絶対浮気しない男 第3話 母の教え
高校生になったあきら。 恋愛とは縁遠い日々を過ごしていた。
勉強に部活に打ち込み、そして家では母の手伝いをする毎日。 友人たちが次々と恋人をつくる中、あきらには特別な存在はいなかった。
「あきらは恋人作らないの?」
ある日の夕食中、母がふと尋ねてきた。
「いらないよ。面倒くさい」
あっけらかんと答えるあきらに、母は優しく微笑む。
「恋愛は面倒くさいものなの。でも、その分喜びも大きいのよ」
「まあ、いずれそういう時期も来るでしょ」
「そうね。けど、お母さんはあきらに一つだけ言いたいことがあるの」
真剣な面持ちで語り始める母。 あきらは思わず箸を止めて、じっと耳を傾けた。
「もし本気で好きになった人ができたら、その子一筋でいてほしいの」
「一筋?」
「そう。誰かを好きになったら、その人だけを見つめて大切にする。それが本当の恋なのよ」
母の言葉に、あきらはゆっくりとうなずいた。
「分かった。俺、絶対浮気なんてしないよ」
「ええ、信じてるわ。あきらはそういう子だもの」
穏やかに微笑む母。 その姿を見つめながら、あきらは改めて心に誓った。
自分が恋をするときは、一途に想い続けると。 母の教えを胸に、真摯に相手と向き合うのだと。
母の背中を追いかけて、誠実に相手を愛し抜く男になると決意したのだ。
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