負けず嫌いから僕っ子の幼馴染をデートに誘った
〜サークルの部屋〜
理々杏:いぇ〜い、僕の勝ち〜
〇〇:な、また負けかよ…運良過ぎだろ、理々杏は。
理々杏:いやいや、僕の作戦のうちだから。
ポニテにした髪を触りながら理々杏が勝ち誇っていた。
ポケカで対戦して、また理々杏に負けた。
カランッ
自販機の取り出し口から買った缶コーヒーを取り出して理々杏に渡した。
〇〇:ほいよ。
理々杏:ありがと〜、〇〇。
〇〇:はぁ〜、次は絶対勝つわ!
今日で奢らされるのは最後のつもりで意気込んだ。
理々杏:無理だって、僕強いもん!
〇〇:その自慢の鼻へし折ってやる!
理々杏:おお、怖い怖い。でも、可愛い!
〇〇:な、やめろ理々杏!だ、だははッ!
脇をくすぐられ、涙が出るくらい笑った。
理々杏:じゃ、またね〜
〇〇:げほ、何がまたね〜だ!
理々杏:ふふ〜ん♪
理々杏に散々やられて別れると、1人で叫んだ。
〇〇:ちくしょー、なんで負けてばっかなんだー!
瑠奈:おやおや、また幼馴染に完敗な様子ですね〜〇〇さん。
〇〇:な、林いたのか。
大学の同期の林がニヤつきながら立っていた。
瑠奈:うん。ところでさ、理々杏の弱点って知っている?
〇〇:弱点?もしかして、ポケカで理々杏に勝てる方法か⁉️
瑠奈:違うよ!理々杏ってね、意外とこういうのが好きで…
持っていたバックから一冊の漫画を取り出した林がページを開く。
〇〇:ん?少女漫画?
瑠奈:は〜、理人さま〜!どうか、私の執事に…
読んでいた林は、漫画の世界に完全に入り込んでいた。
〇〇:お〜い、林さーん?話戻ってもらって良いですかい?
瑠奈:はっ!ああ、ごめんごめん。いや理々杏って昔から僕っ子じゃん?
〇〇:うんうん。
瑠奈:それに何かと言うと男勝りな感じじゃん?
〇〇:ん、まぁ…俺より脚速いし、なんかポケカは強いし、あと女子にモテる。
瑠奈:でしょ?でもね、理々杏これ読んでいるとき凄く乙女なのよ。「僕もこんな男の人と付き合いたいな〜」なんて。
〇〇:ぶふッ。
失礼ながら笑ってしまった。
〇〇:嘘嘘、無い無い!あの理々杏に限ってそんなわけ。
瑠奈:いやいや、これが本当なのよ〇〇さん。でですよ、私から提案があるんですよ〜
〇〇:提案?まぁ、聞くだけ聞くか。
瑠奈:理々杏をデートに誘ってみたらどうかなって。
〇〇:へ?今なんて?
瑠奈:だから、デートに誘うんだよ。それで告白するの。
〇〇:いやいや、無理だよ林!だって、こんな俺じゃ…ふざけてるって思われるよ。
瑠奈:いやそんなことないと思うけどな〜これで〇〇もやる時はやる男って見せられるじゃん!
〇〇:で、でももし向こうがその気じゃなかったらどうしよう…
瑠奈:その時は酒でも飲もう。
〇〇:いや、なんて適当なんだ…
瑠奈:ほんじゃ、報告楽しみにしてまーす。
〇〇:って、おい!
そのまま、林もいなくなった。
家に帰って、部屋のベッドで仰向けになっていた。
〇〇:デートか…
先ほどの林との会話で、何故かいつの間にか自分でも真面目に理々杏をデートに誘うか悩んでいた。
〇〇:理々杏と行くならどこが良いかな?
そう言いながら、ネットで「カップル おすすめスポット」だなんて検索かけて色々調べたりし始めた。
〜翌朝〜
〇〇:う〜、色々調べたら寝不足に…
ふらふらしながら講義を聞いていた。
そして講義が終わると、肩を叩かれた。
理々杏:よっ、また夜更かししてゲームでもしてたの?
〇〇:えっ、いや…ん、まぁ…
本当のことが言えず誤魔化した。
理々杏:もうダメだよ。寝不足は肌に悪いんだぞ。
〇〇:う、うん…気をつけるよ。
理々杏:あ、お昼一緒に食べようよ。
〇〇:うん。
理々杏と一緒に食堂に向かい、テーブルの席に座った。
理々杏:〇〇、どうした?
〇〇:あのさ、理々杏。
理々杏:うん、何?
普段、確かに理々杏は俺をちょっと小馬鹿にした感じで接することが多いが、本気で悩んでいたりすると親身になって話を聞いてくれる。
今の理々杏はその時と同じ目をしていた。
〇〇:その…良かったら今度…
理々杏:うん。
〇〇:で、で…
躊躇うな、あと少しだろ?
〇〇:デートしない?
理々杏:え、僕と…?
