休み明け早々に早起きして家に凸ってくる幼馴染の気持ち
朝日が部屋に差し込んで、目が覚めた。
〇〇:ふぁ〜、学校行きたくねー
とボヤきながら時計を見る。
「7:00」
〇〇:なーんだ、もう少し寝てられるじゃん。
〇〇:寝よ。
今日は学校に行っても、始業式とHRしかないのでまだ楽な方だ。
二度寝を満喫しようと布団に篭ると、
〇母:〇〇ー、もう来てるわよ〜
と、下の階から母の大声が聞こえてきた。
〇〇:えぇ?何ー?
〇母:だから、遥香ちゃんもう来てるのよ。
玄関前に既に同級生の遥香が立って待っているらしい。
いつも、遥香は朝早起きして毎回俺の家に来て一緒に登校しようとする。
〇〇:にしても、早過ぎだろ…
せめて今日くらいゆっくり朝を迎えたかった。
仕方なく洗面所に向かい顔を急いで洗ってからタオルで拭いて、洗面所を出て玄関に向かう。
遥香:おはよう、〇〇!
遥香:って、まだその格好?
〇〇:いやな、お前が早すぎなの。
〇〇:まだ学校の門開くまで1時間以上あるだろうが。
遥香:良いじゃん!
遥香:そしたら、ゆっくり学校まで歩きながら喋れるし。
〇〇:俺は家でゆっくりしたいわ。
〇〇:じゃ、あとでな。
遥香:え、ちょっ…なんで閉め出そうとすんの?
〇〇:なんでって、支度まだ出来てないからだよ。
遥香:幼馴染1人外に残しておく気?
〇〇:遥香が勝手に来ただけだろ。
遥香:ちぇ、冷たいやつ。
軽く肩を叩かれ、ムスッとした顔をされた。
〇母:おはよう、はるちゃん。
遥香:あ、お母さんおはようございます。
〇母:えらいね、こんな早くにもう支度出来て。〇〇にも見習ってほしいわ。
〇〇:いや、こんなに早くなくて良いだろ?
〇母:あんたはギリギリまで寝過ぎなの、いつも。
〇〇:体力温存して、学校に備えてんの。
〇母:さぁ〜、どうだかね。
〇母:あ、それより良かったらはるちゃんも朝ごはんどう?今ね、フレンチトースト出来たから。
遥香:え、良いんですか?
遥香:ありがとうございます!
〇〇:余計なことを…
〇母:なんでよ、折角だし良いじゃない。ねぇ、はるちゃん?
遥香:良いでしょ、〇〇?
〇〇:お好きにどーぞ。
〇母:何よその態度。本当ごめんなさいね、はるちゃん。
遥香:良いんです、こういう奴なのは知ってますし笑
と母に満面の笑みを見せながら、俺の脇腹にパンチしてきた。
〇〇:はぁ〜、なんであんなテンション高いんだか…
と呆れながら制服に着替えた。
下に降りて食卓に向かうと、さっきまで5枚あったフレンチトーストが1枚、ぽつんと皿に置いてあった。
〇〇:え、母さんまた食べ過ぎたの?
遥香:違うよ、わたしだよ〜
〇母:あんた遅いから、2枚食べて良いよって言ったの。
〇〇:はい?
〇母:そうでもしないと急がないでしょ?
遥香:ほら、早くしないと…
〇〇:だめ!
遥香が取ろうとしたトーストを、素早く取って口に咥えた。
〇母:行儀悪い、座って食べなさい。
〇〇:ふぁって、ふぉられほうふぁっふぁから。
〇母:食べながら喋らない。
遥香:ぷぷっ、怒られてんの〜笑
母に叱られ、幼馴染に煽られて頭に血が上りそうだった。
遥香:ご馳走様でした〜
〇母:いいえ、気をつけていってらっしゃいね〜はるちゃん。
遥香:は〜い。
〇母:〇〇もはるちゃんと仲良くね〜
〇〇:へいへい、いってきます。
怠そうな顔をしながら、玄関のドアを閉めて外に出た。
通学路を歩いていると、遥香が前に来て顔を覗きこんできた。
〇〇:な、何?
遥香:どうした〇〇?
遥香:凄く機嫌悪くない?
〇〇:そうか?いつもこうだろ。
遥香:そうかな?
〇〇:というか遥香、お前の方がテンションおかしいのよ。
〇〇:春休み終わったばかりなのに、何故そう元気なのだ?
遥香:だってやっと学校に行けるんだよ?
遥香:もう休み中、恋しくて仕方なかったんだから〜
〇〇:はぁ〜…
なんでそう思えるのかと、少しその前向きな姿勢が羨ましく思った。
〇〇:でも今日は始業式で校長のくっそ長い話聞いてあとはHRして帰るだけだろ?
遥香:まぁ、そうだけど…
〇〇:だったら、ギリギリまで寝させてくれよ。
遥香:でもさ、その後にアニメストアに行こうと思うんだ〜
〇〇:え?
遥香:ほら、今日新発売のフィギュアが店に並ぶってさ。
〇〇:それを早く言えって!
遥香:お、やっと元気になった。
〇〇:ったり前だろ。俺はアニメ好きだし、将来アニメ描く仕事をしたいんだからな。
遥香:そういえば言ってたね。
そう、早く大人になってアニメの仕事がしたい。
だから、こんな退屈な高校から早く卒業したい。
まぁ、今よりずっと大変になるのは分かっているが。
遥香:でも〇〇って、いつも先のことばかり考え過ぎじゃない?
〇〇:な、なんだよ急に…
遥香:だっていつも、学校つまんないとかぼやいてさ。まぁ、退屈な授業があるのは分かるけど。
遥香:今楽しまないと、いつか後悔しちゃうぞ?
〇〇:んな事言われてもよ、退屈なのは退屈なの。
遥香:今しか出来ないことだって、沢山あると思うな〜例えばさ…
〇〇:例えば、ってなんだよ?
そう聞くと、遥香が白い歯を見せてニッコリしながら俺の後ろに回って背中に抱きついてきた。
遥香:こういうこと♪
ギュッ
〇〇:なっ!?
遥香:ふふふ♪
〇〇:おい、急に人の背中にのし掛かるなって!
遥香:はぁ〜、〇〇の背中居心地良いわ〜
〇〇:重いから退け、今すぐ。
遥香:な、今重いって言ったな!
コツン
〇〇:痛ッ
遥香:もう、そんなんだから友だち出来ないんだよー
反論しようと思ったが、唯一の学校での友だちと呼べる存在が遥香しかいないとも思っていたので言うのをやめた。
〇〇:ったく、痛いところつくな…
〇〇:けど良いんだよ、俺には遥香だけで。
遥香:え?
〇〇:だから、俺には遥香がいるから良いの。
遥香:ふ〜ん、そっか。
遥香:嬉しいこと言うじゃん!
〇〇:どっちだよ、友だち増やして欲しいのかそうじゃないのか。
遥香:え、それは…〇〇に友だちは増えて欲しいけど…
〇〇:何?
遥香:やっぱ言うのやーめた。
〇〇:んだよ、それ…
遥香:良いから行こ、学校に。
〇〇:あ、ああ。
何を言おうとしていたか分からないまま、俺は遥香と学校に向かった。
遥香:(もう、鈍感なんだから)
遥香:(こっちは、〇〇が好きだってのに…)
fin.
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