たら、描きたくなっちゃった。今度眠くなったら、そうしようかな〜

〇〇:い、良いんじゃないかな?

彩:今度、絵の描き方教えてね。

〇〇:え、いやそんなほどのものじゃ…

彩:あ、そろそろ授業始まるね。

〇〇:そうだね。   


と次の授業が始まった。


〇〇:(期待し過ぎてガッカリとか、失礼なこと言っててすいません…)


と、心の中で小川さんに謝罪した。




小川さんが僕のクラスに来てから、

僕と小川さんは仲良しになり、大智と一緒にいない時はよく小川さんと喋っていた。


ある日、

昼休みになり、いつもなら大智に食堂に誘われるのだが今日は違った。


彩:〇〇くん、一緒にお弁当食べない?

〇〇:え、ああうん。

机をくっつけて、それぞれの弁当箱を開けた。

彩:〇〇くんのお弁当、美味しそう!

〇〇:そう?

彩:うん、その唐揚げとか特に。

〇〇:食べる?

彩:え、良いの?

〇〇:うん、2つあるし。

彩:ありがとう!

小川さんに唐揚げを分けてあげた。


彩:ん〜、美味しい!

〇〇:あはは、良かった。

彩:じゃあ彩も〇〇くんに分けてあげるね。

〇〇:え、良いよ…僕は。


彩:遠慮しなくていいよ、何食べたい?

〇〇:え、ああじゃあ…その卵焼き。

彩:良いよ、はい。

〇〇:ありがとう。(い、良いのか?こんなことして…)

そして、小川さんから分けてもらった卵焼きを食べた。


〇〇:お、美味しい!

彩:ふふ、良かった!


うん、美味しくない筈が無い。

だって、こんな可愛い子が分けてくれた卵焼きですよ?


弁当を食べ終わった頃、小川さんがトイレで席をはずしているうちに後ろから大智がヒソヒソ話してきた。

大智:お前、やったな笑

〇〇:う、うっさい。




そして、次の日。


昼休み後の授業中、ふと横を見ると小川さんが目をウトウトさせていた。

彩:ん…

〇〇:(大丈夫かな?)

コトンッ

彩:zzz

頭が一瞬揺れて、小川さんが机に伏せて眠ってしまった。


〇〇:え?


しかも、それだけではなかった。



〇〇:(か、顔こっち向けてる⁉️)


すやすやと気持ち良さそうに寝てる小川さんの顔は、まるで赤ちゃんみたいだった。


〇〇:(うわ、どうしよう…起こさないとなんだろうけど…)


か、可愛い過ぎる‼️


直ぐに起こしたら悪い、と思うことにしてあとでノートを小川さんに見せるつもりで、少しだけ小川さんを寝かせてから、優しく肩を叩いた。


彩:ん?

〇〇:小川さん、起きて。

小声で言った。

彩:あ、ごめん!

授業中だと直ぐ気づいて、小川さんは起き上がった。

彩:どうしよう、寝ててノート取ってな…

〇〇:あ、途中までの後で見せるよ。

彩:ごめん、ありがとう!


そして、その授業が今日の最後のだったので、終礼が終わった後、小川さんにノートを見せてあげた。

彩:ありがとう、〇〇くん!

〇〇:いえいえ。お昼食べた後って、眠くなるよね。

彩:そうなの。お弁当食べてお腹いっぱいになったら、眠くなっちゃって。笑

彩:でも、〇〇くんに起こしてもらえて嬉しかったな。

〇〇:へ?

彩:あ、いやァ…なんでもないよ!

〇〇:あ、うん。

大智:よー、お二人さん。一緒に帰ろうぜ〜

〇〇:おう。

彩:うん。


途中まで3人で喋りながら帰り道を歩き、大智と別れてから小川さんと2人で歩いた。



彩:ふふ、大智くんって面白いね。

〇〇:いや、あいつはただ色々ぶっ飛んでいるだけだよ。

彩:ふふ、良い友たちだよ。

ギュ〜

お腹の音が聞こえ、小川さんが顔を赤くしていた。

彩:あ…

〇〇:な、なんか食べる?近くにコンビニあるし。

彩:うん、何か食べたいな。

コンビニに食べ物を買いに行くことを誘ったら、小川さんはニッコリして一緒に歩き出した。


寒いからということで、肉まんとあん饅を買って外に出た。

彩:ん〜、美味しい!

〇〇:良かった。

彩:〇〇くんの肉まん、美味しい?

〇〇:あ、うん。凄く美味しいよ。

彩:彩も食べて良い?

〇〇:う、うん。

小川さんが小さな口で肉まんを頬張る様子を見て、ちょっと和んでしまった。

彩:ん〜、美味しいよ!ありがとう。

〇〇:いえいえ。

彩:はい。

〇〇:え?


目の前に、小川さんが食べていたあん饅を差し出された。

彩:あん饅あげるよ。

〇〇:え、いや…

彩:要らない?

〇〇:う、ううん。

彩:なら遠慮しないで、ね?

〇〇:え、えぇ…


いやダメだって…

それはダメだって…


彩:はい、あーんして。

〇〇:あ、あーん。

パクッ

彩:ふふ、どう?

〇〇:お、美味しい…

彩:ね、分けて良かったでしょ?

〇〇:うん、ありがとう。


これだけでも、充分目の前の天使に召されかけた。


が、これで終わりではなかった。




2/14


学校が終わり、帰り道を小川さんと歩いていると、急に小川さんが立ち止まった。


彩:ここなら平気かな。

ボソッと一言言って、カバンから可愛いリボンがついた包みを出して僕に渡してくれた。


〇〇:え、これは?

彩:バレンタインのチョコだよ、〇〇くんへの。

〇〇:ぼ、僕に⁉️

彩:うん、いつも仲良くしてくれているお礼とね…あと…

ささっと近づいて耳元に囁いてきた。

彩:〇〇くんへの彩の気持ち、だよ?

〇〇:⁉️

彩:大好きな〇〇くんへの、ね。



fin.

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