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一時停止



停止する

※アレルギーを発症した時の手指の写真を載せています。苦手な方は閲覧をお控えください。

振り返れば、私は結構停止することが多い人生のように思います。
数週間から数ヶ月、一旦停止状態になることが、数年に一度起こります。その前は、そこそこ自分なりに頑張って働いています。そして、プツッと停止するのです。
なので、人よりも休みが多い感覚になることがあります。学生と一緒で、時間だけはある状態。旅行に行こうとか、遊びに行こうとかは、金銭面で難しい。何より、社会人なのにどこにも属さない宙ぶらりんの足元が不安定な状態というのは、罪悪感さえ覚えます。
今回も、コロナに罹患したことで、停止状態へ。
この停止も、必要だから起こったと仮定するならば、では前回はどうだったのか、少々振り返ってみたいと思います。

前回はアレルギーの発症で一旦停止

私はネイリストです。ちなみにネイリストとは和製英語なので、海外では通じません。正式にはマニキュアリストと言った方がよいそうです。爪のお手入れをする人です。
数年前までは、爪にジェルで色を塗ったり、絵を描いたり、ストーンを載せたりする、ジェルネイルを施すネイリストでした。大変ですが、楽しかったし好きでした。
それが一変したのは2019年5月、アレルギーの発症です。

手の甲からスタート2019/5/14
ぷつぷつが痒い2019/5/14


最初は手の甲の痒みから。徐々に指先に水疱ができ、酷い痒みが伴うようになりました。痒くて眠れなくなりましたし、寝た後も掻きむしっているようで、朝は血が滲んでいることもありました。
さらには、体全体に蕁麻疹も発症。喉に痒みと息苦しさが出た時は、慌ててアレルギー科のある近所の内科に駆け込み、症状を抑える点滴をしてもらいました。
その後、近くに大学病院があったので、そちらの皮膚科に移ることにしました。
蕁麻疹は食べ物を疑われましたが、今思うと手指のアレルギー症状がストレスになって、副次的に引き起こされたものだったように思います。
後々、39項目のアレルギー検査を行いましたが、比較的高い数値が出たのは、ハウスダストとダニと杉のみでした。食べ物は何でも食べられます。

さて、大学病院では、ジェルネイルを持ち込んでパッチテストを行いました。皮膚に何種類かのジェルを載せて1週間の経過を見るというものです。赤く腫れたので、原因はジェルネイルと特定されましたが、ジェルの中には様々な化学物質が入っているので、その中の何に反応しているかまではわかりません。
アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬と、皮膚にはステロイド剤が処方されました。
※一番症状が酷かった時に飲んでいた薬……ベポタスチンベシル酸塩錠10mg「タナベ」。これだけだと痒みが取れず、夜は追加でアタラックス−Pカプセル25mg。皮膚には強力なステロイド剤デルモベート軟膏0.05%と、亜鉛華軟膏を塗っていました。

手のひらにも水疱(右手)2019/5/31
左手2019/5/31



一度アレルギーを発症すると、解決方法はアレルギーを引き起こす物質を避けるしかありません。仕事が出来なくなりました。
正確に言うと、アレルギーが出始めた最初の頃は、ちょっと粘りました。指先にビニルサックをかぶせたり、手袋をしてみたり。続けられないかなと、対策をしたらよくなるのではないかなと。
全身に蕁麻疹が出て、顔がぱんぱんに腫れて、諦めがつきました。

美容業界には、辞めると会社に申し入れをしてから、三か月位は働く暗黙のルールがあります。ないところもあると思いますが、結構あります。
私の場合は、これから夏の繁忙期を迎える直前だったこともあり、6、7、8月の三か月間は続けたいと自らお願いしました。オーナーは、病気なら仕方ないねと労わってくださったので、当月でも辞めるのは可能だったのですが、出来そうな気がしていたのです。その時は。
結果を言いますと、早々に6月中には退職するべきでした。
身体のほうが三か月経つ前にに悲鳴をあげまして、耐えきれず、中途半端な8月18日くらいで辞めさせてもらいました。あと少しだったのに!
痛みには多分耐えられたと思うのですが、痒みがダメでした。あとは、指先を手袋などで保護しても、薬剤が多少なりとも染み込むのは避けられず、その度に激痛が走るのも辛かったです。
私の見通しの甘さでお店にご迷惑をおかけしました。自分の体のことを考えたなら、6月に退職し、体を労わりながら、今後の身の振り方を考えたほうがよかったと思います。反省点です。

