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年下彼氏くんは超美人な年上彼女を喜ばせたくて…

ー乃木大学ー


〇〇:ふ〜、やっと終わった。

講義が終わり、教室を出ようとすると後ろからど突かれた。

ドンッ

〇〇:うわ!?

優也:お疲れ〜、〇〇。

〇〇:びっくりした…おま、マジで今の心臓止まるからやめろ??

優也:さっきから呼んでいるのに、お前が無視するからだろ?

〇〇:え、あ…それは悪かった。

優也:なんか考え事してただろ?

〇〇:いや、別に…

優也:ふ〜ん、そうか。

親友の優也と大学の門を通り過ぎた。


優也には嘘ついたが、スマホのカレンダーを見ながら俺は大好きな人のことを考えていた。


それは、去年まで俺と同じサークルに所属していた麻衣さんだ。

本名は白石麻衣。

大学のサークルの先輩だった。

誰もが認める美貌の持ち主だ。

サークルに麻衣さんがいた頃、いつだって彼女は綺麗で笑顔が素敵で、そして何より思いやりに溢れていた人だった。

そんな麻衣さんに、俺はずっと密かに好意を抱いていたけど、中々想いを伝えられなかった。

けど麻衣さんが大学を卒業する直前、俺は思い切って告白した。

タイミング的に麻衣さんに迷惑をかけた気がして申し訳なかったが、麻衣さんは喜んで告白を受け入れてくれた。


それから、麻衣さんとは最低でも月1で、多い時は2、3回会ってデートをしてきた。


サークルにいた頃より会う頻度が減っていたが、それでも麻衣さんは変わらず優しくて一緒にいると楽しくて仕方がなかった。


そして、あと1週間で先輩と付き合い始めてから1年になる。


もちろん、お互いその事を知っているから事前に会う約束はした。

けど折角なら、何か麻衣さんにサプライズでプレゼントしたいと思って、何を贈ろうか考えていたが中々決められずにいた。




優也:じゃ、またな〇〇。

〇〇:おう、またな優也。

駅で優也と別れた俺はスマホを起動して、待ち受けに俺と麻衣さんが2人で笑いながら映っているのを見ていた。

〇〇:よし、行こう。

駅から出て、近くの高級そうな店が並ぶ通りの方へと足を運ぶ。

先輩へのプレゼントを決める為に。

けど…



〇〇:う〜ん、むずい…どれにしたら良いんだ…

ショーウィンドウに並ぶネックレスや指輪なんかを見つめながら、迷っていた。

なんせ、こんな高級な買い物なんてしたことが無いからだ。

〇〇:でも、折角の麻衣さんへのプレゼントだ。ちゃんと選ばないと…

?:な〜に独りでブツブツ言うてるの?

〇〇:うぉ⁉️

?:ぷふ、相変わらずオモロいな〜〇〇くんは笑

横に急に現れた西野先輩に独り言を聞かれ、俺は恥ずかしくなった。

西野七瀬先輩。

彼女も麻衣さんと俺と同じサークルに所属していたが、去年にかのと一緒に大学卒業時に引退された。


〇〇:お、お久しぶりです。西野先輩。

七瀬:久しぶりやな、ところで何か悩んでる感じやなぁ。さては、麻衣へのプレゼントやろ?

〇〇:んぐ⁉️

流石、西野先輩だった。

七瀬:図星かいな。

〇〇:はい…

七瀬:ふふ、まぁ〜でも麻衣ならなんでも喜んでくれそうやけどな、〇〇くんからのプレゼントなら。

〇〇:いやそんなこと言われたら、尚更困りますって…

七瀬:ふふ、冗談や。ちゃんと協力するから、安心しといてや。

〇〇:ありがとうございます。恩に着ます先輩。

七瀬:ふふ、任しときい。明日、麻衣に会ってくるから。

西野先輩の協力で、明日に白石先輩に会ってもらい、自然な形でプレゼントに欲しいものを聞き出してくれるそうだ。


七瀬:なぁ、〇〇くん。因みに麻衣との1周年記念、どこ行くんや?

