姉に溺愛されているお嬢様を助けただけなのに… 3話
〇〇と会う約束をして、ベッドに入り眠ろうとしていた彩だが、
彩:明日のテスト頑張って、〇〇さんと電話でどこ行くか話し合って…
彩:ん?テスト…
彩:はっ!まだテスト勉強何もしてない!?
バサッ
ベッドから飛び起きて勉強机に座った彩は、鉛筆を握って数学の問題を解き始めた。
彩:テスト頑張って、また〇〇さんと一緒にお出かけするんだから!
〜数時間後〜
彩:zzz
カチャッ
美波:あれ?まだ起きてたの、彩…
テスト勉強をしながら寝落ちしている彩を見つけて、美波は悶えていた。
美波:(やだ、凄く可愛い‼️)
美波:(しかも、勉強してたんだね!)
美波:(偉い、偉い!よしよし。)
と彩を讃えるという建前で、実際はただ大好きな妹を好きなだけ愛でたいが故に、美波は机に顔を乗せて彩の頭を撫でていた。
彩:ん〜…
美波:(はっ、起こしちゃった!)
彩:お姉…さま。
目をウトウトさせながら見つめられた美波は、また悶えかけた。
美波:彩、勉強頑張ってたんだね。
彩:勉強…
彩:はっ!明日テストなのに…
彩:まだやらないと!
美波:けど、もう遅いから早く寝た方が良いよ?
彩:でも不安です。
美波:大丈夫だよ、ちゃんと勉強したんでしょ?
彩:でもちゃんと出来てない!
彩:明日のテストで良い点数取らないと!
美波:ん〜、じゃあ明日早く起きて勉強しよっか。
彩:え、一緒にやってくれるの?お姉様。
美波:うん、もちろん。
彩:ありがとう!
彩:じゃあ、早く寝るね。
美波:うん。
美波の提案で、彩は自身のベッドに入って寝ようとした。
美波:ところで、どうしてそんな張り切っているの?
彩:え、それは…
美波:もしかして、お母様に何かご褒美もらえるとか?
彩:ち、違うよ!
美波:じゃあ、お父様?
彩:それも違うって。
彩:その…(〇〇さんと…)
掛け布団に顔を少し隠して彩は言いかけた。
美波:ふふ、分かった。もうこれ以上はしつこく聞かないでおくから。
彩:え、ああ…
美波:じゃあ、おやすみ彩。
彩:あ、待って。
部屋のドアに手をかけようとした美波を、彩が引き留めた。
美波:どうしたの?
彩:今日だけ…
美波:ん?
彩:今日だけ、一緒に寝てくれない…かな?
美波:へ?(い、今なんて⁉️)
彩:そしたら、明日朝すぐに勉強出来る、から。
美波:え…(い、良いの⁉️彩⁉️)
美波:わ、分かったよ…
美波:良いよ、今日だけ。
今にも歓喜の声が飛び出そうなのを、美波は必死に堪えていた。
彩:じゃあ、おやすみなさいお姉さま。
美波:う、うん…おやすみ…
ニコっとした顔を見せて彩が眠りにつくと、美波は顔が赤くなっていた。
美波:(やだ、なんでこんな可愛いの⁉️)
美波:(もう中3だから、こんなこと嫌がると思ったのに…)
今にもハグしたい気持ちを抑えて、美波は目を瞑った。
美波:(ダメよ、寝るのよ私。)
美波:(明日、彩と朝早くにテスト勉強するって約束したんだから。)
そう自身に言い聞かせてみるも、やはり美波は寝られなかった。
ー翌朝ー
〇〇:(そういえば、今日彩ちゃんが学校でテストあるんだったよな。)
講義が始まる前の教室の机で、〇〇は彩のことを考えていた。
〇〇:(ふふ、頑張れ〜彩ちゃん)
?:な〜に、ニヤついているのよ?
〇〇:うわっ⁉️
同期の美空に背中を急に叩かれ、〇〇は声が上がった。
〇〇:お、驚かすなよ…美空。
美空:だって、呼んでも全然返事してくれないんだも〜ん。
〇〇:え、ああ…悪い。
美空:ねぇ、それより〇〇…
美空:大変なの‼️
〇〇:ば、声でかい!
美空:だって、推しが当たらないのー(泣)
美空:うー、空ちゃああん(泣)
美空が、自分の推しているアイドルグループの推しメンの名を叫びながら机に撃沈した。
〇〇:ああ、生写真か。
美空:そう…
美空:ねぇ、〇〇も生写真買おうよ〜
〇〇:いや興味ないから、そういうの。
美空:なんでよ〜、ぷー。
美空:彼女いないんだから、良いじゃん!
