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夏のZOWA -聴く怪談- 怪談紹介vol.8

今仁さん写真

怪談師 今仁(いまに)
怪談:「鈴の音」 「管理人」

怪談師としてメディア、イベントで活動しています。
とうもろこしの会・雑務役。
出演番組:「怪談のシーハナ聞かせてよ。」、「実話怪談倶楽部」等。
楽創舎よりDVD「怪奇蒐集者 今仁英輔」発売中。

■ Twitterアカウント @imani_kaidan
https://twitter.com/imani_kaidan

1:怪談師として名前の由来を教えてください
本名です。
怪談師をやっている方は本名ではない方も多いと思いますが、それはきっと祟りとか呪いの類が自分の身に降りかからないようにやっているのでは?と考えます。
自分の場合は「怖い話が集まってなんぼ」と考えているので、怪談師ネームをつけることでそういう怖いことが遠のくのは勿体ない、と思い本名でやることにしました。

2:怪談師になろうと思ったきっかけを教えてください
子供の頃から怖い話や不思議な話は大好きでしたが、高校時代からの友人である吉田悠軌(とうもろこしの会・会長)と稲川淳二さんの怪談イベントに行って衝撃を受け、「自分たちも怪談を語ろう!」と話して怪談サークル・とうもろこしの会を結成したのがきっかけです。
当初は居酒屋に友人を集めて、お互いに集めてきた怖い話を聞かせ合う、という暗くて地味な活動が続いていましたが、しだいに人が増えていき「これ、もうイベントにしたらいいんじゃない?」となってトークライブハウスなどで頻繁に怪談イベントを打つうちに怪談も増え、怪談の語りのスキルも身についていきました。
その頃は心霊スポットにもたくさん行きました。「怪談師になるぞ!」と思ってなったわけではなく、大好きな怪談を語る活動を続けるうちに、いつの間にかなっていたという感覚です。

3:怪談師をやっていて楽しいところを教えてください
人と怪談を語り合う場にたくさん巡り合えるところに尽きます。
怪談って怖い・暗い・地味なものととらえられがちですが、実はとっても楽しいものだと思っています。放課後に教室に残って、仲の良い友人たちとヒソヒソと内緒話をしているような、修学旅行で夜更かしをして、居合わせたみんなとコソコソと好きな子の話をしているような、そんな何だか秘密を共有しているようなドキドキする「共犯感」を味わえるもの。怪談師をやっているとそういう場にたくさん恵まれます。イベントにおいても、語り手と聞き手の間に生まれる一体感が楽しい。
同じ時間を共有して、楽しんで、帰っていく。いつも「あー、楽しかった。また遊ぼうね」といった感覚でお客様を見送っています。

4:怪談師をやっていて苦しい、しんどいところを教えてください
新しい怪談に巡り合えない時です。
自分が主にやっている怪談は「実話怪談」というジャンルで、実際に怖いこと、不思議なことを体験した本人、もしくは本人に近しい人に取材し、その取材した話を怪談の型に構成して人に語るという作業をしています。
ですので、ある意味狩猟の感覚で、怪談に出会える時もあれば、全く出会えない時もある。これは運によるものでしかなく、狙って新たな怪談に出会えるものでもないのです。
自分はもっぱら夜に出歩いてバーなどで知り合った人から聞くというスタイルですが、これも決して確実な方法ではなく、少し仲良くなってから「……ちなみに、怖い話知りません?」と尋ねると、おかしな人を見る目を向けてくる人もいます(実際におかしな人なのですが)。
一方、一晩で大量に怪談が収穫できる時もあります。
新しい怪談に巡り合えないと苦しく、しんどいです。でも巡り合えた時の感動や喜びは素晴らしいです。

5:尊敬する怪談師さんは?その理由やエピソードを教えてください
稲川淳二さん。神様です。自分が怪談をやるきっかけになった方です。
物心ついた頃からTVの画面で「怖い話をする人」と言えば稲川淳二さんで、夏休みの時分には姉と一緒に頭から毛布をかぶり、稲川さんの怪談を震えながら聴いていました。
幼少期を過ごした80~90年代はオカルト番組も多く、そのような番組を観て育った自分はUFOや都市伝説に大ハマりでしたが、最も恐れ、そして心酔していたのは稲川さんの怪談です。稲川さんの怪談は子供の頃の自分の想像力を養ってくれた、と言っても過言ではありません。
夜寝る前にTVで稲川さんの怪談を聴いて震える。そして、夜寝ている時に、廊下から聞こえる床がきしむ音、天井のしみ、風で揺れるカーテン、カタカタと音を立てる窓、それら全てが「この世のものじゃない」何かがやっているのでは?などと考えてまた震える。
怪談脳というものがあるのであれば、ある意味、自分は稲川さんに影響を受けてこの怪談脳を発達させてきたと考えます。

6:怪談の魅力を教えてください。
前述の「怪談師をやっていて楽しいところ」と重複しますが、みんなでドキドキを共有できるところです。
怪談は1人じゃできないもので、語り手と聞き手がいて初めて成立するもの。お互いの話を聞きあって、怖がって、聞き終わった後に「それはどういうことなんだろう?」などと、その怪談で起きた怪異の原因を考えて「あーでもない」「こーでもない」と言い合ってまた楽しむ。怪談師じゃないと怪談を語ってはいけないなんてルールはないので、怪談は「みんなのもの」だと考えています。実は気楽で、誰でも楽しめて、共に時間を共有できるもの。それが怪談であり、怪談の魅力だと思います。
そんな怪談の魅力を多くの方に知っていただきたいな、といつも考えています。


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