〇〇:え、で、デ〇ズ〇ーです…

七瀬:おお、ええな〜!!ななも連れてってや〇〇くん。

〇〇:いやそうしたいのは山々ですが…

七瀬:ふふ、冗談や。笑

七瀬:ほな、また明日連絡するわ。

〇〇:はい、お願いします。

思いがけない協力を得た俺は、ひとまず1人暮らしのアパートに帰った。




ー大手会社 オフィスー


麻衣:ふ〜、よし完了っと。

PCのキーボードのENTERキーを押して、取引先への伝達要項を済ませた私は、スマホを起動した。

麻衣:ふふ、あとちょっとで1年か。

スマホの待ち受けには、私と〇〇くんがニコニコしながら映っていた。

左〇〇くん。

私が去年卒業した大学のサークルに所属している大好きな後輩くん。

ちょっとドジなとこが多いけど、でも誰よりも頑張り屋さんで、真っ直ぐな子で、そしていつも私を慕ってくれていた。


私は、そんな〇〇くんとサークルで一緒に過ごすうちに、彼に惹かれていた。

でも、気持ちを中々打ち明けられなかった。

〇〇くんと付き合って、もしサークル内の和が乱れたりしたらなんて思ったら、お互いが傷つくと思ったから。


だから大学卒業の時まで待って、その時に〇〇くんに伝えるつもりだった。

そして、その日。

私から伝える筈が、〇〇くんから先に伝えられた。


〇〇:言うの遅すぎたかもしれないですが、俺白石先輩のことが、ずっと好きでした!

〇〇:こんな俺でよければ付き合ってください!!

麻衣:〇〇くん…

私は、そっと彼を抱いた。

麻衣:私もね、ずっと言いたかったんだ。

〇〇:え?

麻衣:〇〇くんが好きって。でも、中々言えなかった。もしサークル内で皆んなに知られたらって思ったらどうなるか分からなくて。

〇〇:先輩…

麻衣:だからね、今日〇〇くんに伝えようと思ってたの。

〇〇:じゃあ…


麻衣:うん、これからよろしくね。


お互いを思いやるが故に、伝えるのがギリギリになってしまったけど。


それからこの1年間、お互い違う環境でだったけど月に何回か会って一緒にデートしてきた。


〇〇くんはサークルの時よりドジっ子でなくなって少し寂しい感じがしたが、〇〇くんが私を楽しませようとしてくれているのが伝わってやっぱり嬉しかった。

いつもデートで一緒にいて楽しいし、何より笑った時の〇〇くんの顔が大好きだった。


そして、今日からあと1週間で2人が付き合ってから1年になる。


麻衣:出るかな?

〇〇くんの声が聞きたくなって、電話してしまった。

〇〇:もしもし。

麻衣:やっほー〇〇くん、元気にしてる?

〇〇:はい、ばっちり。

麻衣:ふふ、良かった。

〇〇:麻衣さんも、元気ですか?

麻衣:うん。まぁ、ちょっと仕事で疲れちゃったけど笑。

〇〇:ああ、そうですよね。お疲れ様です!

麻衣:ありがとう。

付き合い始めた頃は、〇〇くんはまだ私のことを白石先輩って呼んでくれていたけど、折角だからと私から名前で呼ぶようにお願いして、それから今では麻衣さんって呼ぶようになった。

〇〇:あの、麻衣さん。

麻衣:ん?

〇〇:あと1週間後ですね。

麻衣:うん。1周年記念に2人でデ〇ズ〇ー、楽しみだね。

〇〇:俺も凄く楽しみです!

麻衣:ふふ、じゃあまたね。

〇〇:はい!


