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ブラコンが過ぎる姉に困っている話


夏休みの部活の最終日、いつも通り〇〇は部活仲間たちと帰り道を歩いていた。


A:あ、そーだ。これからカラオケでも行かねーか?

B:ありー!

C:じゃ、いつものあそこで。

A:〇〇はどうする?

〇〇:あっ、わりぃー…

〇〇:俺パスね。

B:え、なんで?

〇〇:いや、その…今日は帰んないとマズくて…

A:!あ〜…

C:何、お前なんか知って…

A:さっき行ってて、2人とも。後で合流すっから。

B:おぉ…分かった。

B:じゃあなー、〇〇。

〇〇:おう。

BとCが先にカラオケに向かって、〇〇はAと2人っきりになった。



A:また姉さんだろ?

〇〇:あ、あぁ…

A:良いね〜、姉弟揃って仲良しでさ〜

Aが〇〇の肩に乗っかり、ニヤついた顔をしていた。


〇〇:べ、別にそこまで…

A:なんだよ、照れるなって笑

〇〇:あのな…こっちは大変なの。

〇〇:大体姉貴のせいで、今日だってお前らとのカラオケ断んなきゃだし。

A:大丈夫だって、また学校始まっても土日とかにカラオケ行けるからさ。そん時一緒に行こーぜ?

〇〇:ば、そういう問題じゃ…

A:ダメだぞ〜、お姉さん大切にしなきゃ。

A:約束したんだろ?小さい頃にお姉さんと…笑

〇〇:やめろ‼️蒸し返すな阿保‼️

A:はいはい。じゃ、またなー

〇〇を揶揄いまくってAは去っていく。

〇〇:はぁ…ったく…




ガチャッ


〇〇:ただいま〜

〇〇が玄関のドアを開け、靴を脱ぎ中に入るも反応がなかった。

〇〇:いないの〜?姉貴。

リビングに辿り着くと、空調が効いていた。

〇〇:わ、涼しい…

?:zzz

〇〇:姉貴、寝て…

〇〇:(ん?待てよ…)

〇〇:(今なら、まだカラオケ間に合うじゃん。)

ソファーで姉が寝ているのを確認した〇〇は、姉が目覚めないうちに家を出ようとした。


〇〇:(大丈夫な筈、一度寝たら姉貴は中々起きな…)

ガサッ

〇〇:!

うっかり足を床に落ちていた袋にぶつけて、音が聞こえてしまった。

和:ふぁ〜、ん〜…

〇〇:(やばい、起き…)

和:〇〇?

〇〇の姉である和が目を擦っていた。

〇〇:い、いやぁ…父さんだ。

わざと低い声にして〇〇は誤魔化そうとしたが、

和:嘘だ〜、絶対〇〇だ〜

〇〇:な、何言ってるんだ和?父さんだって…

和:声真似するの下手過ぎでしょ?笑

バレバレのようだった。


〇〇:や、やっほ〜…あ、姉貴…

和:おかえりー‼️

ガシッ

ソファーから飛び起きた和は、獲物を捕獲する肉食動物のごとく〇〇に飛びついた。

〇〇:ちょっ、離してって姉貴!?

和:やだ〜、一緒に寝るのだー!

〇〇:うわぁ⁉️

そのまま和によって〇〇はソファーに引き込まれた。 


バサッ


和:弟チャージ❗️


〇〇:何が弟チャージだよ…ってか、今のマジで怪我するからやめろって。 

和:ソファーあるんだから平気よ。

〇〇:何が平気だよ…

〇〇:あと離れてくれない?風呂に入りたいし。

和:ん、良いよ〜 

バッ


〇〇:ったく、よく部活から帰ってきて汗だくのヤツに抱きつこうとするよな、姉貴は。

和:良いじゃない〜、青春の匂いがしてさ〜

〇〇:は?

和:あ、あと〇〇の匂いがするし〜

〇〇:病院行こうか?

和:なんで?




(シャワーの音)


〇〇:ふーー

身体と髪の毛についた汗を流しシャンプーとボディソープで洗いシャワーで流して、〇〇は風呂から出て来た。

和:わっ!

〇〇:うわぁ⁉️

〇〇:お、驚かすなよ姉貴!

和:か〜、〇〇のこの美体が堪らんのよ…

〇〇:人の身体見て欲情すんな、変態!

