オイスターズの『みんなの力』という演劇を観て
明日は演劇の友だちとの飲み会があり、嬉しい。
劇作家の平塚直隆先生のワークショップに集まって演劇を教わり、演じた老若男女が入り混じり、今年も演劇の話をするのだ。
僕の今年の演劇との関わりかたのことをいうと、去年のワークショップ以来演劇はしていない。ただただ面白い演劇を観て過ごしてしまった。いわゆる「観上手」になりたいなと思って何本も見て、ろくに感想も言えずにただただ圧倒されつづけてしまった。
ところで『みんなの力』の話をしたい。
『みんなの力』とは平塚先生の演劇の題名なのだけれど、この演劇はあなた達とかぼく等の話ではない。この演劇を観てウンウン考えたのですが、「ぼくら」とか「あなたたち」とか「みなさん」みたいなものを置き去りにした「みんな」が生まれてしまう瞬間があるなと思った。
『みんなの力』を観終わってから真っ先に思ったのが、これは演劇というよりスポーツだ!という感想である。演者がそれぞれ演技に巧もうとしても、脚本の運動に飲み込まれて「とにかく一丸となって乗り越えよう!」みたいにさせる企みが『みんなの力』にはあったと思う。
だってセリフが全部しりとりなんだぜ。
大縄跳びとかムカデ競争とかの団体競技みたいに、前の人のセリフを聞いて、1番いいタイミングでその尻をとって繋げて行くというスリリングな運動のなかで、「私は誰か」と考えてたとする。(しましょう)
その瞬間に、次の人のセリフに繋がる語尾を正確に言わねば!と思う(思ったとしましょう)
その状況で演技に巧むことできる?この仕掛けで俳優が全部むき出しになる(と思いました!)
そういう運動が次々に延々と繰り返され、それを只のゲームだと思わせないように、次から次へと役者を追い詰めるようなルールが継ぎ足されていく。それを観ていてぼくは、
「あの子の声すきだな。」
とかいう役者個人に対する気持ちがドンドン薄れていき、劇作家平塚直隆がこの「演劇」で企んだことに飲まれて、
「このうねり!このグルーヴ!」
となってしまったのです。
その、『みんなの力』っていう題名を感じた瞬間に、なんかもう一方的にすごく感動してしまいました。これからも一生ついていきます。
今日はあんまり酔っ払って喋りすぎないようにします。よろしくお願いします。
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