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Welcome to Dark Deception

(※過激な描写が含まれていますので、苦手な方は読まないことを推奨します。読まれる際は自己責任でお願いします。)


暗闇が果てしなく続く空間。

そこに1つの光が出現し、

光の中から宙に浮いて眠る者が…



菜緒:・・・

菜緒:(どこ、ここは?)

菜緒:(どうなったの、私…)

不思議な感覚に包まれながら菜緒は目を覚まし、暗闇の床に足で立つ。

菜緒:(何もない…)

驚くことも嘆くこともなく、菜緒はただ呆然としていた。



?:あら、そんなことはないわ。

菜緒:!?

暗闇から声が聞こえ、辺りを見回した。

?:ここよ、私は。

暗黒の空間から紫の光が出現し、やがて辺り一体をその光が包んでいく。

菜緒:なっ!?

?:どう、これで見やすくなったでしょ?

菜緒:誰なの、あなた…



菜緒の目の前には銀髪で目がエメラルドグリーンに輝く魔女が、不敵な笑みを浮かべて立っていた。



?:失礼、名前を言ってなかったわね。

?:ビアスよ。

菜緒:ビアス…

ビアス:ああ、あなたの名前なら知っているわ。

もちろん、あなたがここに来る前に壮絶な最期を遂げたこともね…、小坂菜緒。

菜緒:!


魔女の言葉で、忌々しい出来事が菜緒の脳に蘇ってきた。




〜数時間前〜


菜緒:なんでなの!?

綾:だから、もうお前とは一緒にいられない。

菜緒:他に好きな子ができたから!?

綾:ああ、そうだ。

菜緒:!

菜緒:なんでよ、私のこと嫌いになったの?

綾:そうだ、だから…

菜緒:!?



グサッ



綾:消えてくれ…




目の前で刃が光ったかと思いきや、次の瞬間胸部に突き刺さる感覚がし、耳元で囁かれた。



菜緒:っ・・・!?



その瞬間、口と胸から赤い液体が流れ出て止まることなく、やがて体から熱と力が失われていくのを感じた。



バタンッ



〜現在〜


菜緒:(許せない・・・)

ビアス:あはははは、良いわその恨み!

菜緒:!?

ビアス:あなたの感情はよく見えるのよ、純粋な赤くて激しい憎悪。

ビアス:だからこそ、あなたにチャンスが与えられたの。

菜緒:チャンス・・?


パチンッ


指を鳴らす音が空間に響くと、

周囲の景色が一変して中世の洋館にいつの間にか立っていた。



菜緒:・・・こ、ここは?

ビアス:私の拠点、とでも言えば良いかしら。

ビアス:もし蘇って復讐を果たしたいなら、力になれるわ。

菜緒:復讐・・・

ビアス:でもそれには、あなたにやってもらいたいことがあるの。

菜緒:・・・なんなの、それは?

菜緒がビアスに聞いた瞬間、口が血まみれの目が真っ黒な猿の顔の形をしたポータルが出現した。



菜緒:!

ビアス:このポータルをくぐった先に、悪夢の空間が広がっているわ。その悪夢の中に紫に輝く結晶の形をしたソウルシャードが無数に散らばっているわ。それをすべて集めると出現するリングピースを手に入れ、ここに戻ってきて。

菜緒:ソウルシャード?リングピース?

ビアス:ソウルシャードは、その悪夢の中で散った人間の魂よ。

菜緒:人間の魂・・・

ビアス:あなたより前にも、この悪夢に入った人間はいるってこと。

ビアス:入れば分かるわ、もっとも嫌なら強制はしないわ。

菜緒:・・・



拳を握り締め、菜緒はそのポータルに向かって歩みを進めた。



ビアス:幸運を祈っているわ。


背後からビアスに声をかけられ、菜緒はポータルをくぐっていく。




菜緒:・・・


ポータルをくぐり抜けると、そこはどこか怪しい雰囲気を醸し出しているホテルの中だった。


天井や床にこびりついた汚れや蜘蛛の巣、

埃にまみれたホテルのカウンター、

そして時折点滅する照明器具。



銅像の横を通り過ぎて、菜緒は足を進めた。



菜緒:!あれは・・・

ホテルの廊下を進んでいくと、目の前に紫に輝くクリスタルが宙に浮いていた。

菜緒:ソウルシャード・・・

菜緒がそのクリスタルに手を触れると、


(獣の叫び声)


菜緒:!?

ビアス:ふふ、もちろんそんな簡単にリングピースは手に入れられないわよ?

菜緒:な、どういうこと!?