和:うっそ〜、冗談だし。

〇〇:なんでも良いけど、早くどっか行ってくれない?恥ずかしいんだけど。

和:まぁ、そんな冷たいこと言わないでさ。頭乾かしてあげるから。

〇〇:良いって、自分でやるし。

和:ダメ!姉さんの言うこと聞きなさい。

〇〇:言うことって…

一向に引き下がる素振りを見せてこないので、

〇〇:はぁ…わーったよ。やってください。

〇〇は白旗をあげた。

和:宜しい。





〇〇:ふぁー、涼しい〜

〇〇:寝ますか。

部屋に着替えた〇〇が、冷房の効いた居間のソファーに横たわる。

バッ


〇〇:わっ!

和:ふふ、一緒に寝ようよ。

〇〇:な、狭いんですけどー!?

和:良いじゃん、くっついていられるし。

〇〇:やめようよ、そんなの。

和:やめないよ、そんなの。



ガシッ


〇〇:は、離せーー!

和:なんで嫌がるのよ〜笑

〇〇:こ、高校生にもなってこんな…

和に抱きつかれた〇〇は和の腕を振り解こうとするも、全く抵抗出来ずにいた。

〇〇:(なんて馬鹿力なんだ…)


和:そうだ、姉貴って呼び方やめてよ。

〇〇:なんで?

和:和って呼んでよ。

〇〇:意味分からない、せめて姉ちゃんとかだろ?

和:んまぁ…それでも良いけど〜

〇〇:けど?

和:やっぱ、和って呼んで欲しいな…囁く感じでさ…

〇〇:彼氏じゃないんだからしないよ、そんなの!

和:違うの?

〇〇:へ?

和:だって昔〇〇が幼稚園生の時、発表会で言ったんでしょ?

和:将来のお嫁さんは、お姉ちゃんみたいな人が良いって。

〇〇:!


〇〇:い、言うな‼️

和:うるさいな〜笑

〇〇:ち、小さい時の話だからな?それ。

和:良いんだよ、ウチが〇〇の彼女で?

〇〇:違うからね?

和:え〜、違うの?

〇〇:うん、違う。

和:そっか…

しょんぼりした顔をした和が、〇〇から腕を離した。


〇〇:(ふ〜、やっと落ち着ける)

和:じゃあ…こうするしかないね。

和が、シャツを脱ぎ始めた。

〇〇:は?

和:身体と身体で語り合うしか…

〇〇:本当に病院行こうか、姉貴?






和:ふぇ〜ん、なんでこんなに好きなのに〇〇には伝わらないの!神様ー!

〇〇:空仰ぐな、あととっとそのブラコン直しやがれ。

和:無理、無理なの!どうしても〇〇じゃなきゃ無理なの!

ガシッ

〇〇:な、落ち着けって姉貴!

和:落ち着ける訳ないじゃん‼️フラれたのに‼️

〇〇:へ?


和:あの馬鹿、散々人をその気にさせといて…

和:大きっらい‼️

〇〇:(な、泣いてる?)

〇〇:(ガチだ…これ…)

和:うぅ…うぅ…



〇〇:…

すっ

和:!?

〇〇:頑張ったな、姉貴。

和:〇〇…

〇〇:けど酷いなソイツ、こんなに可愛い姉貴ふるなんて…

和:え?

〇〇:え?

和:今のもう一回。

〇〇:いや、別に何も言ってな…(やべ、つい励まそうと…)

和:お願ぁあああい‼️


ぎゅっ


〇〇:やめろ馬鹿ぁ‼️ぐ、ぐほぉ⁉️

和:頼む、この通りだぁあああ‼️

〇〇:意味わかんねぇえええ‼️


〇父:なんだ騒々しい!

〇母:全く、帰ってきて早々になんなんですか?

〇母:って…

〇〇・和:あ…

〇父・〇母:あ…

〇〇:あ、あの…ち、違うんだ親父、お袋。これは…

〇父:なーんだお前ら、そんな抱き合って笑笑

〇母:もう〜、2人して熱いんだから〜笑笑

和:んふふ〜でしょ〜♪

〇〇:「でしょ〜♪」じゃねぇええんだよ‼️


姉がブラコンを卒業出来ない理由を悟った〇〇であった…


fin.

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