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今夜すべての鄙で

地元にある好きな居酒屋さんが明日でお仕舞いらしい。今日、用事で実家に帰ったので寄ったら、主人にそう言われて悲しかった。

鄙には珍しいようなおしゃれで、野菜が美味しいお店だった。ここで初めて知った食べものもいろいろあった。

東京から帰ってきた友だちを連れて行ったら、地元に求めてるのはこういうのじゃないと言われてしまったこともあった。でも地元にいる身としては近所にこういうお店があることが嬉しかったのだ。

実家からへとへとになって会社へ通っていた頃、真っ直ぐ帰るのも面白くないとな思ったときに、駅から家の間にここがあることが有り難かった。大切な場所だった。

次はどちらで?と聞いたんだけど、主人はもうお店はやらないと言う。本当に悲しい。

今日食べたおでん、タコのカルパッチョ、すじ煮込み。(どて煮ではなく煮込み。味噌で煮たやつじゃないのだ)どれもこれもおいしかったです。また来ますと言えないのがとても残念です。ここの味は古傷のように僕の中にずっと残ると思います。

世界中で起こっていることなんて自分には関係ないと思い込んで暮らしているのに、否応もなくこれからもこういうことがあるんだろうな。じゃあ僕は誰にどうやって残るのかしら。しかしそんなことは知る由もないのだ。

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