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アメリカ最大の映画の祭典、2023年のアカデミー賞の授賞式(第95回)が先日開催されました!

#エブエブが独占

昨今の監督による自伝映画ブームの集大成といった感じのスピルバーグ監督のファイブルマンズトロント国際映画祭で観客賞を受賞し、このまま受賞まで突っ走るかと思いきや、それより前の3月に公開されたエブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスが、ロングランの大ヒット!批評家ウケしそうなマーティン・マグドナー監督のイニシェリン島の精霊に全く負けることなく、助演男優賞に至っては、キー・ホイ・クァンがほぼ独走(主要な賞で受賞を逃したのはBAFTAくらい?)状態で、その勢いのまま蓋を開けてみれば主要部門ほぼ独占してしまいました…。

以前は1作品が賞を独占するようなことが多かったように記憶していますが、2000年ごろから作品賞と監督賞を受賞する作品が異なること(その性質上作品賞と監督賞が同じになるのは自然なことです)が増え、共に受賞しても俳優賞は受賞できなかったり、脚本(脚色)や編集を逃していたりする中、エブエブは、作品賞+監督賞+主演女優賞+助演男優賞+助演女優賞+脚本賞+編集賞の7部門を受賞してしまうという久々の快挙を成し遂げました。
私は1998年からオスカーウォッチングをしていますが、はじめての経験じゃないかしら…。

2000年代の受賞作との比較

過去作品だと第77回(2005年)のミリオンダラー・ベイビーが、作品賞+監督賞+主演女優賞+助演男優賞+脚本賞。

第80回(2008年)のノーカントリー、
(作品賞+監督賞+助演男優賞+脚色賞)

第83回(2011年)の英国王のスピーチ(作品賞+監督賞+主演男優賞+脚本賞)くらいしかないです。

上記と比較しても俳優部門で3部門受賞しているのはエブエブだけだし、編集賞を受賞してるのもエブエブだけ。
作品として考えたときに良い本(脚本)が、良いディレクション(監督)により、良い演技(俳優)で見やすくされた(編集)というのは、まさに最&高なのでございます。

SFコメディが作品賞!?

さらに言うならば、エブエブはSFコメディであり、アカデミー会員に本来好かれるジャンルでは決してありません。
先に上げた作品でいうと、ミリオンダラー・ベイビーは、会員が大好きなボクサー映画だし、ノーカントリーは保安官ものだし、英国王のスピーチは実在の人物系だし、英国王のスピーチのときは本命はソーシャル・ネットワークだったので、ああやっぱりデヴィット・フィンチャーは獲れないし、ああいう現代的なものを題材したものは会員は好きじゃないのね…とガッカリしたものです。

ですが、エブエブは違います。
ありがたいことに試写会で拝見をさせていただきましたが、観終わった後、これがアカデミー賞本命ってまじ?って思いましたし、ご年配のご夫婦と思われる旦那さまが奥様に「全然面白くなかったな!!!」って言っていて、それに対して「お前わかってねぇな」じゃなくて「それもわかる」と感じる作品です。

あと言われているのがアジア系の人が多いのも快挙と言われますが、それはあんまり…という感じです。言語は英語ですし、監督のひとりのダニエル・クワン、プロデューサーのジョナサン・ワン、助演女優賞にノミネートされたステファニー・シュー、もうひとりの主要人物であるジェームズ・ホンは移民2世ですがアメリカ人ですし、キー・ホイ・クァンも生まれはベトナムのボートピープルですが、4歳からアメリカに移住してますし、純粋な外国人ってミシェル・ヨーくらいなんですよね…。
そういう意味では、アジア系映画の先駆者はクロサワ(敢えてカタカナ。1951年に羅生門が名誉賞を受賞)で、道を切り開いたのはパラサイトだと思います。

シャンパンカーペット

第33回(1961年)から続く「レッドカーペット」は、60年以上経って、シャンパンゴールドに変更されました。

「え!?汚れない?」と思いましたが、よく考えればセレブリティーが履くたっかーいお靴は、普段歩くために履くものではなく、レッドカーペットを踏むためのものなので、そもそも汚れていないからカーペットも汚れないのでありました。。。

まぁでも正直なところ、慣れてないだけな気もしますが、やっぱりレッドカーペットのほうが良いように私は感じました。環境のアピールのためのグリーンカーペットとかそういう意味があるものであればともかく、一生に一度かもしれない瞬間を感じるという意味ではやはりレッドカーペットが良いかと。

なお、今回の私のベストドレスは、(今のところ)ケイト・ブランシェット!
ケイト・ブランシェットさまは、遊び心があるのにぜったいに外さないという驚異のセンスの持ち主。

そういえば杏さんが授賞式に来られていましたが、やはり元モデルだけあってシャンパンカーペットにもドレスにも負けてなかったですね。
近年だと菊地凛子さんがバベルで助演女優賞にノミネートされていまして、ドレスはシャネルの黒いドレスで素敵でしたが、立ち振舞いは杏さんの勝ちでした。
日本人は小さい(背が低いだけでなく全体的に小さい)ので、ハリウッドスターのドーン!という感じにはどうしても迫力負けしちゃうんですよね。

ガガさま、ルージュなし(たぶん)

視聴者に「長すぎる」と言われ、それが低視聴率に拍車をかけていると毎年あらゆる対策を講じている授賞式。

去年はいくつかの賞を事前に発表する愚行を行い、大ブーイングでしたが、今年は俳優賞を男女一度に発表したり、壇上に上がるまでの時間を短縮したりするなどの工夫で発表を減らすことなく、去年より短い時間にすることに成功したようです。

それもあってジミー・キンメルの司会は、つつがないもので、オープニングの漫談を除けば、登壇回数はとても少なく、よくあるおふざけもほぼなし。
司会の印象はほとんどないものの、例年よりたっぷりスピーチや楽曲を楽しめた感じがしました。「そうなのよ、おふざけいらんのよ。」と。笑

ナチュラル・ガガさまのHold My Handも良かったですね。

ちゃっかりと自分のYouTubeチャンネルにこの様子を上げているあたり、「映画の撮影中で準備ができないため披露はしない」と言っていたということすら演出のひとつだったのでは…という感じですが、会場の歓声も一番多かったですね。
前回は惜しくもノミネートを逃しましたが、セレブリティー人気も高そうなところを見ると、今後ノミネートされる機会も受賞の可能性もありそうです。

スピーチで歌っちゃった

スピーチは報道されているとおり、エブエブ勢のスピーチがとても好感が持てるもので、前哨戦を含めると相当な回数スピーチしていると思いますが、誰もメモを見ることなく(もしかして今回誰もいなかった!?)涙もありつつ、堂々としていて、スピーチが受賞結果に繋がったことも間違いないと思います。

もうひとつ印象的だったのは、Naatu Naatuの受賞スピーチ。

カーペンターズトップ・オブ・ザ・ワールドの替え歌でスピーチをするという離れ業。
これまでプレゼンターが歌いだしたりすることは何度かありましたが、スピーチで歌った人ははじめてでは!?
しばらくこの手は使えなそうですが、おくりびとで外国語映画賞を受賞したとき、滝田監督が洋題のDeparturesと掛けたスピーチが通じてなくて、盛大に滑っていたことを考えると、英語が苦手なひとはこういう飛び道具はアリだな、と思いました。(インドの方は英語ネイティブだとは思いますが…)

(カーペンターズ、YouTubeチャンネルなかった…まじ?)

来年の有力作

さて、来年の有力作はどんなものが控えているでしょうか。
公式トレイラーや公式ページがある10作品をひとまず取り上げてみました。

来年も楽しみですね!


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