維新を支持する人にはそう見えるのだろうか

 娘が中学一年である。興味の対象は変わっていくいようで、その昔観ていたものを今は観ていない。「プリキュア」というアニメである。

 プリキュアを乱暴に説明すると四、五人の女子中学生が毎回毎回化け物を倒していくアニメである。だいたい最終回はものすごく強い化け物を倒して終わりとなります。こういう設定で大事なのは

「警察や自衛隊に頼むのが筋ではなかろうか」という考えはまったくないということです。そういう考えを持つとプリキュアが活躍する場面がほとんどないからです。

 しかし思うのです。これ最終回にプリキュアの誰かが

「やっぱりさ、警察に頼むのが一番いいと思うよ、自衛隊に出動してもらうとかさ、中学生には限界があるって」

と誰かが言って終わらないかなと思うのです。全46話の45話まで警察、自衛隊など存在も知らないというような態度だったのに、最終回でプリキュアの誰かが言い出す。そういうのためがあっていいなあ、と思う。

 

 この間ニュースを観ました。万博の開催時に飛ばすんだと言っている

「空飛ぶクルマ」

のお披露目がありました。そこには吉村大阪府知事、関係者、中学生等が集まってました。というニュース。

 そこで何が起きていたかというと

「ヘリポートでヘリコプターのようなものが離陸し、飛んでいるのを人が見ている」

である。

 ヘリコプターのようなものには車輪がなかった。空飛ぶクルマとはなんだ。ヘリコプターのようなものには三輪大社のお守りもなかったし、赤ちゃんがのっていますと書かれたシールも貼られていなかった。つまりだ、クルマの要素はゼロだった。大体ヘリポートから離陸しているし。シートに座っているのは、ドライバーというよりパイロットだ。パイロットの苗字が「車」でした、なんてここともないだろう。たとえそうだとしてもそれがどうしたではある。そこまで言うのはケチつけてるだけと言われそうだが、この空飛ぶクルマを作っている会社の名はボロコプター社というらしい。ボロというのは置いておくとしても、コプターって言うてるやんである。

 

 ヘリコプターのようなものが飛ぶ。その後吉村知事がなにやら話す。その後中学生と吉村知事との質疑応答があったそうだ。

その時中学生は何を発言したのだろうか。そこがわからない。その気になって調べれば質疑応答の内容がわかるのかもしれないが、調べていない。恐らくだが、誰もこうはいっていないのだろう。

「これ、どこがクルマやねん」

と。その場にいた中学生がマイクを握って吉村知事にぶつけていたならば話題になっているだろうから。

 ため、ためだな。離陸、飛行、知事の挨拶、そこまでためてためてためてためて、そして吐き出す。

「これどこが空飛ぶクルマやねん」

と。そういうのがなんか好きだ。

裸の王様だとは皆が思っているが、裸の王様だと言える人間は少ない。じゃあお前は言えるのか、となると言えないだろうな。仮に自分が当該中学生だとしたら、その日は欠席するのではないだろうか。裸の王様だとは言えないが、その場にいることの羞恥心は想像に難くないだろうし。しかし、そういうのを体験するのもわるくないかもしれない。全忖度空間。

 

 クルマとは何か、、、、これは難しい。まず、車輪のある何かだと考えがちだが、では車輪が外れた自動車をみた時なんと思うかである、車輪のないクルマ、だと認識するだろう。自動車から車輪をはずした状態のものを「以前クルマだったもの」と言う人は少ないと思う。車輪がなくてもクルマと思える時もあるのだ。となると、ある意味においては車輪がなくてもクルマなのかもしれない。クルマとは概念であり、あれはクルマだ、いいか、維新が吉村さんがあれはクルマだと言っているんだから、クルマだと思いなさい、と中学生に説いているのかもしれない。

でもやっぱりあれはクルマではない。だってクルマに見えないから。

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