〇〇:う、うん…
確かに理々杏が初めて迷っている感じを見せていた。
理々杏:うん、行こ。
でも直ぐにニコッとして返事をしてくれた。
理々杏:僕も〇〇とデートしたかったんだ。
〇〇:そう、か。嬉しいな。
理々杏:うん。
嬉しさを隠している感じの理々杏が、いつも以上に可愛く見えて仕方なかった。
そして、デート当日。
約束した時間に駅で待ち合わせしていると、理々杏がやって来た。
理々杏:お待たせ〜
〇〇:理々杏。
今日の為に用意したであろう理々杏のコーデに見惚れてしまった。
〇〇:(可愛い…)
理々杏:〇〇、いつもよりカッコ良いじゃん。
〇〇:え、あ、ありがとう。
理々杏:僕より格好良くなるなんて生意気だな〜
〇〇:な、良いだろ!今日くらい!そっちこそ、何か…
理々杏:ん、何?
〇〇:何か、か、可愛いじゃん。
理々杏:そう?えへへ、嬉しいな。そう言ってもらえて。
やっぱりいつもと違う理々杏だった。
揶揄ってきたりしていつも通りを見せようとしているけど、時折ちょっと顔が赤くなっていた。
〇〇:じゃ、行こ。
理々杏:うん。
理々杏と手を繋ぐと2人とも手が冷たかった。
〇〇:ひっ。
理々杏:ふふ、2人とも冷たいね笑
〇〇:そうだね笑
段々と胸が高鳴っているのが感じられた。
それから、理々杏と水族館に行ったり、お昼に
展望レストランで景色楽しみながら食事をしたり、映画館でラブストーリー系の映画を観たりした。
〜水族館〜
理々杏:イルカさん、可愛いね。
水槽のガラス窓に顔を近づけて来たイルカを見て理々杏が言った。
〇〇:そうだね、一緒に撮る?
理々杏:良いね、撮ろう。
俺と理々杏の間にイルカさんを挟んだように見える形で写真を撮った。
〜展望レストラン〜
理々杏:見て、下のビルちっちゃい!
〇〇:ほんとだ。
理々杏:凄いね、ここ。
〇〇:うん、ここ一緒に来たくてさ。
理々杏:ふふ、嬉しいな。〇〇がそう思ってくれたなんて。
やっぱりいつもと違って、喜んでいる姿を理々杏に見せられ続けて、慣れない自分がいた。
でも、何か楽しいのは本当だった。
〜映画館〜
一緒に観ていて、途中で理々杏が手を繋いできて肩に頭を乗せてきた。
〇〇:(何か、恋人同士みたい…)
幼馴染と思っていた隣の理々杏のことを、より意識した瞬間だった。
そして夜になり、理々杏と2人で夜のイルミネーションを歩きながら鑑賞していた。
理々杏:綺麗だね。
〇〇:うん、凄く綺麗。
幻想的という言葉が似合う色合いのイルミネーションに、2人で手を繋ぎながら見惚れていた。
理々杏:〇〇、僕今日今まで1番幸せかも。
〇〇:そっか。俺もかも。
理々杏:ありがとうね、〇〇。
〇〇:うん。理々杏もありがとう、俺の誘い受け入れてくれて。
理々杏:それは当たり前だよ。だって…
理々杏が下を向き始めていた。
理々杏:だって僕…
〇〇:理々杏?
理々杏:〇〇のこと好きだもん。
突然だった。
幼馴染から想いを伝えられた。
その時、自分が理々杏に何かで勝ちたいと思ってこのデートを誘おうとしていた自分が恥ずかしくなった。
でも、それ以上に理々杏の想いが知れて嬉しかった。
〇〇:俺も、理々杏が好き。
そう答え理々杏の顔を見ると、理々杏が嬉し涙を流していた。
理々杏:嬉しい。
俺はハンカチを貸してあげた。
〇〇:よろしくね、理々杏。
理々杏:うん、よろしく〇〇。
理々杏と恋人同士にその瞬間からなった。
瑠奈:おほー、おめでとう‼️
〇〇:なんか、お前に感謝しなきゃだな。ありがとう林、林の提案のおかげで理々杏の気持ちがわかった。
瑠奈:いえいえ。じゃ、お幸せに〜
経緯を伝えて林と別れた。
理々杏:〇〇、何話していたの?
〇〇:え?いや、理々杏と付き合うことになったって言った。
理々杏:そっか。
〇〇:うん。
理々杏:何か実感湧かないね。
〇〇:確かに…
理々杏:一緒にいるのが長過ぎたからかな?
〇〇:そうかもな。
理々杏:でも何かそれも良いよね。
〇〇:うん。
理々杏:ふふ、やっぱり〇〇可愛いい。
〇〇:な、やめろってば!
頬をツンツン突っついて来た理々杏の手を止めた。
理々杏:ごめんごめん笑
〇〇:ったく、相変わらずだな笑
俺と理々杏の関係は大きく変わった筈だが、それでも変わらないものがある気がした。
それが、俺と理々杏の大切なものなんだと思う。
fin.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?