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レトロと令和をつなぐ「常滑」ー滞在記ー

先日、私は愛知県知多半島の常滑市に行った。目的は、所属しているオンラインサロンメンバーに会いにいくこと。人生で初めて行った常滑市。メンバーのゲストハウスに行くことが主軸だったので、常滑市について調べることなく、私は足を踏み入れた。そこは、まるで昭和にタイムスリップしたように、時空の流れが違った。

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「常滑へようこそ」

 若者は 世界共通 軽快感


愛知県常滑市は、中部国際空港の近く。知多半島の真ん中あたり。名古屋駅から名鉄(名古屋鉄道)で中部国際空港行きの電車で40分の場所に位置している。工場地帯なためか、電車の中は日本語以外の言語も飛び交っていた。万国共通だなと思うのは、若者たちの活気。ジーンズの色や風合いなど、皆同じような服装を纏い、彼らがいる空間だけ熱を帯びているように感じることだ。そんな彼らと共に、私は常滑駅まで乗車した。そして、少し早く着いたので、常滑やきもの散歩道を、少し歩いてみることにした。

 時空越え タイムスリップ 散歩道

駅から主要道路を歩き、まず見えたのがこの大きな招き猫。

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招き猫は主要道路から見上げた歩道橋の先にあり、どうやったら歩道橋を渡れるのか、ちょっとした探検の幕開けだった。

招き猫を背に歩いていく。道幅は大人2人が横に並べる程。車の往来はほぼなく、このエリアだけ島なのでは?と思うほど、ゆったりとした時間が流れていた。

路地を入り、曲がり角を曲がった先に何が見えるのか。映画の主人公になったかのように、私の冒険心はくすぐられた。

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土管を地面や壁の材料に活用。なんとも風情がある。

数々の窯元や民家の中に、カフェや雑貨屋さんが軒を連ねていた。ちょうど小腹がすいた頃、団子屋さんに出くわし、どこかの塾のイベントで来ていた小学生グループと鉢合わせた。彼らがおいしそうに食べていた団子に、つい私も惹かれ、数分後には注文していた。

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年配の夫婦が切り盛りしていた団子屋。

窯元や散歩道のあちこちで、やきものの展示を目にすることができる。常滑の土を活用したスカイブルー色から、乳白色、後から模様を削るなど、作品からは、作家の息遣いを感じた。私はふと、こんなことを思った。

(この街で創作したら、インスピレーションが湧きそう)と。

そんな空気が散歩道には流れていた。

昭和初期、窯業(陶器製造)で栄えた常滑市。当時の煙突が残っていて、そこには人の営みを感じる風景があった。

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休日は人で賑わう「常滑屋」周辺
http://tokonamesanpo.jp/map/index.html(常滑やきもの散歩道マップ)

散歩道にはお休み処があり、再会した小学生グループに「どうぞ」と畳スペースを空けると「ありがとうございます」の一言。されど一言。こういう一言がすっと出るところに、私は人となりを感じることがある。

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どこか、ヨーロッパの石畳のよう
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11月下旬 艶やかなピンクの小花に癒される

冒険は 辿り着くまで 終わらない


さて、ここからが今回のメイン。メンバーのゲストハウスへ出発。
Googleマップで確認すると、主要道路沿いではなく、頭上の歩道橋を渡った先にある道とのこと。そう、何を隠そう、私は地図が読めない人の1人。辿り着きたい歩道橋に出るにはどこから行けるのか。スマホぐるぐる。上空5メートルに位置する歩道橋。「道は繋がっているはず」と歩み進める。

「あった!」登りルートを発見し、喜んだのは束の間。息の上がる坂道を登ると、目の前にはお墓が広がっていた。

「着いた〜」という高揚感の後、「道間違えたかな?これはお寺に入っちゃう?」と雲がかかる。だが、手中の地図はその先を指し示している。少しばかりの不安を抱えながら歩いていくと、見たことのある、ゲストハウスの外観に出くわした。その名はtokorangiとこらんぎ stay+a

いまここ 想いを形に まる4年   

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「TOKORANGI」常滑焼のブルーが映える
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壁面には、ニュージーランドのpohutukawa treeポフツカワツリーとking fisher(カワセミ)が描かれている

