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「ダサい」以前にもうちょっと考えて欲しい映画の邦題の話

 日本の映画ファンにとって「邦題」というのは永遠のテーマで、主に「ダサい」ということに注目が置かれ、過去の名邦題を称賛するという流れになりがちです。

 ですが、「バズる」ことが至上命題みたいになっている昨今においては無難な邦題より、「ダサくて話題になる方がむしろ良いのでは?」と思い始めています。

 ところがです。

 X(旧twitter)の#2023年映画ベストという企画が面白かったので、そのランキングを4回にも分けて投稿したわけですが、記事でも何度も書いたとおり、集計するにあたり、名寄せが辛かったです。

 つまりダサいとかじゃなくて、漢字+ひらがな+カタカナ+記号という和文特有のややこしさを存分に生かしたタイトルが少なくなく、今回のようなファンが投稿している例ですら正確なタイトルじゃなかったりしました。
(もちろん文字数制限の関係でわざと変えていたり、原題で投稿されていることもあります。)

 過去作との被りがないようにとかタイトルを付ける側も熟考の上つけているタイトルだとは思うのですが、SNSで積極的にマーケティングを仕掛けている現状、SEOをもうちょっと意識したほうがいいと思うのです。

 ということで、そんな「困ったちゃん」な邦題タイトルについてのお話です。


あまり使わないで欲しいもの

ハイフン

 マジでこればかりはハッキリ言いますけど、無能すぎるタイトルです。

 なぜならGoogle検索をする場合、半角ハイフンをキーワードの前に入れると検索対象から除外されてしまうからです。

 例えば普通に「iPhone」で検索すると、90億近い検索結果が出てきてしまいます。

iPhoneでの検索結果

 この検索結果から「iPad」に関する情報は除外したい場合、「 iPhone+半角スペース+半角ハイフン+iPad」で検索をします。

iPadの情報を除外した検索結果

 こうすると(それでも多いですが)10億近い情報が外せます。

 例えば『タイタニック』の続編タイトルを『タイタニック -愛の続き-』とかつけてしまった場合、「タイタニック -愛の続き」で検索してしまうと、せっかくつけた邦題の情報を削られてしまう可能性があります。

 これが全角ハイフンだと除外されないはずですが、半角ハイフンを入れてしまって除外される可能性も排除すべきかと思うので、「ハイフンは使っちゃだめ!ゼッタイ!」。

スペース

 これは慣習的に映画タイトルに使うスペースは「全角ではなく半角」となっているようで、つまりは「AND検索」になっちゃう。SEO的には悪手です。

 例えば「タイタニック+半角スペース+続編」で検索すると、「タイタニック」と「続編」両方のキーワードを含む記事を検索することになってしまうので、「タイタニック」単体の記事は基本除外されてしまいます。
(Google側で「これじゃね?」的な提案はしてくれます)

スラッシュ・コロン・カッコの類

 /(スラッシュ)、:(コロン)、<【(カッコ。"("も含む)は、検索時に悪影響を与えることはあまりなさそうなので、ハイフンやスペースに比べれば無害。

 でもこれらの記号は半角も存在することがあるのが厄介。

 今回のような集計作業や、各種映画サイトへの登録時に重複してしまったりするなどの悪影響があります。
 あとはプログラミングでこれらの半角は意味を持つことがあるので、バグの元になる可能性もあるかと。

 自分が担当者なら絶対使わない。

これは悪くないもの

波ダッシュ

 "〜"のことです。チルダ(~)とは違います。全角です。
 正直以前まではコイツのこと「クソだっさ!」と思っていました。ごめんなさい。

 でもこの記号、副題をつけるにはめっちゃ優秀ということに気がつきました。

 ハイフンはそもそも使うなよという話はもうしましたが、ハイフンを使う場合、(特に半角だと)その前にスペースをさらに入れないとデザイン上美しくないんですよね。
 あと他の記号と違って、これに似たチルダはなぜか和文でほとんど使われないので、半角が使われる可能性が少ない

 でもやっぱちょっとフランス料理のメニューみたいでちょっとダサいから自分だったら使わないかな…

中点

 "・"のことです。全角です。

 キーボードを使っていると、これを使うのにスラッシュの変換候補が出てきたしまうことを除けばかなり優秀。

 なぜなら半角が存在しないから。

 正確に言えば半角カナとしての中点は存在するんですけども、アルファベット記号の世界に存在しないので、タイトルとして登場することがありません。

 使って欲しいとは言いませんが、これはあっても悪くない。

 ただこれは原題の単語を区切ることに使われるケースが多いので、他の用途で使うのはご法度かもしれません。

組み合わせ

 これまで書いた記号の類の使用以外に、困らせたのが「組み合わせ」です。

カタカナのみ

 一番良いのは「カタカナのみ」のタイトル。『オッペンハイマー』とかね。

 でもこれにも難儀なところがあり、わかりやすいのが『バービー』。

「バービー」検索結果

 トップはなんとか映画のサイトが表示されちゃいますが、2つ目はフォーリンラブしちゃう。
 それ以降も「バービーvs.バービー」の対立構造がすごくてSEO的にはかなり微妙。

 この問題があるから記号をつけたくなるのかな。

原題とその読みの併記

 一見スマートだけど、名寄せするには最悪。

 奇しくも今回のランキングトップ2の『aftersun/アフターサン』『TAR/ター』がソレ。
 aftersunかAftersunか、TARかTarかとかでややこしいし、スラッシュが半角なのか全角なのかもわかりにくい(全角が正解)

 これだったらもう'aftersun'、'TAR'でよくない!?って思っちゃう。
 読めるでしょ、これくらい。

半角英語表記と半角スペース

 『PERFECT DAYS』がこれにあたります。

 まぁ全角で検索するひとほとんどいないとは思いますが、そこがアレなのと半角スペース。ギギギギ。

 細部に拘った作品なので'Perfect Days'を形容する日本語タイトルを考えられたと思うんですよねぇ。だったら「パーフェクト・デイズ」じゃ駄目だったのかとかも思ってしまいました。 

 これIMDbだと'Perfect Days'で登録されてるんですよね。なんで大文字にしたんだろう。

全部のせ

 『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』がコレ。

 ひらがなと漢字こそないものの、カタカナ+アルファベット+スペース+記号と満漢全席って感じ…。
 ほんとうに真面目に考えたの?

本日の一曲

 2回めの登場『I'm Just Ken』。

 なぜかって昨日発表されたクリティックスチョイス賞で歌曲賞を受賞しちゃったから。

 これがビリー・アイリッシュの2度めの受賞に影響を与える可能性は…あんまないかな。

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