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第30回全米映画俳優組合賞で涙を飲んだ俳優たち

 昨日第30回全米映画俳優組合賞(SAG:サッグ)が発表されました。

 批評家賞のノミネート、受賞状況を見ると少し驚きの部分が少しありましたが、オスカーウォッチャーとしては俄然面白くなってきました。

 先日のゴールデングローブ賞しかり、アフリカ系やアジア系、アメリカ以外の国の会員を増やしたことにより、多様性を重視したノミネーションになることが多いですが、SAGは昔のアカデミー賞のようなラインナップだな〜というのが率直な印象です。

 今日は「誰が落ちたのか」という面で主にノミネーションを見ていきたいと思います。

主演男優賞

ブラッドリー・クーパー(マエストロ:その音楽と愛と)
コールマン・ドミンゴ(ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男)
ポール・ジアマッティ(The Holdovers)
キリアン・マーフィ(オッペンハイマー)
ジェフリー・ライト(American Fiction)

第30回映画俳優組合賞「主演男優賞」ノミネート一覧

 以上がノミネートされたみなさんです。
 批評家賞などでのノミネート数トップ10に入りながら、候補を逃した方は以下の通りです。

アンドリュー・スコット(異人たち):23
レオナルド・ディカプリオ(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン):11
バリー・コーガン(Saltburn):9
役所広司(PERFECT DAYS):6

賞レースノミネート数トップ10以内の主演男優

 個人的には『ラスティン〜』は全然面白くなかった(きっぱり)ので、アンドリュー・スコットが入って欲しかったですが、アイルランド人なのでしょうがないかな、という感じです。
 正直コールマン・ドミンゴより演技はレオ様のほうが断然良かったですが、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の勢いが大分落ちてきたのでしょうがないかも。受賞済みですしね。

主演女優賞

アネット・ベニング(ナイアド その決意は海を越える)
リリー・グラッドストーン(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
キャリー・マリガン(マエストロ:その音楽と愛と)
マーゴット・ロビー(バービー)
エマ・ストーン(哀れなるものたち)

第30回映画俳優組合賞「主演女優賞」ノミネート一覧

 アメリカ人強し!まぁ組合賞に加盟してるのは(主に)アメリカ人なのでしょうがないのですが…。

ザンドラ・ヒュラー(落下の解剖学):28
グレタ・リー(パスト ライブス/再会):29
ナタリー・ポートマン(May December):13
ケイリー・スピーニー(Priscilla):5
ファンタジア・バリノ(カラーパープル):4
テヤナ・テイラー(A Thousand and One):3
アルマ・ポウスティ(枯れ葉):3

賞レースノミネート数トップ10以内の主演女優

 正直この中からアメリカ人であるグレタ・リーが落ちたのは解せないですね。多様性とは…。
 リリー・グラッドストーンが本命中の本命なので、ほかはいいかという感じなのかもしれませんが、主演女優賞は白すぎる感じです。

助演男優賞

スターリング・K・ブラウン(American Fiction)
ウィレム・デフォー(哀れなるものたち)
ロバート・デ・ニーロ(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
ロバート・ダウニー・ジュニア(オッペンハイマー)
ライアン・ゴズリング(バービー)

第30回映画俳優組合賞「助演男優賞」ノミネート一覧

 これまでの傾向とかなり違ったのが助演男優賞です。
 何よりウィレム・デフォーが入ったこと。

 賞レースがはじまるまでは、彼のノミネートはもちろん受賞も期待されていましたが、いざ蓋を開けてみるとマーク・ラファロ一色の評価だったのにSAGでは漏れてしまいました。
 こういうときベテランは強いですね。

 マーク・ラファロもベテランだし、スターパワーもあるのにな…。

チャールズ・メルトン(May December):34
マーク・ラファロ(哀れなるものたち):30
ドミニク・セッサ(The Holdovers):12
グレン・ハワートン(ブラックベリー):12
ポール・メスカル(異人たち):3

賞レースノミネート数トップ10以内の助演男優

 そして賞レースで善戦してたチャールズ・メルトンも候補落ち。
 'May December'チームが基本的に完全に無視されている感じです。

 これはNetflix作品であることと、それを覆す評価を得られなかったからかと思います。Aリストスターじゃない俳優たちは配信系映画会社に恨みがあるのかも…。

助演女優賞

エミリー・ブラント(オッペンハイマー)
ダニエル・ブルックス(カラーパープル)
ペネロペ・クルス(Ferrari)
ジョディ・フォスター(ナイアド その決意は海を越える)
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(The Holdovers)

第30回映画俳優組合賞「助演女優賞」ノミネート一覧

 競ったときのメリル・ストリープ、ジュディ・デンチ、キャシー・ベイツは強い!という印象がありますが、ペネロペ・クルスもその域に達した感があります。

 あとアネット・ベニング、ジョディ・フォスターはやっぱり尊敬しているひとが多いのだろうなという印象。

レイチェル・マクアダムス(神さま聞いてる? これが私の生きる道?!):25
ジュリアン・ムーア(May December):21
ロザムンド・パイク(Saltburn):10
アメリカ・フェレーラ(バービー):10

賞レースノミネート数トップ10以内の助演女優

 逆に快走してたのに漏れたのはレイチェル・マクアダムス。
 彼女は前評判全然だったのに、賞レースが進むにつれ頭角を現してきた感じなので、まぁしょうがないかなという感じ。

 ジュリアン・ムーアもNetflix外しの憂き目に遭った感じだけど、アカデミー賞ではわからない。

 逆にロザムンド・パイクとアメリカ・フェレーラの候補入りの可能性はほぼなくなったと見ていいと思います。

アンサンブル演技賞

 SAGのアンサンブル演技賞はほぼ作品賞なので、作品賞のノミネートトップ10と比べていきます。

American Fiction
バービー
カラーパープル
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
オッペンハイマー

第30回映画俳優組合賞「アンサンブル演技賞」ノミネート一覧

 とはいえ「アンサンブル演技賞」なので、一人芝居っぽい映画などは外されることがほとんどです。アンサンブルしてないし。あとアニメーションも当たり前ですが入らない。

パスト ライブス/再会:39
哀れなるものたち:35
The Holdovers:32
May December:21
The Zone of Interest:18
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース:14

賞レースノミネート数トップ10以内の作品

 この外れた作品を見ると、外国映画の'The Zone of Interest'と『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』はともかく、ほかの作品は解せない感じですね。
 'May December'はNetflix外しか。

 『パスト ライブス/再会』はグレタ・リー、『哀れなるものたち』はエマ・ストーンの独壇場っぽい感じだけど、'The Holdovers'が外れたのはちょっと理解できないですね。
 インディペンデント作品ってSAGではあまり評価されないんでしたっけ?

本日の一曲

 最多ノミネートの『オッペンハイマー』からと思いましたが、歌曲賞にノミネートされそうもないので、次点の『バービー』より。

 めっちゃジムでかかってる印象があります。


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