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俺とキムタク

キムタクこと木村拓哉さんはカッコいい。
まだ世の中にイケメンという言葉が出てくる前から、キムタクはカッコよかったのだ。
アラフォーの俺にとってそれは疑う余地のない事実だ。

世間では「何を演じさせてもキムタク」と知ったようなことを言う人がいるが、的外れな意見だ。
ていうか全俳優そうじゃん。

西田敏行はいっつも西田敏行じゃん。
ウーピーゴールドバーグだっていっつもウーピーゴールドバーグじゃん。
なんでキムタクにだけそんなこと言うの?

 

台所の塩が切れた。
気づくと、岩塩みたいなのが補充されていた。
荒くて料理には使いにくい。

奥さん「これはキムタクが使ってる塩だから。キムタクがステーキに掛ける塩だから。」
俺「キムタクの塩・・・?」

以降我が家でそれは「キムタクの塩」と呼ばれ、確かに使いにくいが有難いものだということになった。
キムタクの塩で握るオニギリは格別である。
 


娘の習い事を待つ間、カフェでコーヒーを飲んでいた。
隣に爽やかな20代のカップル。彼が急に切り出す。

「ロングバケーションって見たことある?世の中で1番面白いドラマなんだ」
これを茶化す感じでなく、本当に心から感動したと彼女に伝えている。彼女も真剣に聞いている。

「最近のドラマが面白くないのはきっと、面白い題材はキムタクが演じ切ったからだと思う」
「もっとキムタクのことを知りたいから、〇〇〇〇のサブスクに入ろうと思っている」

アラフォーおじさんは隣で思った。
日本の未来は明るい。
こんなにも真っ直ぐな青年がいるのだから。
汚れなき彼の眼には、本当に美しいものとしてキムタクが映っているのだ。

みんな本当はそうだったのだ。
昔はそういう気持ちでキムタクを見ていたのだ。いつからキムタクをカッコいいと言わなくなったんだろう。
いつから業界人ぶってテレビの裏側ばかり気にするようになったんだろう。

みんな素直になろうよ。
俺はロンバケもヒーローも見たことないけど。
なんならSMAP×SMAPも見てなかったけど。
でもいいじゃないキムタクはカッコいいってことで。
そう思いながらキムタクの塩で作った浅漬けを食べた。

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