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Silent Poets

Silent Poets(以下ポエツ)を聴くきっかけはしっかりと覚えていて、おそらくこうゆう形で聴き始めた人はあまりいないんじゃないかしらなんて思う。当時アップリンクが発行していた骰子にてパリペキンサウンドラリーを連載していた虹釜太郎さんがsoup-disk/不知火を始めたばかりの頃にポエツの「Firm Roots」にほんのりとだけだけど言及していた。その頃は所謂アブストラクト/トリップホップと呼ばれる音に傾倒していたのでsoup-diskや不知火も新譜が出ればロスアプソンに買いに走っていた(比喩ではなしに)。そんな時期。soupの3枚目、Montage「Anthlopologie」とはまた別の、みたいな紹介をしていて、それを読んでこれは聴かないととなり後日購入したんですよね。イメージ的にポエツはちょっぴりおしゃれで(ジャケットも)、アシッドジャズやダブ、ブレイクビーツをやってる人達といった印象だった筈。その頃の竹村延和(もこの頃はまだ聴いていなかった)とも共振している様な。だので(?)当時の自分は惹かれる事はなかったんだけど、聴いたらもう即やられましたね。日本のメジャーでこんな作品がという驚き。自分の好きなロウなインスト/ブレイクビーツの世界。そこからは遡ったりリミックス盤なんかも含め当然聴き倒した。

「Words and Silence」辺りから国内外の気鋭のアーティストを積極的に招き、様々なジャンルを横断し始めた様に思う。このアルバムではThe Last Poetsが客演した2曲がもうそれはとても特別なもので、一聴するとラップをフィーチャーしたトラックで、ラップはその頃殆ど聴いていなかった完全に門外漢だった筈だけど、ラップというものにやられるという奇跡を呼び込んでくれた楽曲のひとつであった。

彼等にとっても特別な存在のThe Wild Bunch/Massive Attackの影響は少なからず作品にも反映されていると思うのだけど、Massive AttackとMad Professor によるダブ盤「No Protection」をこよなく愛する私はポエツの「"To Come…2" Another Version」のダブ盤はほんと至高の響きで、オリジナル盤を完全に凌駕しており、「ああ自分はこういうのが好きなのか」と気付かされ、レゲエやダブを熱心に聴くきっかけになった様に思う。

ブッダブランドの緑の5本指a.k.a.Nipps a.k.a.飛葉飛火とポエツとの共演盤。実質の共演は2曲のみだけど(他はリミックスや別ヴァージョンなど)、その対比も見事な2曲のキラーっぷりたるや。「Kawamatastee(Lo)」に関しては以前DJをしていた時にもよくかけていたし、選盤を拵える時もこれは欠かせない私的日本語ラップクラシックの一曲。ブッダにもクラシックとなり得る楽曲は数多あるだろうけど、自分は「Kawamatastee(Lo)」。2018年、本当に久しぶりにリリースされた(これは本当に嬉しかったな)「dawn」で飛葉飛火と再共演したのも熱かった(別曲での5lackとの「東京」も大きなトピックのひとつ)。2024年、下田さんがXでレコーディング中というポストをしているので来年辺りには新作が聴けるのかしら。楽しみに待ってます。


映画「SAVE THE DAY -SILENT POETS SPECIAL DUB BAND LIVE SHOW the MOVIE-」はですね、勿論観に行ったんですよ。吉祥寺のアップリンク。あまりライブをやらないポエツがダブバンドを率いて、更には春野さん参加の報にはもう鳥肌と、それからほんのり涙も流れる程ハイライトだった。飛葉飛火や5lack、こだまさんらゲストの登場もハイライトに違いないのだけど、春野さんがサックスを吹いてる映像にはそのどの場面よりも自分は込み上げてしまった。YouTubeではフルで観れるので是非に。来たる新作にも春野さん参加されています様に。大変長くなりそうなのでこの辺で。

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