それからウキウキな気分のまま、私は会社を出た。




そして、1週間が経った。


俺は西野先輩の協力を得て、麻衣さんへのサプライズプレゼントにと買った指輪が入った小箱をバックにいれて、家を出た。

駅に着いてホームで電車を待っていると、

七L:今日やな。応援しとるで〜

と西野先輩からメッセージが届いていた。

〇L:ありがとうございます!

と返信して、それから電車を乗り継いでいき舞浜駅に着くと、平日だからか休みの日のような人混みはそこまでなかった。

改札を出て近くの柱に寄りかかると、スマホに通知が来た。

「あと5分で着くよ」

麻衣さんからのメッセージだった。

「了解です、先に着いて待ってますね!」

のメッセージとキャラクターのスタンプを送って、俺は待っていた。


少しすると、

麻衣:お待たせ〜、〇〇くん。

〇〇:麻衣さん!

改札を通ってきた麻衣さんを迎えに行こうとしたら、足を躓いて転びそうになった。

〇〇:うぉっとっとっと!?

麻衣:ぶふ、大丈夫かい笑

〇〇:へ、平気です。

麻衣:ふふ、相変わらずのドジっ子だね笑

〇〇:まだ、転んでませんから!

麻衣:ふふ、じゃ、行こっか。

〇〇:はい。

麻衣:ん、どうした?

〇〇:あ、いやぁ…今日も麻衣さん可愛いなぁ…って。

麻衣:あ、可愛いって言ってくれた!

〇〇:わっ⁉️

急に麻衣さんは俺の腕に抱きついた。

麻衣:ごめん、びっくりした?

〇〇:いや、大丈夫です。

麻衣:ふふ、寒いね今日。

〇〇:ええ、でも今はあったかいです。

麻衣:んふふ、じゃあこのまま行こっか。

〇〇:え…あっ…

何回もデートしていても、こんな感じにされるとつい照れて言葉が詰まってしまう。

麻衣:♪♪

でも横から麻衣さんがニッコリしているのが見えると、自分も自然と微笑んでいた。

麻衣さんとくっつきながら、デ〇ズ〇ーランドの方に向かった。


入園の列に並ぶと、だいぶ前の方で並べた。

麻衣:ねぇ、ここからなら〇ッキーとか見えるんじゃない?

〇〇:ああ、ですね。もう少ししたら。

開園前に入園待ちのゲストたちを迎える為に、キャラクターたちが入り口の向こうから現れて手を振ってくれるのを2人で言っていた。

そして、開園10分前になった時に、キャラクターたちがやって来て、入り口の向こうからゲストたちに手を振っていた。


麻衣:あ、来た来た。ねぇ〇〇くん、ド〇〇ドだよ!ド〇〇ド!

年上だけど、今はまるで子どもみたいにはしゃぐ麻衣さんが可愛いらしくて仕方なかった。

〇〇:ふふ、来てくれましたね。

麻衣:あ、手振ってくれてるよ!

俺も麻衣さんと一緒に、ド〇〇ドに向かって大きく手を振った。




そして開園時間になり、パークに入ると2人でお揃いのキャラクターのカチューシャを購入して頭に付けた。


麻衣:なんかテンション上がるね。

〇〇:ですね。やっぱりここに来たら、これしないとですよね。

麻衣:ね!



それから俺と麻衣さんで、パークを楽しんできた。

けど、アトラクションに乗る時、俺より麻衣さんがはしゃぎすぎて困ったこともあった。

パークの中心に建つお城の近くにあるコーヒーカップ型のアトラクションに乗った時、麻衣さんが羽目を外して乗り物を回転させる取っ手を物凄い勢いで回したのだ。

麻衣:おりゃああ、全力だあ!

〇〇:いやいや、ちょっと回し過ぎですって!?


乗り終わったあと、俺は目が暫く回っていた。

麻衣:大丈夫かい、〇〇くん笑

ベンチに座って休んでも暫く目眩が続いた俺の肩をポンッと叩いて、麻衣さんは笑っていた。

〇〇:うげっ、なんで…そっちは平気なんですか…?