停止中

失業手当をいただきながら、即、就職活動を始めました。時間を空けてはいけないと、ネットでジェルを使わずにネイリストができないか探しました。
せっかく身に着けた技術を生かせないなんてありえないって思って探しました。あんまり見つかりませんでした。ネイルサロンの9割は、ジェルネイルのお店だと思って間違いないです。
見つからないので、フットケア専門店のほうにも手を広げました。ここで失敗します。とある方向性の欲望に飲み込まれて、道を間違えました。その時のことを、もしかしたらいずれ書く日がやってくるかもしれません。今思い出しても、とても恥ずかしい。顔向けできない場所が、あちこちに出来ています。そんなやらかしばかりしていました。
それでも、その後、一番良い就職先と出会うことができました。四十年以上続く、ジェルネイルは一切行わないネイルケア、マニキュアの専門店です。老舗で東京以外には大阪にもお店があります。ロングルアージュと言います。11月1日付で銀座店へ入社が決まったのでした。(現ロングルアージュ銀座店。2019年当時はTAACOBA銀座店)
ロングルアージュに雇っていただいたことで、フットケアに対する興味が必然的に高まることになります。その時のこともいずれ書けたらいいなと思います。
なお、ネイルケアのお店でも、軟化剤などを使うので手荒れは続きました。症状が落ち着いてきたのは、ここ一年程です。

なぜ停止したのか?

ネイリストがジェルアレルギーになって、一旦停止。その後もネイルに関わる仕事は諦められずに、ネイルケアという分野に舵を切ったお話しでした。
私はジェルアレルギーになったことを、ポジティブに受け止めることができました。痒いのは嫌だけど、感謝もしています。
それは、ネイルケア、フットケアという分野に出会えたからです。噛み癖による深爪や、二枚爪、欠け、足の巻き爪、陥入爪といったトラブル爪への対応がとっても好きです。
ジェルネイルも好きでしたが、少々完璧主義の傾向がある私にとって、荷が勝ちすぎるところがありました。
幼稚園生の頃から、私の周りには絵がとても上手な友人がおりまして、彼女たちに憧れていました。絵がうまい人というのは、あまり迷いなくすらっと描いて見せるのです。もちろん努力もしているはずですが、スタート地点が違うように思います。私は、お手本を見ながら頑張って、まあ見れるねっていうレベルです。下手ではないと思いますが、自分が納得できるほどうまくはない。オリジナリティーもない。時間もかかります。
なまじ見る目は肥えているので、自分の絵に自信はもてません。持ち込みネイルのご予約をいただくと、前日から緊張しました。ニュアンスだと良いなって祈ってました。薔薇の花なんて依頼されたら、断るかシールにしようって思ってました。その方がお互いが幸せになれます。

絵が得意でなくても、ネイリストにはなれます。一般の方の多くが、ネイリストはみんな絵がうまいだろうと思っていらっしゃるようですが、そんなことはありません。
今はニュアンスネイルの方が人気のようにも思いますので、手描きの絵を希望される方は、それを押し出しているサロンに行かれることをお勧めします。全員が美しい薔薇の絵を描けるわけではないと、心にとめておいていただけると本当に嬉しいです。特に漫画やアニメのキャラクターなど描いて欲しいって思った時は、専門店に行きましょう。自分の趣味に合致したサロンを探してお出かけください。
というわけで、爪にデザインを施すことに未練がなかったのも幸いしました。むしろ、アレルギーにならずに今も続けていたら、行き詰っていた可能性の方が高いです。
前回の一旦停止を意味付けするなら、それは私の人生を、より自分の本性に合った方向へと導くために起こったことでした。
美容ではなく、ケア。そちらのほうが、私の性に合っていたのです。
最初からケアに出会えていたらとも思いません。美容目的のジェルネイルから始めたからこそ、わかることやできる技術もあります。手数は多い方が良いのです。
必然的、運命的、意味のある偶然、なんと言ってもいいですが、人生の方向転換をするために、一時停止が起こりました。
後から西洋占星術でその当時のホロスコープを見たのですが、2019年8月1日にプログレスの月が12ハウスから1ハウスに移動していました。約28年かけて月はホロスコープを一周するのですが、1ハウス、新たなスタート地点に立ったところだったのです。面白いですね。
今回のコロナでの一時停止は、前回ほど長くはありません。それでも、何かしら思うところはあるので、それについて探ってみようと思っています。私一人では限界があるので、お手伝いもお願いしています。
過去を振り返れば、ショックは受けましたが、止まってしまったことは、別に悪いことが起きたわけではなかったのです。
まずは、それを心にとめておきます。

9月2日土曜日から、お仕事を再開できました。
心配してくださった皆様、ありがとうございます。
手と足の施術、問題なくできますのでぜひご依頼くださいませ。

お爪屋さん瑞花 白圡幸恵(yukie shirato)
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