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「世界カワウソの日」の裏側

 ZOOMOには、昨年4月より企画営業広報という部署が新設されました。
お客様が入園するのに必要なチケット販売、園内で快適に過ごしていただくために欠かせない、食事の提供、グッズの販売などを担うほか、園内外で行う事業やイベントの企画から、教育プログラムの立案や研究、動物や動物園のことを発信する広報の業務まで広く行う部署で、これまで飼育係をしてきたスタッフ2名と、券売所、ZOOMO食堂、ZOOMO SHOPのスタッフで構成されています。
 動物園というと飼育係や獣医さんのお仕事は想像がつくかもしれませんが、「企画や広報ってどんなお仕事をしているの?」と思われる方もたくさんいらっしゃることでしょう。
 このブログでは、企画営業広報のスタッフが取り組んでいる事業や、飼育係以外の視点からみた動物園の魅力を発信していけたらと考えています。

 さて今日のお話は、先日5月26日(水)に行われた「世界カワウソの日」のお話です。
 みなさんは「世界カワウソの日」というのを聞いたことがあるでしょうか。世界中には様々な動物の現状や保全活動について考えてもらうために定められた「世界〇〇の日」というものが数多くあります。例えば「世界キリンの日」「世界ライオンの日」など、動物園で飼育されている動物に関する日もたくさんあります。

 「世界カワウソの日」とは、世界のカワウソ類を取りまく危機的な現状を多くの人に伝えるために、IOSF(国際カワウソ保護基金)が定めた日で、毎年5月の最終水曜日に世界中の動物園水族館があの手この手でカワウソたちの現状と保全活動の必要性を伝えています。

カワウソ2

 その愛くるしい姿から近年日本でもメディアなどで目にする機会が増えたカワウソの仲間。その影響もあってか、東南アジアに生息するコツメカワウソはペットとしての需要が急増し、輸出を目的とした密猟などにより30年で生息数が30%も減少、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「危急種」に指定され、日本での人気やメディアによる取り上げられ方が密猟や密輸を助長するとして、国際的な批判も強まってきています。

 ZOOMOは動物の”かわいい”という側面だけを切り取って安易な飼育を助長することなく、正しい知識や情報を動物園が発信していく必要があると考えているので、この機会に一人でも多くの人のカワウソをめぐる問題について考えてもらいたいと思い、企画を実施することにしました。

カワウソ1

 ZOOMOでは、飼育係や獣医師、企画営業広報のスタッフもそれぞれイベントや企画の担当を割り振られています。「世界〇〇の日」の担当を今年任せられたのはなんと、4月に入社したばかりの新人飼育係でした。
 しかし、ここで1つ問題に気が付きます。今年から動物たちへのケアをより一層手厚くするために毎週水曜日と木曜日を休園日にしたことから、「世界カワウソの日」当日は休園日にあたってしまい、来園者に向けてガイドなどを行うことが出来ないのです。
 当日ではなく前後の週末にイベントを開催するか、他に何か効果的に発信できる良い方法はないか、などと検討をする中で、ある日担当者から「ライブ配信でガイドを発信することは出来ませんか?」と相談を受けました。

 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴って、日本各地でも動物園水族館の臨時休園が相次ぎ、感染拡大を防止するために外出を控えるよう呼びかけられている状況の中、動物園に行きたくてもなかなか足を運ぶことが出来ない方が多くいることや、開園しても来園者が少ない、そのような状況でも動物園の掲げる役割を達成するために何が出来るかを考えていく中で、多くの園館がSNSを活用した情報発信に力を入れたり、オンラインでのサービスや教育プログラムに積極的に取り組むなど、この1年で動物園水族館にも大きな変化がありました。
 当園でも10年近く前からSNSを積極的に活用した広報や教育普及活動に取り組み、昨年からはオンライン講演会の開催なども行ってきましたが、近年他園館が取り組んでいるようなライブ配信には手を付けていませんでした。

 その理由の一つが、園内の電波状況の悪さです。

カワウソ3

 ZOOMOは盛岡市の市街地から車で30分ほどの場所にあり、里山の中に作られた園内には林や草地、沢や池など豊かな自然環境が残っているのが特徴ですが、市街地近郊とはいえ山の中に立地するため、林の中や尾根の陰、建物内に入ると著しく電波が悪くなり、オンライン決済やテレビの生中継などにも多くの制限があります(これらについてはリニューアルの際に改善できるよう検討しています)。
 そんなこともあり、ライブ配信は様々な発信手段の中でも優先順位を上げられずに二の足を踏んでいたわけですが、新人飼育係がせっかく自発的に提案をしてくれたことですから、なんとか実現してあげたいと考えたわけです。

 さて、そんなこんなで5月26日にZOOMO初のライブ配信をinstagramで行いました。初の試みでしたので、実施に向けて電波や音声のチェック、新しい機材の導入、イベント担当者、カナダカワウソの飼育担当者と内容の検討やリハーサルなど、準備を充分にして臨みました。
 構成や進行、話し方、カメラワークなど課題もたくさん残りましたが、100名を超える方々にご視聴いただき、質問募集にもたくさんの書き込みをいただくことができて、初回としては成功と言って良い出来だったのではないでしょうか。

※ライブ配信のアーカイブは、6月2日までinstagramで限定公開中です。その後はサブスクリプション型動画配信サービス「ZOOMO ARCHIVE」でご覧いただけます。

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(初のライブ配信で緊張した面持ちの新人飼育係)

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(ガイド中のカナダカワウソ飼育担当者)

 今後「世界○○の日」やそれ以外の企画でも生配信をしていけたらと考えています。
 なかなか動物園に足を運ぶことが出来ない方々や、県外からZOOMOを応援して下さっている方々にも、動物たちのことや彼らが抱える問題、人との関わり、動物園の取り組みなどについてこれからも積極的に発信を続けたいと思いますので、ぜひTwitter、Facebook、instagramなどのSNSや、LINE、noteをフォローしていただけたら嬉しいです。

 長くなりましたが、今回のお話はこれでおしまい。次回もお楽しみに!

企画営業広報担当 荒井