元々はけいこ氏(共同オーナーの1人)の祖父が住居と工場で使っていた場所。築約70年。空き家期間は20年程。最寄り駅まで徒歩圏内で行け、中部国際空港へのアクセスも良く見晴らしも良い。

ことの始まりは2013年頃。高校時代からの友人である、女性大工のまこと氏(共同オーナー)に「こんな立地に家がある。何か使えたら楽しそうじゃない?」と声を掛けた。彼女の「たのしそう、やろう」の二つ返事で、2人で試行錯誤しながら古民家を再生させることになった。

けいこ氏は、ゲストハウスにゲストを迎えるならば、「自分の言葉で迎えたい。英語は必要。ワーホリ(ワーキングホリデー)もしたい。」という自身の心の声に従い、2015年にニュージーランドへワーホリに行った。現地で出会ったニュージーランドの人やその風土に、彼女は魅了された。

壁面に書かれたニュージーランドのpohutukawa tree(クリスマス時期に鮮やかに赤い花が咲く木)とking fisher(ニュージーランドのカワセミ)には、自然豊かで人々も温かい、そんなニュージーランドの空気を取り入れたそうだ。

着工前の外観
元工場↓
現在は厨房
常滑焼のバスタブ最高でした。(目玉の親父の気分にも浸れる) シャワーヘッドも選べます
タイル張りの綺麗な洗面所
梁が粋なキッチン ゆんたく時間もくつろげる


ゲストハウスの名前の「tokorangi」
tokoは常滑のtoko。
rangiはマオリ語で「Sky・Heaven・Day」を意味している。
また、青はkikorangiと言い、青にも「rangi」が用いられているそうだ。

当日はくもり雨だったため、夕日を拝むことはできなかったが、晴れた日にはこんな綺麗な夕日も見れるそう。サンセットを見ながら、ゆったり過ごすのも良い。

丘の上。ひらけた空と夕日

こころから だれもが安心 〇〇フリー 

tokorangiは、できるだけ「オーガニック、添加物フリー、化学物質フリーの宿と地域の方々と交流できるカフェ、コミュニティスペース」を目指している。というのも、代表の1人であるけいこ氏は化学物質過敏症。食べ物等、自分で選択できるものもあるが、柔軟剤や香料などは空気に乗ってくることもあり、先程まで何でもなかったが、次の瞬間、動悸がしたり体が重くなってしまうことも、日常の中であるそうだ。

加工食品診断士の講座を受講し、食品の添加物をどう減らしていけるかを学ぶなど、彼女と同じように悩み苦しんでいる方も、「こころ穏やかに過ごせる宿を創りたい」という想いを抱いている。過敏症で悩む方が安心して滞在できる場は、「どんな方にも安心できる空間になる」と。

杉板の綺麗な外観。右下に見えるガラスレンガは頂きもの。人・ものが集まるのも人柄

宿の素材は、なるべく化学的なものでなく、自然素材(木や鉄など)を使っている。全て新しいものを買うという発想ではなく、建築現場で出る廃材や周りの方からの頂きものを活用するなど、宿の利用者と地元の人が交流できる場となればと、さまざまなものをなるべく地元のものを使うようにしているそうだ。

2021年4月24日には、これまでお世話になった方々に感謝の気持ちを込めtokorangi birthday garden partyも行われた。

言うは易く行うは難し

私は2021年11月下旬に実際にお邪魔した。ことわざの如く、業者一択で頼むのではなく、実際に手や頭を動かしてDIYでやってきた彼女たちのこれまでが詰まった空気を感じた。

私は化学物質過敏症ではないけれど、柔軟剤の匂いや強い香水の匂いを、時に不快に感じることもある。匂いは脳にダイレクトに届くというのは、よく知られている。理由のわからない頭痛など、日常生活で知らず知らずのうちに影響を受けていることもあるそうだ。

自然素材を使うことは人、そして環境・地球に優しいといえる。


改修工事は、今も続いている。
一度、常滑に足を運んではいかがだろうか。
澤田酒造の美酒を味わうという名目で、足を運ぶのも最高だ。

澤田酒造の「白老」梅酒も美味でした。
https://hakurou.com/
客室のふとんから。


これまでの様子に、思わず「すごいな〜」と感嘆の声が漏れる。
詳細は下記のInstagramから。

Instagram:tokorangi

Instagram:tokorangi DIYの様子


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