麻衣:まぁ、三半規管強いから?笑

こういう時々破茶滅茶な面は、サークルの頃と変わらずあるんだな…

と、1人で苦笑いしていた。


麻衣:きゃああああ‼️

ザバーン‼️

2人でスプ〇ッ〇ュ・マ〇〇ンに乗って、終盤に高所から滑り落ちるタイミングで撮られた写真を見返すと、麻衣さんの顔が叫んでいて凄いことになっていた。

麻衣:ええ、ちょっと嫌だ〜恥ずかしいんだけど。

〇〇:ぶふっ。

麻衣:おい、笑うな!

〇〇:いや良いリアクションじゃないですか〜

麻衣:褒めてないでしょ?

麻衣さんがぷく顔をしながら、俺の脇腹を指でつっついてきた。

〇〇:じゃあリベンジします?

麻衣:うん、するする!


そしてもう一回乗ったのだが、麻衣さんは最後の乗り物が高所から落ちるところで、今度は俺の腕にしがみついていた。

麻衣:あっ…

〇〇:あっ…

2人して恥ずかしくなったからか見つめ合って、

「もう行こっか。」

と無言で苦笑いしながら意思疎通し、そのまま別のところに行った。



ランチを食べたあと、麻衣さんと2人でキャラクターと写真を撮る列に並んでいた。

そして俺らの番が来ると、2人を迎えてくれたのはあのド〇〇ドだった。


麻衣:うわー、やっほード〇〇ド!

麻衣さんがド〇〇ドに抱きつくと、ド〇〇ドは嬉しそうに後ろの白いおしりをフリフリさせていた。

キャスト:あ、ド〇〇ドがお兄さんにも一緒にハグしてってお願いしているみたいですね!

(*実際に、夢の国で働いているスタッフさんのことをキャストと呼びます。)

とキャストさんが教えてくれると、ド〇〇ドが両手を広げて時々ピョンピョンしながら待っていてくれた。

〇〇:は、はじめまして、ド〇〇ド。

近寄ってハグしてもらうと、ド〇〇ドの顔がモフモフしていて癒され、ハグが終わるとお礼にと握手してくれて、最後に頭を撫でてくれた。

〇〇:え、可愛い…

思わず声が出てしまった。

麻衣:ふふ、可愛いよね。


すると、またド〇〇ドが身振りして俺たちに何かを伝えようとしてきた。


キャスト:えっと、2人とも最初に会った時に凄く仲良さそうだったけど、もしかして恋人同士なのかな?ってド〇〇ドが聞いているみたいですよ!

麻衣:えっ、あ…

〇〇:あ、一緒に言います?

麻衣:うん、そうだね。

と小声で話し合ってから、2人でせーのでド〇〇ドに答えた。



〇〇・麻衣:そうだよ!

と答えるとド〇〇ドが口を手に当てて、それから拍手してくれた。

キャスト:うわーッ、やっぱり!とってもお似合いだね☆とド〇〇ド凄い褒めてくれてますよ!

〇〇:えぇ、ありがとう!

麻衣:ありがとう!

それから俺と麻衣さんとド〇〇ドで記念写真を3パターン撮った。

一つ目は、俺と麻衣さんでド〇〇ドを真ん中に挟んでポーズをとったのを。

二つ目と三つ目は、俺と麻衣さんが一緒にくっつくようにしてド〇〇ドが左か右に立って2人を両手で見立てるようにポーズをとったのを。


記念撮影が終わると、ド〇〇ドが俺と麻衣さんの手をとって2人で握手するようにさせてくれた。

キャスト:あ、ド〇〇ドが〇〇くんと麻衣ちゃんがこれからも仲良く幸せになるようにおまじないをしてくれたみたいですね。

麻衣:えぇ、ありがとうド〇〇ド!

