絶対浮気しない男 第2話 初恋の予感

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

中学生の頃、あきらは初めて女の子に恋をした。
隣のクラスの真央という女子に、ひと目惚れしたのだ。

「真央ってかわいいよな」
「ああ、なかなかの美人だ」
男子たちの間で、真央は人気者だった。

色白の肌に、凛とした瞳。 品のある立ち振る舞いは大人びてさえ見える。 そんな彼女に、あきらの視線は釘付けになった。

「俺、真央にアタックしようと思う」
親友のいおりにそう打ち明けると、いおりは驚いた顔をする。

「お前、勇気あるな。男前だぜ」
「へっ、何言ってんだよ」

そう言って強がるあきらだが、内心では不安でいっぱいだった。
真央のような女の子に告白して、果たして自分に振り向いてもらえるだろうか。

「でも応援するぜ。頑張れよ」
「ああ、ありがとな」
友の後押しに、あきらは勇気づけられる。

放課後、あきらは真央を中庭に呼び出した。
桜が冴え冴えと咲き誇る中、制服姿の真央はいつにも増して美しく見える。

「あのさ、真央。俺、お前のこと好きなんだ」
ドキドキしながら、あきらは精一杯の想いを伝えた。

「えっ...」

真央の瞳が驚きに見開かれる。
だが次の瞬間、その表情は曇った。

「ごめんなさい。私、他に好きな人がいるの」
「そっか...」

あきらの心に、鈍い痛みが走る。 振られるとは覚悟していたが、予想以上にショックだった。

「ごめんね。あなたのこと嫌いじゃないけど...友達でいさせてもらえないかな」
そう言って差し出された真央の手を、あきらは力なく握り返した。

フラれた後、あきらは一人河原をさまよっていた。
春の日差しが眩しく感じられる。 胸の奥がズキズキと疼くのを、じっと堪えるしかない。

(恋って辛いんだな...)

初めての片思いは、苦い思い出となって刻まれた。
けれど、真央との友情は今でも大切にしている。

彼女は優しく、周りの人たちからも慕われていた。
些細なことでもすぐに気づかって、さりげなく手を差し伸べてくれる。

そんな真央を、あきらは密かに憧れの存在として見つめ続けた。

いつしか初恋の痛みも和らいでいく。 今は友人として、彼女の幸せを心から願っている。


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