美人な警察官2人は、家に帰ると弟に甘い。
夕方。
ビルの側面のガラス窓が、夕陽の光に照らされて紅に染まっていた。
そのビルの下では、勤務を終え帰宅しようとする者もいれば、これから打ち合わせにと急ぎ足で道を通る者もいたり、あるいはこれから飲み会に行く様子の集団も見られた。
何気なく平日の一日が終わるかと思いきや・・・
(サイレンの音)
車道を一台の白いワゴンが猛スピードで通過していき、歩道に風が吹き込む。その後を追うかのように、パトカーが続いて通過していった。
?:こらー、止まりなさい!!そこの車ー!!
?:スピード違反だぞー!!!
パトカーの助手席の窓から拡声器を出して、前を走るワゴンに向かって停止
するよう促す。
男:(へ、止まるわけねーだろうが。)
白いワゴンを運転していた男は、バックミラーに映るパトカーに乗っていた運転席と助手席に座っているのが婦警と見て、追いつかれる訳がないと舐めていた。
キィィィィ!!
男は止まるどころか交差点でドリフトして右折し、そのまま加速していく。
遥香:あ、もう!!!逃げられると思うなよこの野郎ーーー!!!
さくら:ちょっとお姉ちゃん、拡声器でそんな言い方しないで!
遥香:え、だって〜
さくら:良いから拡声器切って。
遥香:あっ。
助手席で拡声器で速度違反していたワゴンに警告していた遥香と、運転していたさくらは姉妹のようだった。
さくら:私に任せて。
さくら:この街は私の庭なんだから。
遥香:そこは私たちの、でしょ?
さくら:あ、そうだった。
遥香:っで、アイツなんとか出来るの?
さくら:ふふ、もちろん。
目つきが変わったさくらは、ハンドルを強く握り締めアクセルを踏む。
男:ちっ、しつこいな。
後方からさくらたちのパトカーに追われ続け、男は嫌気がさしてきた。
男:こうなりゃ…
男はハンドルを切り、大通りから路地裏に曲がって進んでいく。
男:へ、ここまでくれば…
サイレンの音が聞こえなくなり、狭い道を曲がったりして通過し続けると、
男:ゲッ!?行き止まり!?
進む先に道がないことに気づき、男は慌ててバックしようとするも、
遥香:ざんね〜ん。そこは袋小路なんですぅ〜
サイレンの音が再び鳴り出し、パトカーの助手席の窓から拡声器を持って遥香が煽り出す。
男:くそ!!
諦めて男が車を停止させてから降りてきた。
さくら:はい、免許証出して。
男:ちっ、おらよ。
悪態をつきながら男はさくらに免許証を渡す。
さくら:え〜っと。
遥香:27キロ速度オーバーね。
さくら:じゃあ3点ですね。
さくら:反則金は無いですけど、次また違反したら免停になりますから気をつけてくださいね。
男:うぐ・・・
男は狼狽えていた。
男:あの・・・
男:お二人とも綺麗ですね。
さくら:え?そ、そうですか???
男:ええ、もちろんですよ。
わかりやすいくらい煽てられているのだが、さくらは満更でもなく乗ってしまう。
さくら:えへへ、そんなことな…
ボコッ
遥香:乗せられてるんじゃないよ。
さくら:痛ったぁーーー!?
さくら:良いじゃん、褒められるくらい。
さくら:あ、でも減点取り消しはしませんからね〜
男:がくッ!?ダメか〜〜。
遥香:当たり前。
スピード違反を取り締まった二人は警察署にパトカーで戻っていく。
夜。
部活から帰ってきた〇〇は、一人夕食の準備をしていた。
〇〇:よしっと。
フライパンでハンバーグを焼く音がキッチンに響く。
〇〇:今日はいい感じに出来そう。
と鼻高々にしていると、玄関の開く音がした。
〇〇:ん?帰ってき・・・
遥香:ただいまー、〇〇ー!!
〇〇:あ、おかえ…
ぎゅっ
〇〇:!?
廊下に移動してきた〇〇に、遥香が抱きついてきた。
さくら:あ、スピード違反だぞー!!
遥香:いいもん、車じゃないし〜
遥香:ね〜、〇〇?
〇〇:あ、う、うん…(はる姉、凄くいい匂い…)
さくら:お姉ちゃんずるい!!
〇〇:わ!?
さくら:んふふ、ただいま〇〇。
〇〇:うん、おかえり…(さく姉も、凄くいい匂い…)
正面を遥香から、背中をさくらから抱きつかれ、〇〇は身動きが取れなくなっていた。
遥香:はぁ〜、もうずっとこうしていられるわ〜
さくら:ね〜、お姉ちゃん〜
〇〇:あ、あの・・・
〇〇:そろそろ離してくれる??
