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『Embrace』ー作品を分析していただきました!

|| 注意! この内容には拙著『Embrace』に関するネタバレが含まれます ||

 サークル「猫の潜水艦」のがんべあさん(X:@gunber7)がエニアグラムを用いたキャラクターとストーリー分析をされているとのことで、『Solitude』に引き続き『Embrace』の分析結果も送ってくれました!

がんべあさんによるご感想とエニアグラム分析

 以下、いただいたメッセージそのままを記載します(ご本人に許可をいただきました)。

Embrace読まさせてもらいました。
本編を流れる重圧感というのでしょうか、ピリピリした雰囲気が圧巻。
そんな中、主役のマルティナとヒロイン(笑)のエンリコが実に魅力的でドキドキしながら実に楽しく読めました♪
特にマルティナが実に魅力的に書かれていてびっくり。強気で行動的な性格ですがそれがとても可愛くて愛おしかったです。

前作はエンリコがマルティナとの関係を深める事で「正常な成長」をしていくお話。
今回はマルティナがエンリコとの関係を深めようと「闇落ち」していくお話。
対になった構成も見事です。

エニアグラム的に見ると。

エンリコはタイプ5。
【タイプ5:調べる人(The Investigator)】
(理性的な学者気質)
強烈に思考する、理性的タイプ
知覚が鋭い。 革新的。 秘密主義的。 孤立している。

マルティナはタイプ8。
【タイプ8:挑戦する人(The Leader)】
(パワフルで決断力があるリーダータイプ)
パワフルで、 掌握するタイプ
自信がある。 決断力がある。 強情。 対決的。

タイプ5とタイプ8は線で結ばれていてそれぞれ次の関係となっています。

タイプ5→タイプ8:「成長方向」
タイプ8→タイプ5:「闇落ち方向」

エンリコはマルティナとの関係を深めると正常な成長ができますが、マルティナはエンリコに確執すればする程闇に落ちてしまいます。
タイプ8(マルティナ)が正常な成長をする為にはタイプ5ではなくタイプ2に向かうのが正しいルート。

タイプ2は「感情的」で「人を助ける事が好き」な性格。
タイプ8は「思考的で冷静(タイプ5)」を目指すのではなく①「感情的で人の為になる(タイプ2)」事を学ぶと正常な成長ができます。

その後順番に

②タイプ4:「感情的」で「個性を大切にする」
③タイプ1:「本能的」で「現実主義」
④タイプ7:「思考的」で「楽しい事が大好き」

の長所を伸ばしていく事で正常な成長を続け、最終的に

⑤タイプ5:「思考的」で「学者気質」

なエンリコに対して闇落ちせずに対等な立場で関係を深める事ができるようになります。

明るいハッピーエンドなお話の場合、マルティナは一度エンリコ(ヒロイン)の元を離れて5段階の成長をする為の旅に出るのがパターン。
その度は長く苦しいモノになると思いますが、その試練を通じて成長したラストには大団円が待っています。

マルティナが自分の意志でエンリコの元を離れるのは難しいので、作者(神)的には二人が離れ離れになる試練(通常はヒロインがドラゴンに攫われる)を用意してあげる親切設定のお話が多く見られます。

いやあホント考察しがいのある魅力的なお話で楽しかったです!

がんべあさんからのDMより

「エニアグラム」のタイプについては、がんべあさんのブログ(https://gunber.hatenablog.com/)や御著作で詳しく解説されています。

また、今回触れられていた「闇落ち」の展開については、既存のアニメ作品の分析で解説されていますので、こちらのページもあわせて読んでみてください。お話づくりの参考になると思います。
https://gunber.hatenablog.com/entry/2023/08/14/055022

【分析結果に対する感想】

 Solitudeは誰から見てもハッピーエンド、Embraceは見方によってハッピーエンドにもメリーバッドエンドにもなるようにしたかったので、「闇落ち」の表現が「なるほどー!」としっくりきました。
エンリコに寄り添って読めばハッピーエンド、マルティナ側に立って読めばメリーバッドエンドの物語と言えるのかもしれません。読み手がどの立場に寄り添うかでも見え方が違うようにしようという試みを密かに持って書いていたので、どういうご感想でも「正解!」という感じなのですが、どんな風にみなさんに見えたのか、とっても気になるところです。