ド〇〇ド、お前良いやつ過ぎないか…

と感動しながら、お礼を言った。

〇〇:ありがとうド〇〇ド!優しいね。



ド〇〇ドに向かって手を振って別れて、それからまた俺と麻衣さんでパークを周った。




気がつくと、辺りが暗くなっていた。


麻衣:ふあ〜、もう夜か〜

〇〇:なんか早いですよね。


色々あったけど、ずっと楽しかったのは間違いなかった。


麻衣:ねぇ、帰りたくないよ〜

ちょっとワザと甘えた声をして、麻衣さんが肩に頭を乗せてきた。


麻衣:いっそ、この国に住んじゃおうかな〜

〇〇:急に子どもになるじゃないですか。

麻衣:良いじゃん、〇〇くんからのプレゼントってことでさ。

冗談のつもりで言ったのだろうが、その言葉を聞いて俺は危うく忘れそうになっていたことを思い出した。


〇〇:あ、あのちょっと…

麻衣:ん?どうしたの?

歩みを止めて、俺はバックから麻衣さんにプレゼントする指輪の入った小箱を取り出そうとしたのだが…


〇〇:え…?


バックの中を漁ってみても、それらしき箱が見つからないのだ。

〇〇:(嘘だろ…、まさか…)

麻衣:大丈夫?もしかしてスマホとか財布落としちゃった⁉️

〇〇:あ、いえ!それは大丈夫ですよ!

麻衣さんに自分のスマホと財布を見せると、麻衣さんは安心したからかホっとしていた。

麻衣:良かった、もう前はよくあったじゃん。

〇〇:すいません、心配かけて。

麻衣:ふふ、大丈夫だよ。笑

麻衣さんは笑っているけど、こっちは内心全然大丈夫じゃなかった。


折角、麻衣さんに贈ろうと思っていた指輪を無くすなんて…

しかも西野先輩に協力してもらったのに…


最悪だ…


1人落ち込んでいるのを隠しながら、麻衣さんとパークでの夜を過ごしていた。


けど流石にこっちの様子が変に見えたからか、ディナー中に麻衣さんが心配そうな目で聞いてきた。

麻衣:〇〇くん、やっぱり何か変だよ?もしかして具合悪い?

〇〇:あ、いやそんなことは無いですよ笑

麻衣:本当に?さっきから顔色悪いけど…

これ以上誤魔化すのは無理だと思って、俺は正直に麻衣さんに指輪を無くしたことを話した。


麻衣:え、私の為に?

〇〇:はい、今日で付き合い始めてから1周年だから、そのお祝いにと麻衣さんへプレゼントしようと思ってたんです。

麻衣:そ、そっか…

俺は席を立って、深く頭を下げた。


〇〇:本当にごめんなさい!こんなダメな彼氏で…

麻衣:おぉ、そんな畏まんないでって…

麻衣さんが、肩を叩いて俺に座るよう促した。

〇〇:本当に、すいません…

麻衣:あのね、聞いてくれる?

〇〇:は、はい…


背筋を正して、俺は麻衣さんと向き合った。


麻衣:今日ね、私は〇〇くんと一緒に過ごせて凄く楽しかったよ。

麻衣:アトラクションに並んでいる時も乗っている時も、パレード一緒に観ている時も、勿論今日一緒にド〇〇ドと写真撮った時もね。ずっと一緒に笑ったり、ふざけたりして。

〇〇:麻衣さん…

麻衣:〇〇くん最初ド〇〇ドと写真撮るの恥ずかしがってたけど、でも行ってみたら凄く楽しかったでしょ?

〇〇:はい…あ、あと可愛かったです。

麻衣:んふふ、良かった。無理矢理でも行かせておいて笑。〇〇くんと今日過ごしたの、今までで1番楽しかったよ。

〇〇:ほ、本当…ですか?