菜緒の脳内にビアスの声が響く。


ビアス:あなたがソウルシャードに触れて、この悪夢が作り出したモンスターが目覚めたのよ。

菜緒:聞いてないわよ、そんなの!!

ビアス:健闘を祈るわ、その空間にある全てを屈指することね。

菜緒:待て!!

ビアスの声が聞こえなくなり、それと同時にモンスターの荒い息遣いが近づいていた。

菜緒:(っ、集めるしかないのね・・・)


瞳に怒りを込めて、菜緒は走り出した。




菜緒:はぁ…はぁ…


(猿の叫び声)


菜緒:!?


前方に、口から血を流し刃物を装備し目が充血した巨大な猿が迫ってきていた。


菜緒:もぉぉう!!!!


苛立ちを募らせて、菜緒は猿から距離を取るために引き返して別の道を進んで行った。



一体いつになったらリングピースは現れるのか?


焦燥感に追われ、ただひたすらソウルシャードを集めていた菜緒にも体力の限界が近づいていた。



菜緒:!ソウルシャード・・・

人間の魂がこもっているというこのクリスタル。

一体どれほどの人間がこの悪夢に挑み、そして散っていったのか…

そんなことを思いながら、息を切らした菜緒は目の前のソウルシャードに触れた。


菜緒:あがっ!!??

突然激しい頭痛に襲われたかと思いきや、菜緒の脳内に映像が映し出された。

ビアス:素晴らしいわ、リングピースが出現したわ。

菜緒:これが、リング・・・ピース。

脳内の映像には、先ほどのポータルを通ってすぐのところに建っていた銅像の手に巨大な紫の結晶が持たれているのが映し出された。

ビアス:来た道を戻るのよ!

脳内に響くビアスの言葉に従い、菜緒は走り出しリングピースのもとに向かっていく。


菜緒:はぁ・・・はぁ・・・

(猿たちの叫び声)

背後からは、巨大な猿たちが先ほどより気性が荒くなったのを思わせる身動きをして追いかけて来ていた。


肺が締め付けられる感覚と追われるプレッシャー、そして足の痛み。


菜緒から命を奪おうと、あらゆる障害が襲いかかってくる。


菜緒:!


ようやくポータル付近に戻ってくると、銅像に確かに巨大なリングピースが出現していた。



菜緒:っ!?


手に取ると、その重さに圧倒された。


(猿たちの叫び声)



菜緒:(もう来たの!?)

ビアス:早くポータルを抜けて!!

菜緒:!


最後の力を振り絞って、菜緒はポータルまで走りくぐり抜けた。




ビアス:よくやったわ。

菜緒:はぁ…はぁ…

魔女の拠点に戻ってきた菜緒は体力が完全に消耗し切っていて、会話する余裕すらなかった。

ビアス:さて、約束通りあなたを蘇らせてあげるわ。

菜緒:・・・・

ビアス:ふふ、蘇って復讐する力も与えるわ、もちろん。

ビアスがリングピースに左手で触れ力を取り出すと、右手を広げて菜緒の方に向けた。

その右手から紫の閃光が放たれ、菜緒の体に直撃した。



菜緒:はぐっ・・・う、ぁあああああ!!!!!

激痛が全身に走り、菜緒は叫んだ。

そして、この空間から菜緒の肉体は消えた。



ビアス:(復讐に、乾杯・・・)








菜緒:・・・・

目を覚ました菜緒の前には、とあるマンションがそびえ建っていた。

菜緒:(生き返ったのか、私…)

菜緒が自身の右手を見ると、紫に光っていた。

菜緒:・・・ふふ。

そして、自分がすべきことを悟った菜緒は、マンションの階段を登っていく。



しばらくして、とある部屋の前に菜緒はたどり着いた。


「404号室」


菜緒がドアノブに右手をかざすと、手から電撃が放たれドアの鍵が破壊された。


ガチャッ


部屋の奥からは、男と女がまぐわっているのが聞いて取れた。

その男の声は、菜緒にとって聞き馴染みのある声だった。


スタッスタッ


?:だ、誰あんた!?

綾:な、菜緒・・・どうして?

慌てた表情をする綾とは対照的に、菜緒は不気味なくらい笑っていた。

菜緒:楽しそうだね〜

菜緒:でももう終わりだよ、だって








君たち消えるから。





部屋に紫の稲妻が放出され、菜緒を裏切った者とその相手の断末魔が響いた。



稲妻が止んだ頃、ベッドには二体の人間の骨がバラバラになって落ちていた。


菜緒:ふふ、ようこそ…悪夢の世界へ。


fin.

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