真彩希帆MS「ダンスはやめられない」感想
昨日の真彩MSの楽曲別感想をここに書いていこうと思う。
どんなに素晴らしかった公演も時間が経てばだんだんと記憶が薄れていってしまう。
今回は特に印象に残ったモーツァルトの「ダンスはやめられない」について語る。
圧倒的歌唱力と表現力にひれ伏して
「ダンスがやめられない」は元々大好きな曲で何度も何度も聞いてきた。
ソニンさんのバージョンも好きだし、以前スカステの番組で音花ゆりさんが歌い上げた切れ味の鋭い歌い方も好きだった。
伴奏が流れ始めた瞬間、自分の心がざわつくのを感じた。
「真彩ちゃんはどんな風に歌い上げるんだろう。」
「真彩ちゃんはどんな気持ちを込めて歌うのだろう。」
期待で熱が篭った私の視線に反するかのように、静かに気怠そうに始まったこの曲。
疲れと苛立ちが含まれた呟くような歌声は本当に疲れていて辛そうだった。悪女と評されてしまいがちなコンスタンツェの苦労が声からも感じ取れて、まるで今までもずっと「モーツァルト」のコンスタンツェを演じてきたかのように自然な始まり方で、思わずミュージックサロンの一部だということをすっかり忘れてしまっていた。
曲が進むにつれてどんどん彼女の内側から自己否定の感情が溢れてきて、彼女自身を破滅的な感情へと追い込んでいくのが痛々しいほど伝わってきた。
涙も出ないほど自分を含む全てを自嘲し、堕ちていく。
真彩希帆のこんな姿を見れる日が来るなんて思わなかった。
一瞬も見逃せない素晴らしき声の表現
特に終盤の
「もし彼が神に召され、天国に行っても
泣いたりなんかしないわ 私流に弔うの」
この部分の手の伸ばし方、そして表情。
「もし彼が神に召され、天国に行っても」の部分だけ少しだけ声が震えていて。この歌詞を言葉に出すことを躊躇っているように見えたのも束の間、コンスタンツェは自分を肯定するために力強く切り捨てるように歌い上げる。
たった一瞬の表現で彼女はコンスタンツェの心の弱さも、孤独な立場も全部表現していて。
ただただ圧巻という単語しか出てこなかった。
曲間で人生をリセットしリスタートする
この曲の一番難しいところは約4分間の間でコンスタンツェの感情の上がり方を歌声で表現しなければいけないところ。
今回のようなコンサート形式では、一曲づつ違う役の気持ちになり切って歌わないといけないため、気持ちを作っていくのがとても難しかったと思う。
だから私は勝手にどの曲もさらっとカラオケっぽく歌っていくのかな?と思っていた。
しかし、そんなのは真彩希帆が許さなかった。
曲間で今まで感情を込めて歌ってきた「誰か」の気持ちを全て一度捨てて、次の曲が始まる頃には次の曲の主である「誰か」になりきっている。
そしてまた壊れそうなくらい感情を込めて歌い上げてくれる。
単純に「すごい」と思った。
舞台人なんだから当たり前なのかもしれないけど、私は彼女の切り替え方にも驚いた。
次回は「君が照らす未来」について
次回は「君が照らす未来」について語りたい。
それではまた〜!
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