麻衣:うん、あ、今までがダメって言っているわけじゃないよ⁉️笑

〇〇:は、はい。

麻衣:だからね、私にとっては今日〇〇くんと一緒にこうして過ごせたのが、1番のプレゼントだと思っているよ。


こんなこと言われたら、頭が上がらなかった。

それと同時に、麻衣さんの優しさに改めて感謝

しかなかった。


〇〇:うっ…勿体ない、です…

麻衣:ほら、泣きそうにならないでって笑

〇〇:うっ…すいません…

涙を堪えて、また向き直した。



麻衣:よし、食べ終わったら指輪を探してもらおう!〇〇くんが折角用意してくれたんだから。

と麻衣さんが意気込んでいると、1人のキャストさんが俺たちのテーブルに駆け足でやって来た。

キャスト:こんばんは、お名前をお聞きしてもよろしいですか?

〇〇:あ、はい。

キャストさんに名前を聞かれ、俺は名前を教えた。

キャスト:左〇〇さん、ですね。お渡ししたいものが。

と言うと、キャストさんが後ろから取り出したのは…


〇〇:そ、それ…


キャスト:どうぞお手に取りください。

〇〇:ありがとうございます…


そう、キャストさんが渡してくれたものは、

麻衣さんにプレゼントする筈の、

あの指輪が入った小箱だった。


キャストさんがいなくなると、俺は麻衣さんの方に向き、顔をあげた。

麻衣:今のは…?

〇〇:あの、麻衣さん。これを。

そっと小箱を麻衣さんの前に置いた。

麻衣:これ…もしかして?

〇〇:開けてください。

麻衣さんが小箱を開けると、水色に光る宝石がついた指輪が入っていた。

麻衣:これ凄く高かったんじゃ…

〇〇:バイトで頑張ってお金貯めました…

麻衣:そんな無理しなくて良いのに…でも、ありがとう!

〇〇:これが、2人の1周年記念のプレゼントです。

俺は指輪を麻衣さんの指に入れてあげた。

麻衣:どう?

〇〇:とっても似合ってます。

そう答えると、麻衣さんが俺に抱きついてきた。

麻衣:〇〇くん、ありがとう!凄く嬉しいよ、私!

〇〇:喜んでもらえて、俺も嬉しいです。

サプライズで渡すつもりが全然そうじゃなくなったけど、無事に麻衣さんにプレゼント出来た。




それから、また楽しい時間が始まった。


麻衣:ふふ、夜のお城綺麗だね。

〇〇:本当、綺麗ですね。

麻衣:あ、〇〇くん。今日最後のお願い、聞いてくれる?

〇〇:もちろんですよ。


麻衣さんのお願いというのは、最後にド〇〇ドに会いに行くということだった。


ド〇〇ドと記念撮影した場所に向かうと、昼に比べて列はガラ空きだったので、直ぐド〇〇ドのもとに辿り着けた。


2人でド〇〇ドに、今日おまじないのおかげで凄く楽しめたよとお礼をしてきた。

そうすると、ド〇〇ドが「本当?良かった!」と身振りで反応してくれた。

写真をまた撮った後、麻衣さんがついでにさっきの指輪騒動の話をド〇〇ドにすると、ド〇〇ドが俺の肩を優しく叩いてくれた。

キャスト:「〇〇くん、指輪見つかって良かったね。僕もデ〇〇ーにプレゼントしようかなー」ってド〇〇ドが言ってますね!

麻衣:そっか、ド〇〇ドのガールフレンドだもんね。

〇〇:あはは、頑張って。


それから、またド〇〇ドに麻衣さんと握手させられた。



麻衣:ありがとうね、〇〇くん。

〇〇:いえ、なんか寧ろこっちが励まされたようでした笑

麻衣:ふふ。


ライトアップされたお城の橋のところを2人で歩いていた。


麻衣:あ、ちょっと止まって。

〇〇:あ、はい。

麻衣:あ、あと目をつぶってね?

〇〇:え、あ…はい…


言われるがままに目を閉じると…


〇〇:!


ほんの少しだったが、自分と麻衣さんの唇同士が重なり合った。




麻衣:おまじない、だよ?


fin.

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