遥香・さくら:あっ、ごめん。
ようやく、二人の姉から解放された〇〇。
遥香:ん、このにおいは…
さくら:ハンバーグだ!!
廊下に届いたキッチンからのにおいを嗅ぎ、二人は騒いだ。
〇〇:もう出来ているよ。
〇〇:冷めないうちに、早く食べよ?
遥香・さくら:うん!
食卓のテーブルに3人で席につき、
〇〇・遥香・さくら:いただきまーす。
〇〇が作ったハンバーグを仲良く食べ始めた。
遥香:ん〜、おいひぃ〜
さくら:ね〜、もうしゃいっほう〜
〇〇:よかった、前はちょっと焦がしったりしたからダメだったけど。
遥香:そんなことないって、前のも美味しかったよ!
さくら:うんうん、〇〇が作ったのならなんでも美味しいよ!
〇〇:いや…それは言い過ぎだよ笑
〇〇と遥香の父親が病気で亡くなってから半年後、母親が再婚した。
その再婚相手は妻に先立たれて娘と二人きりだったが、その娘こそさくらで〇〇と遥香とは血の繋がりは無かった。
けど新しく家族になって〇〇・遥香・さくらはすぐ仲良くなり、去年からさくらの父が転勤してそれに〇〇たちの母親がついていき、今では家で3人で暮らしていた。
遥香:でもいいんだよ?たまにはさ、家でゆっくり待ってても。
さくら:そうそう、毎回〇〇に料理作らせているのも悪いし。
〇〇:いや全然平気だよ、今日は部活早めに終わったし。それに毎回料理するの好きだからさ。
遥香:もう〜、良い子すぎる〇〇は!!
さくら:本当、もったいないくらい!!
二人の姉に頭を撫でられ、〇〇ははにかんで笑った。
〇〇:あ、でもこの前はる姉とさく姉が作ってくれたお好み焼きとそばは美味しかったな〜
〇〇:また食べたいな〜
遥香:え、〇〇がそう言うなら・・・
さくら:また作ってあげるよ〜!
遥香:ね〜?
さくら:うん。
遥香とさくらは乗り出して、弟に笑みを見せてきた。
夕食を終えて風呂に入ってきた〇〇がリビングに向かい、ソファーに座った。
〇〇:ふ〜
〇〇がくつろいでいると、
遥香:肩凝っているね〜
遥香が〇〇の肩を揉んできた。
〇〇:え、そ、そう?
遥香:うん。だからマッサージしとくね。
〇〇:あ、ありがとう…
〇〇:後ではる姉の肩もマッサージするね。
遥香:ふふ、ありがと。
しばらくすると、
〇〇:・・・
〇〇:zzz
目を瞑って〇〇は寝てしまった。
遥香:〇〇?
さくら:どうしたの、お姉ちゃん?
風呂から上がってきたさくらがやってきた。
遥香:〇〇、寝ちゃった。
さくら:ん?あら。
遥香:ふふ、マッサージ気持ちよくて寝ちゃったのかな?
さくら:そっか、よいしょっと。
さくらは〇〇の隣に座り、そして〇〇の頭を膝の上に倒して寝かせた。
遥香:あっ!
さくら:ふふ、〇〇の寝顔可愛い〜
遥香:おいさく、ずるいぞー!
さくら:へへ〜ん、〇〇は渡さないよ〜
遥香:むぅ〜、悔しい。
それから、さくらに膝枕されて寝てる〇〇を二人は見守ったが、中々目を覚まさない〇〇だった。
遥香:全然起きないね。
さくら:う〜ん、困ったな〜
さくら:このままでいたいけど、そろそろ寝なきゃだし。
遥香:あ、良いこと思いついたわ。
さくら:え、何々?
遥香とさくらでヒソヒソ話を始めた。
さくら:良いね。賛成、お姉ちゃん。
遥香:でしょ?よし、そしたら…
その後・・・・
遥香:ねえ、ここで3人で寝るの初めてじゃない?
さくら:ふふ、そうだねお姉ちゃん。
〇〇をリビングから二人がかりで両親の寝室に運んで、それからベッドで〇〇を挟んで遥香とさくらは横になった。
〇〇:zzz
遥香:はぁ〜、可愛すぎる・・・
さくら:ねぇ〜、癒されるよね〜
遥香:んふふ。
さくら:んふふ。
二人の姉に両親の寝室で愛でられているとも知らず〇〇はスヤスヤと寝ていて、時々寝返りを打っていた。
その度に、どちらかから歓喜の声が上がっていた・・・
fin.
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