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小動物みたいな感じで一緒にヲタクしてくれる後輩ちゃん


大学祭前


?:っしゃ〜、準備完了!

?:皆んなお疲れ様!

?:じゃあ、解散。

?:またな、〇〇〜

〇〇:おう、お疲れさま〜。


催しに出すものの準備をサークルの仲間たちと終えて、俺は皆んなと別れた。

〇〇:さてと…?

ポンッと肩を叩かれて振り返ると、

ひかる:お疲れ様です、〇〇先輩!

後輩のるんちゃんがニコニコしながら立っていた。

〇〇:お疲れ様、るんちゃん。

ひかる:一緒に帰りましょ?

そう言って、俺の腕に抱きついてきた。

本名は森田ひかるだが、俺がるんちゃんと呼ぶのはこんな小動物みたいな動作を俺にいつもしてくるから。


ひかる:あ〜、あったか〜い〇〇先輩の腕。

〇〇:ふふ、寒くなったからね。

ひかる:あ、でも先輩のこともあっためてあげますね。

と、横にいる可愛いコアラさんが俺の腕に顔をすりすりしてきた。

こんなの他のサークルの仲間に見られたら、ナイフで刺されそう笑

と思うことで、俺は衝動を堪えた。

〇〇:(か、可愛ええええええええ!!!!)




るんちゃんが俺に懐くようになったのは、恐らくこの前の飲み会の時からである。

その時は新歓の飲み会で、るんちゃんが自分の座るところが見つからなくてキョロキョロしていたのを見つけて、たまたま空いていた隣に座ることを勧めた。

ひかる:すいません、失礼します…

〇〇:うん。あ、俺長宮〇〇、二年生。よろしくね。


ひかる:森田ひかるです。よろしくお願いします。


それから少し喋って、どうやらお互い共通の音楽グループを推していることが分かり、それから二人でずっと喋っていた。

ひかる:ええ、〇〇先輩も佐奈たん推しなんですか!?嬉しい!!

〇〇:うん、佐奈たんの歌声がもう最高過ぎてどハマりしちゃった!

ひかる:わかります!私も同じです!あの、純粋な感じの歌詞にぴったりな透き通った声がいいんですよね!!


それから音楽グループのこと以外の話しでも盛り上がって、二人とも飲みすぎたんだったな…


ひかる:ヒェヒェヒェ〜

と、妖怪みたいな奇声をあげてるんちゃんが酔っ払い俺の肩に頭を乗っけてきた。

〇〇:ちょ、大丈夫か?のみ過ぎじゃない?

ひかる:ヒョンなこと、ないでヒュ〜

ひかる:zzzz

そのままるんちゃんは目を瞑って寝てしまった。

〇〇:(顔、小っちゃ…ってか、可愛過ぎよ?その寝顔。)

と思いながら、そのまま明け方まで飲み屋でるんちゃんと隣で寝ていた。


明け方になり、

ひかる:なんかすいません、酔って〇〇さんの肩で寝ちゃって。

〇〇:いやいや全然!(こちらこそ、可愛さを勝手に堪能してすいません…)

ひかる:〇〇さん、すっごく良い匂いがして。なんか安心しちゃったら寝ちゃって…


実は、飲み会の日に家を出る前…


プシュ〜

〇〇:わ、何かけたの!?

瑞穂:香水よ、あんたも大学生なんだからこれくらいしときなさいって。

〇〇:良いって、余計なお世話だよ…

瑞穂:良いじゃん、女の子にモテると思うんだけどな〜

と、男より女の人に寧ろモテる姉が俺に香水をかけてきたのだ。


どうやら、その香水がるんちゃんには良い匂いだったらしい。

ひかる:くんくん…

〇〇:どした?

ひかる:ふふ、まだ良い匂いします。

ひかる:じゃあ、お疲れ様です。

とるんちゃんと手を振って別れた。




それから、講義終わりに大学内の通路でるんちゃんとすれ違った時には、ランチを一緒に食べたりするようになったり、図書室でるんちゃんの課題を手伝ったり、講義終わりでこの後二人とも授業がない時は二人でカフェに行ったりした。


すっかり俺とるんちゃんは仲良しになり、この前には二人で推しのグループのライブに観に行った。

事前予約して購入した俺とるんちゃんの推しである佐奈たんの推しタオルを会場で受けると、

ひかる:おお、佐奈たんのタオル〜〜!!

〇〇:テンション上がるよね。

ひかる:念願の推しタオルゲットですもん。

二人で推しタオルを掲げて写真を撮った。



ひかる:うう、佐奈たんめっちゃタオル掲げて応援するからね!!!

