見出し画像

女優のキャスティングが冴え渡る…/Netflix『ザ・クラウン』

 ようやく終結の見通しがたったハリウッドストライキでもよく名前があがっていたNetflix。
 アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA ローマ』から3年が過ぎましたが、その勢いは止まらず、今シーズンもアカデミー賞の有力作品が続々と控えています。

 そんなこともありひさびさにNetflixに加入したのですが、ずっと手を出していなかった『ザ・クラウン』に手を出してしまいました。

 イギリス王室、エリザベス2世の半生を描いた作品で、最後となるシーズン6の公開が11/16からされる予定です。

 映画を追いかけるだけでもいっぱいいっぱいなので、基本的にはドラマシリーズには手を出していないのですが、その豪華なキャスト陣に惹かれ、つい観始めてしまいました。


女王エリザベス2世のキャスティングがすごい

 主人公であるのちの女王エリザベスを2シーズンごとに異なる俳優が努めていますが、このキャスティングがすごい。

 1947年のフィリップ王配との結婚からエドワード王子の誕生までをクレア・フォイが演じ、王室の一大スキャンダルとなるキャラクターが揃うまで(わかりやすく言うと、現カミラ王妃と「ダイアナ」の登場)をオリヴィア・コールマン、現在に繋がるスキャンダルの時代をイメルダ・スタウントンが演じます。

今後も有力作品が続く「クレア・フォイ」

 『ザ・クラウン』の配信スタートは2016年ですので、クレア・フォイのブレイク前の抜擢です。
 というか『ザ・クラウン』がブレイクのきっかけです。

 『ザ・クラウン』は、2度のオスカー候補に上がったピーター・モーガン原案・脚本によるもので、製作総指揮はスティーブン・ダルドリーですから、ブレイクは必然とも言えますが、ブレイク後にキャリアを築けるかはわかりません。

 この作品を成功に導き、その後『ファースト・マン』『蜘蛛の巣を払う女』と畳み掛け、『ウーマン・トーキング 私たちの選択』ではサテライト賞で助演女優賞も受賞するまでの俳優になると想像していたひとがどれだけいるでしょうか。

 現に主役なのにフィリップ王配を演じたマット・スミスよりギャラが低かったそうです。

ポストメリル・ストリープ、「オリヴィア・コールマン」

 1999年から活動しているオリヴィア・コールマンは、遅れてきた演技派。

 はじめて注目を受けたのは『イン・アメリカ』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたパティ・コンシダインの初監督作『思秋期』。
 この作品が2011年ですから、37歳のときです。

 そして、すごいのが2019年2月に開催された第91回アカデミー賞で主演女優賞を受賞し、その勢いのまま同年の11月にこの『ザ・クラウン』が配信開始されたことです。

 その後の活躍はすさまじく、『ファーザー』『ロスト・ドーター』でアカデミー賞に2年連続ノミネート。
 昨年も主演した『エンパイア・オブ・ライト』がアカデミー賞にノミネートされています。(自身もゴールデングローブ賞などの候補に)

 今年は『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の公開が控えていますし、3作品が待機している状態の超売れっ子です。

ハリー・ポッターでお馴染み「イメルダ・スタウントン」

 イメルダ・スタウントンは、キャリアのスタートが1976年で現在67歳の大ベテランですが、世界的に有名になったのはマイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク』。

 この作品は2004年ですからもう20年近く前!
 その後ハリー・ポッターシリーズでドローレス・アンブリッジを演じたこともあり、一般の方には一番馴染み深いかもしれません。

脇役も審美眼がありすぎ

 基本的に出演者は実在の人物ですから、脇役というのも変な話なのですが、絶妙なキャスティングが映画好きにはたまりません。

エリザベス・デビッキ|ダイアナ役

 『TENET テネット』でヒロイン役を努め、ブレイク前夜という感じ。
 彼女がダイアナを演じるということで俄然本作に興味を抱いたのでした。

 来年1月に発表されるエミー賞に唯一ノミネートされています。
 受賞も射程圏内。

エメラルド・フェネル|カミラ役

 初監督作『プロミシング・ヤング・ウーマン』でいきなりアカデミー賞監督賞ノミネート(イギリス人女性で初)、脚本賞は見事受賞した才女。

 今季最大ヒットとなった『バービー』にも出演。

 『ザ・クラウン』には2019年から出演ですから、『プロミシング・ヤング・ウーマン』前のオファーです。

ヴァネッサ・カービー|マーガレット役

 ミッション・インポッシブルの最新作にも出演し、リドリー・スコット監督&ホアキン・フェニックス主演の『ナポレオン』ではあのジョセフィーヌを演じる彼女はまた飛ぶ鳥落とす勢いですが、『ザ・クラウン』への出演開始は2016年とブレイク前

 アカデミー賞にノミネートされた『私というパズル』は2020年ですから4年も前です。
 いまならオファー受けてなかったでしょうね。

本日の一曲

 HBOですがこれもオススメ『ビッグ・リトル・ライズ』で、リース・ウィザースプーンが演じる主人公の夫エドが披露するエルヴィス・プレスリーの'The Wonder of You'。

 吹き替えなのがちょっと残念ですが、アダム・スコットが演じるシーンがぐっと来ます。

 『ザ・クラウン』のシーズン2でもこの曲が使用されています。

サポートなどをしていただいた方には現在おすすめのYouTubeチャンネルランキング一位〜五位をランダムにご紹介しています! いただいたサポートなどは、活動費または子どもの教育に関する寄附に充てさせていただきます。