絶対浮気しない男 第3話 母の教え

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

高校生になったあきら。 恋愛とは縁遠い日々を過ごしていた。

勉強に部活に打ち込み、そして家では母の手伝いをする毎日。 友人たちが次々と恋人をつくる中、あきらには特別な存在はいなかった。

「あきらは恋人作らないの?」
ある日の夕食中、母がふと尋ねてきた。

「いらないよ。面倒くさい」
あっけらかんと答えるあきらに、母は優しく微笑む。

「恋愛は面倒くさいものなの。でも、その分喜びも大きいのよ」
「まあ、いずれそういう時期も来るでしょ」
「そうね。けど、お母さんはあきらに一つだけ言いたいことがあるの」

真剣な面持ちで語り始める母。 あきらは思わず箸を止めて、じっと耳を傾けた。

「もし本気で好きになった人ができたら、その子一筋でいてほしいの」
「一筋?」
「そう。誰かを好きになったら、その人だけを見つめて大切にする。それが本当の恋なのよ」

母の言葉に、あきらはゆっくりとうなずいた。

「分かった。俺、絶対浮気なんてしないよ」
「ええ、信じてるわ。あきらはそういう子だもの」

穏やかに微笑む母。 その姿を見つめながら、あきらは改めて心に誓った。

自分が恋をするときは、一途に想い続けると。 母の教えを胸に、真摯に相手と向き合うのだと。

母の背中を追いかけて、誠実に相手を愛し抜く男になると決意したのだ。

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