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10年ぶりに宝塚を見た友人のはなし。

今日は最近感動した、ちょっといい話をシェアしたいと思います。


明るい彼女はどこへ

私にはある友人がいます。
彼女とは中学生の頃から仲良くしていて、月に一回は必ず連絡を取り合う中です。

彼女との仲をさらに深めるきっかけとなったのが宝塚。

宝塚にハマり始めた高校生時、宝塚のDVDを色々貸してくれたのが彼女でした。

初演「エリザベート」や伝説の「ゴールデン・ステップス」などの昔のDVDから最新版まで・・彼女にDVDを貸してもらえたからこそ今の私の宝塚ライフがあると言っても過言ではないかもしれません。


残念なことに彼女はとある方の退団と同時に宝塚歌劇から離れてしまったので、それから私と宝塚について語ることはほとんどありませんでした。

会うといつも仕事のこと、恋愛のこと、メイクのこと。。。とにかく楽しい子でした。もともと明るくて美意識が高い子で、いつ会っても綺麗な女性で、私はどこか彼女に憧れに近いような気持ちを抱いていました。


そんな彼女の表情が曇り始めたのは去年1月頃から。


人間関係で深く悩んでしまい、コロナ前に一度会った時には今までの彼女はどこに行ってしまったの?と思わずにはいられないほど別人に成り果てていました。

まずもって表情が暗すぎて別人に見えました。
以前はあんなに拘っていたメイクもしていない。
いつも綺麗な茶髪をキープしていたのに、地毛もチラホラ見えている。

何が彼女をここまで変えてしまったのか?

時々しか会わない私に真相はわかりませんでした。

とにかく彼女は病んでいました。
今思えば鬱のような症状も見えていたかもしれない。

私にできるのは彼女の話を聞いてあげることだけだったから、一生懸命聞いていたけど、どうしても寂しい気持ちは拭えなかった。。


あの美しくて明るくて快活な彼女はどこに行ってしまったの??


そんな気持ちを抱えながら一年経った2月のある日。


彼女から「宝塚を観に行く」との連絡を受けました。


10年ぶりの宝塚は唐突に


「私、来週『アナスタシア』見にくの。」


突然の彼女からのLINEに私はつい、


「何で宝塚を見に行こうと思ったの?」

と聞いてしまった。


「なんとなく。久しぶりに見に行こうかなって。」

そんな感じの応えが彼女からの返ってきた。


10年ぶりに聞いた彼女の『宝塚みにいく』の言葉。

正直驚いた。


どんな過程を経たらあの状態から宝塚を見に行くなんて選択肢を思いついたのか、、、。


どう考えてもよくわからなかった。


そして彼女の観劇日。


当日は完全に彼女のことを忘れて家事育児仕事に追われていた私のところにまた一通のラインがきた。

『宙組さん、すごくよかった!!』


約3時間で別人のように変わった彼女

「宙組さん、すごくよかった!」

彼女から前向きなLINEが来たのは何年ぶりだろう?

私は思わず涙が出そうになってしまった。


一時期は彼女とのラインを見るのが辛くなった時もあった。
でも、今日だけはこの画面をずっと見ていたいと思ってしまいました。


約1年間。
後ろ向きな発言ばかりだった彼女が、久しぶりに何かに対してプラスな感情を抱いてくれた。


宝塚(舞台)の力って本当にすごいなと改めて思いました。


このラインの後、彼女から電話がかかってきてアナスタシアの感想を語り合いました。


「アナスタシアを演じたのは誰なの?次は花組のトップになるって本当?」

「ディミトリ役の真風さんがすごくかっこよかった・・」

「宙組さんのレベルが高すぎて驚いちゃったわ」

「ヴラドとリリー役は誰?」


宝塚から離れて10年といえども、やはり彼女は生粋のヅカヲタだった笑
(*彼女は小学生の頃から宝塚を見続けてきた生粋のヅカヲタ)

空白の10年を埋めるように矢継ぎ早に質問してきて、30分くらいで彼女が宝塚歌劇から離れていた10年分の知識を埋めた笑

まるでスポンジのように私から宝塚に関する情報を吸収していく彼女の声はなんとも楽しそうで・・・。


早くも「次は雪組「fff」を観に行きたい!チケット取れるかな?」と聞かれたけど、「絶対無理だから諦めた方がいい笑」と流石に忠告しておきました笑


彼女の今

観劇日から何日か経っているけど、彼女は以前よりも元気だ。

観劇当日から2.3日は宝塚歌劇にアドレナリンでも注入されたかのように元気いっぱいだったけど、徐々に落ち着いてきた。

相変わらず後ろ向きな発言が多い彼女だけど、それでも以前よりも格段に前向きになったと思う。

私と電話するときも悩み事に対する愚痴?をこぼすのではなく、あえてその話題を避けて彼女が心から楽しいと思える宝塚の話に集中するようにしているようだった。


今の状態がいいのか、悪いのか。

私にはわからないけれど、少しでも彼女が明るくなって本当によかったと心から思っている。


そして何度も書いている通り、舞台の力、宝塚歌劇の人を元気にする力は本当にすごいと思いました。



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