絶対浮気しない男 第9話 運命の出会い

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

時は流れ、気づけば3月になっていた。

校門前で春で浮かれた気分になっていると不意に誰かとぶつかり、あきらはバランスを崩す。

「痛っ!ちょっとどこ見てんのよ!」

倒れこんできた少女が怒鳴った。
咄嗟にあきらは少女の体を支えていた。

「よそ見してたのはそっちじゃねえかよ!」

二人は一瞬睨み合ったが、次の瞬間、あきらの目は少女の顔に釘付けになっていた。
キラキラと輝く瞳に吸い込まれそうになる。
サラサラと流れるロングヘアは、朝日を浴びてまるで黄金色に輝いているようだ。
スベスベの白い肌は、まるで磁器のように滑らかだ。
まさに漫画から飛び出してきたような美少女だった。

少女は不機嫌そうに立ち去っていったが、あきらの心臓はどきどきが止まらなかった。
放課後、親友のいおりに昼間の出来事を話すと、いおりは興味津々の表情になる。

「で、その子かわいかったの?」
「かわいいなんてもんじゃない。まるで天使だったぜ」
「キミ、もしかして恋しちゃったんじゃない?」
「ば、ばかお!そんなわけない...と思う」

あきらはそう言って誤魔化したが、本心では確かにときめきを感じていた。
自分でも信じられないほどの、運命的な出会いだったのだ。

それから数日後の昼休み、あきらは廊下でまたあの少女を見かけた。
しかし彼女は暗い表情で、3人の女子生徒に囲まれていた。

「ほらまどか、また1人でぼーっとしてさ」
「まったく夢見がちなのよねー、現実見なよ」
「まどかってば何やってもダメダメだし」

「まどか」と呼ばれた少女は、うつむいたまま何も言葉を発さない。
明らかにいじめの図式だとわかったあきらは、思わず声をかけていた。

「ちょっと、なにやってんの?」
「あら、なんだかイケメンじゃない。でもあんた関係ないでしょ」
いじめっ子の一人が、あきらを見下すように言う。

「俺は関係ないけど、こいつは関係あるだろ」
そう言ってあきらはまどかの隣に立った。
「俺はこの子の彼氏。文句ある?」

「は!?ウソでしょ、まどかに彼氏なんていないわよ」
「いや、俺は本当にこの子の彼氏だけど?」

開き直るあきらに、女子たちも言葉を失う。
「じゃ、俺たちは失礼するから」
そう言って、あきらはまどかの手を取り、その場を立ち去った。

「助けてくれてありがとう...でも、どうして?」
「そりゃあ、見た目じゃ嫌いじゃないからね」
本当は一目惚れしたとは言えず、あきらは精一杯クールに装った。
「それに人助けなんて、善人の俺にはお似合いだろ?」

「...プッ」
クスッと微笑むまどかに、あきらの心はさらに高鳴るのだった。

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