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憂鬱な日曜の夕方が、迷子の美人と出会って変わった話 最終話


「助けて、〇〇」


元カノからの突然のメッセージだった。

すぐさま彼女のもとに向かうことにした。

1人で行こうとしたが、


さくら:私も行きます。

〇〇:いや、俺1人で行きますよ。流石にさくらさんを巻き込むわけには…

飛鳥:だったら私も行くよ。

〇〇:へ?

飛鳥:結衣からなんでしょ?だったら私も行く。



結局、3人で結衣のもとへ行くことに…





最寄駅と結衣の住んでいるというマンションの名前を教えてもらい、俺たちは結衣のところに向かっていた。


そして、そのマンションに着きエレベーターに乗り、結衣の部屋があるという階に着いた。


エレベーターを降りてすぐ、叫び声が聞こえた。


〇〇:(結衣⁉️)


声の聞こえた部屋まで行くと、結衣の名前を叫んだ。


〇〇:結衣!


少しすると、


ガチャッ


結衣:〇〇!

玄関のドアが開けられ、涙目の結衣が顔を出した。

結衣:としくんが…としくんが…

ガシャンッ

部屋の奥でガラスの割れる音がした。


〇〇:ここにいて!

結衣を飛鳥さんに任せると、飛鳥さんが結衣を介抱してくれた。

飛鳥:もう大丈夫だから、結衣。

結衣:うぅ…すいません…


そして、部屋の奥へと進んだ。


さくら:(としくん…?)




リビングに着くと、ソファーに置かれていた枕は無造作に破られていて、床には割れたガラスの破片が散乱していた。


?:誰だよ、テメーは?


ひっくり返されたテーブルの横に膝をついていた男が、こっちを睨みつけてきた。

〇〇:お前か、結衣の彼氏ってのは?

?:だったら、なんだよ⁉️

?:てか人ん家に勝手に入ってんじゃねーぞ!

結衣の彼氏と思われる男に胸ぐらを掴まれた。



〇〇:結衣の元彼だ。

?:あ?

?:俺は結衣の前の彼氏だった。

?:はっ、でなんだ?俺から結衣を奪おうってか?

〇〇:ちげぇよ、結衣が助けを求めてきたんだよ。

〇〇:お前が暴れてるから。

?:⁉️な、余計なことを…

男は俺の胸ぐらを掴んでいた手を離して、結衣の方へ向かおうとしていた。


〇〇:やめろ。

その男の腕を掴んで引き留めた。

?:な、離せよ⁉️

〇〇:良いから落ち着け。

?:は?

〇〇:なんでこんなことしたのか、俺に話してくれ。

?:ふざけんな!

男は俺の手を振り払うと、再びこちらを向き睨みつけてきた。


?:お前に何が分かるって言うんだよ!?

?:どいつもこいつも、人を除け者扱いしやがってよぉ‼️

?:俺が何したって言うんだよ!

?:ただ真面目に働いてたのに、また急に首切りやがってよ!

?:うぜぇ、うぜぇ…

?:ああ、うぜぇえええんだよ‼️

〇〇:⁉️


その男から拳骨が飛んできた。


避けようと距離を取ろうとしたが、




さくら:やめて!



ぎゅっ


?:⁉️

〇〇:❗️


結衣と飛鳥さんと一緒に玄関付近に待機していた筈のさくらさんが、その男を引き留めるように背中から抱きついていた。


さくら:としくん、やめて!

?:⁉️

?:さ、さくらか…その声。

さくら:う、うん…

敏樹:は、は…俺…


バタンッ


男、いやさくらさんの元カレの草刈敏樹は拳を下ろして膝を床につき、号泣しだした。



それから、なんとか騒動は収まった。


草刈敏樹が結衣とさくらさんに謝罪し、その後結衣は草刈の家から引っ越したらしい。




結衣:〇〇、助けてくれてありがとう…

〇〇:良いって、そんな。

結衣:本当、私って身勝手だよね。

結衣:勝手に自分で振ってさ、いざとなったら助けを呼んでさ。

〇〇:なんでだよ、良いじゃんか。

結衣:え?

〇〇:そりゃ、今は彼氏彼女じゃないけどさ…

〇〇:でも、友だちではあるだろ?

結衣:〇〇…

〇〇:だから頼って良いんじゃないかな。

結衣:ズルいよ…

〇〇:?

結衣:そんな優しくしないでよ…そんなこと言われたら、また付き合いたくなるじゃん。

〇〇:結衣…


そのつもりでこうして話していた、こっちは。


でも、


結衣:だから、私になんかよりあの人にその優しさ注いであげてよ。

〇〇:え?

結衣:じゃあね、私行かなくちゃ。

〇〇:あ、ああ…

結衣:ありがとう、〇〇。


結衣はそのままキャリーケースを持って居なくなってしまった。






としくんはその後、飛鳥さんの配慮で逮捕には至らなかった。

あの後、飛鳥さんが知り合いの弁護士をとしくんに紹介してくれ、としくんがバイト先にされた不当解雇の証拠を集め、無事訴えが通じたみたいだった。


それからは、時々飛鳥さんのカウンセリングをとしくんは受けていた。



不当解雇をされてから精神が不安定だったとしくんに暴力を振るわれた私だったが、今はそんな自分を変えようと必死に頑張っている彼を見て、また彼とやり直そうと思った。

けれど、




敏樹:俺、地元に帰るよ。

さくら:そうなの?

敏樹:ああ、そこで働き口見つかったからさ。

さくら:そっか…

敏樹:今まで迷惑かけてごめんな。

さくら:としくん、私…

敏樹:それから、ありがとな。

さくら:あっ…



そのままとしくんは荷物を車に載せて、運転席に乗るとエンジンをかけて地元へ帰ってしまった。








それから、1ヶ月後…




〜〇〇の家〜


さくら:〇〇さ〜ん。

部屋で支度をしていると、さくらさんが入ってきた。

さくら:この格好どう思います?

正直どんな格好でも似合うって言うと思うけど、今目の前にしているさくらさんには思わず見惚れてしまった。


〇〇:え、ああ…

〇〇:すごく、かわいい…です。

さくら:良かった〜、じゃあこの格好にしますね。

〇〇:あ、ちょっ…

さくら:ん?どうしました?


呼び止めて、さくらさんのもとに寄った。


〇〇:俺のこの格好、似合ってますかね?

さくら:もちろん。

さくら:すごく爽やかでかっこいいですよ。

〇〇:いや、そんな…

〇〇:でも良かった、じゃあ俺もこの格好で。

そう言うと、さくらさんが微笑みながら小さく頷いた。



2人とも、大切だった人と別れた。

その辛さがお互いに分かるからこそ、

そしてお互いのことが好きだから、

付き合い始めることが出来た。



さくら:今日、楽しみですね。

〇〇:そうですね、すっごく。




さくらさんと目が合い微笑を浮かべると、

さくらさんも微笑み返してきた。


〇〇:じゃ、行きますか。

さくら:はい!



手を繋ぎ家を出た。



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