と言いながら、るんちゃんが佐奈たんの推しタオルにくるまっていた。

ひかる:はぁ〜、可愛い佐奈たああん!

多分、推しのタオルに包まれて幸福を感じてたんだろう。

そのタオルからひょっこり出てるちっちゃなお顔は、生まれたての子犬みたいだった。

〇〇:(るんちゃん、今はあなたが可愛いです。)

一人で勝手に歓喜していた。


そして、ライブが始まりメンバーたちの歌とダンスで一気に二人のテンションが上がった。

〇〇・ひかる:超絶可愛い、佐奈たん!!

コールで精一杯叫んだり、推しのペンライトカラーを点灯させてペンライトを曲に合わせて振ったりした。

ひかる:最高です、〇〇先輩!

〇〇:いや本当に最高だね、るんちゃん!

汗かきながら、二人で笑いあった。


それから、公演の途中でメンバーたちがフロートに乗って客席近くまで移動するという演出があった。

〇〇:来るかな、佐奈たん。

ひかる:絶対来てくれますよ、だって私たちの佐奈たんですよ??

と二人でドキドキしながら他のメンバーたちのフロートが客席のファンたちに手を振っているのを観ていた。

〇〇:(良いな〜、推しにレスしてもらえるの)

ひかる:(あの人、メンバーと指ハートしてる!!)

すると、一台のフロートが俺たちの客席前に来た。

そこには、なんと俺とるんちゃんの推しである佐奈たんが乗っていた。


〇〇・ひかる:佐奈たあああん!!!

二人でタオルを掲げてアピールしていると、佐奈たんが俺とるんちゃんと目が合い指を指してくれ、それからニッコリとしてくれた。

〇〇・ひかる:うおおお、佐奈たああああん!!!ありがとおおおお!!!

初めてのライブで推しからレスを貰えた喜びで、二人して野獣のように叫んだ。




それから、今度はポケモンカフェに一緒に行ったこともあった。


注文した限定メニューが運ばれてくると、

ひかる:おほ〜、めっちゃ可愛いです!

〇〇:クオリティ高いよね、このピカチュウとか。

ひかる:もう食べるのが勿体無いくらいです。

〇〇:分かる、このままずっと見ていられるよね。

ひかる:じゃあ、このまま冷凍して保存して…

〇〇:お持ち帰りは出来ないのよ、るんちゃん。

ひかる:く〜、許してくれ〜ピカチュウ!!

〇〇:すまん、ヒトカゲ!!

と二人で料理のポケモンたちの顔に謝罪していたな。


その後、ポケモンくじを引いたら二人とも賞を当てて俺はナエトルのぬいぐるみを、るんちゃんはポッチャマのぬいぐるみをもらった。


ナエトルのぬいぐるみを肩に載せると、るんちゃんが写真を撮ってくれた。

ひかる:良い、ポケモントレーナーって感じしますよ。

〇〇:ありがと〜るんちゃんもポッチャマと写真撮ってあげるよ。

るんちゃんがポッチャマを前で抱っこして写真に写る。

ひかる:はぁ〜〜、ポッチャマ!君に決めた!!

ここにポケモントレーナーるんちゃんが誕生した(なんてね)。

こんな風にリアクションも良くて、本当にるんちゃんはいつも一緒にいると楽しいのだ。




ひかる:んふふ、今年は色々二人で行きましたね。

〇〇:そうだね〜

ひかる:あ、でもまだクリスマス残ってますよ。

〇〇:じゃあ、どこか行こっか。

ひかる:先輩はどこ行きたいんですか?

〇〇:ん、るんちゃんとならどこでも行きたいよ。

ひかる:じゃあ、閉鎖した廃墟の病院に肝試しを。

〇〇:いや、それは無理かな…

ひかる:え、今どこでも行きたいって言ったじゃないですか〜

〇〇:いや、流石に廃墟は危なくない??呪われたりしたらどうするの??

ひかる:ふふ、それもそうですね〜先輩だけ祟りにあったりして。

〇〇:るんちゃん?

ひかる:冗談ですよ〜笑

〇〇:おい、こら。

と言いつつも、るんちゃんのキツネみたいないたずらっ子な愛くるしい顔を見ていたら、拳をグーにしたまま結局何もせずただニコっとしてしまう。

〇〇:ったく笑

ひかる:ふふ笑



そして、るんちゃんはまたコアラさんになって俺の腕にしがみついた。


fin.

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