美空:可愛い子たちを推したりしようよ〜
美空:あ、空ちゃんは私のだからダメね?
〇〇:知らんわ、そんなの。
興味無さげな〇〇は美空をつけ離すように言ったが、
〇〇:(彼女…か…)
美空の言葉で、〇〇は彩とのあの日のことを思い出していた。
〇〇:(彩ちゃん…)
美空:ちょっと〜、人の話聞いてるの?
〇〇:え、あ…何?
美空:もう、折角こっちがグループの魅力を力説していたのに〜
美空が推しているアイドルグループの話を〇〇は関心が無くてもひたすら聞かされ続け、眠たくなっていた。
彩:ふ〜、疲れたー!
奈央:今日のテスト難しかったよね。
彩:うん、でも昨日の夜と今日の朝勉強してきたから、手応えあったな〜
奈央:えー、偉いね彩ちゃん。
奈央:今度のテスト前には、彩ちゃんと勉強しよっかな。
彩:うん、良いよ。
奈央:ふふ、またね〜彩ちゃん。
彩:うん、またね〜奈央ちゃん。
学校の親友の奈央と別れた彩は、家を目指して歩き出した。
彩:(ふふ、今日帰ったら〇〇さんとお話出来るんだ〜)
そんなことを思っていた彩の視界に、予想だにしない人が映る。
彩:え?
彩の視線の先には、〇〇が大学から出て行く姿があった。
彩:(〇〇さん!?)
びっくりして身体が止まっていた彩は、〇〇がこちらの方に歩いてきたことで、そのまま目が合った。
〇〇:ん?あっ!
〇〇:彩ちゃん!
彩:〇〇さん!
〇〇:こんなところで会うとは思わなかったよ。
彩:そ、そうですね。
〇〇:あ、そうだ。
〇〇:テストお疲れ様。
微笑みながら言う〇〇を見て、彩も自然と口角があがっていた。
彩:え、あ、ありがとうございます!
〇〇:どうだったテスト?
彩:頑張ってきました!
彩:昨日の夜は1人で勉強して、今日の朝にお姉様と勉強したら、難しい問題も解けて嬉しかったです。
〇〇:おお、凄いね。
〇〇:じゃあ〜、お疲れ様ってことで今からお茶でもしない?
彩:え、いや…そんな悪いですよ。
(お腹の音)
彩:あ…
〇〇に遠慮していた彩だが、お腹の方は正直だったらしい。
彩:あの…
彩:やっぱり…お茶したいです。
〇〇:ふふ、勿論だよ。(可愛いな〜)
〇〇にカフェまで連れていってもらう間、彩は横で一緒に歩く〇〇を見る度に1人笑みを溢していた。
彩:(〇〇さん、やっぱりカッコ良いな…)
彩:(あの時、出会ったのが〇〇さんで良かったな〜)
彩:あっ!
段差に躓いて転びそうになった彩だが、〇〇がすぐ彩の身体を支えてくれたおかげで、転ばずに済んだ。
〇〇:大丈夫?
彩:あ、はい。
彩:すいません。
〇〇:ううん、怪我とかしてなくて良かった。
彩:え?
〇〇が彩の手を握ったまま歩き出した。
彩:(〇〇さんの手、前と一緒であったかい。)
カフェに着いた〇〇と彩は、彩はミルクティーとサンドイッチを、〇〇はブラックコーヒーとケーキを頼んで席についた。
彩:いただきまーす。
彩:んー、美味しいです!
〇〇:ふふ、良かった。
〇〇:ここのサンドイッチ、結構好きなんだ。
彩:なんか、パンの歯応えがちょうど良くて…
彩:お肉がちょうど良い柔らかさで、レタスとトマトが新鮮で良いですよね。
〇〇:ふふ、食レポ上手だね。
彩:いえいえ、そんなー笑
彩:そのケーキも美味しそうですね。
〇〇:食べるかい?
彩:え、いや大丈夫ですよ。〇〇さんの分が減っちゃうし…
〇〇:良いよ、全然。
彩:え、ああ…
彩:じゃあ、私のサンドイッチ分けますね!
〇〇:良いの?
彩:はい。
〇〇:ありがとう。
彩:いえいえ。
彩:ふふ。
仲睦まじく、〇〇と彩はティータイムを楽しんでいた。
彩:あ、そうだ!
彩:今度、どこに行くか決めません?
〇〇:ああ、そうだね。
〇〇:折角だし、寛ぎながらゆっくり考えよっか。
彩:ふふ、そうしましょ。
そんな〇〇と彩を、カフェの外から覗いていたのは…
美空:〇、〇〇⁉️
美空:あの、女の子に興味無しだった〇〇が…
美空:あんな可愛い子と⁉️
美空:事件だ…
3話 完 (4話へ続く)
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