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日本初の動物園オンライン職場体験

 以前の投稿でもお話しましたが、世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、全国の多くの動物園水族館が休園を余儀なくされ、動物園に行きたくても行くことが出来ない状況になり、県を跨いでの移動や人を集めて行う事業を実施しにくい状況になったことから、環境教育や保全教育の場として機能していくために、オンラインでの事業や教育プログラムに取り組む園館がこの1年で急激に増えました。

 今日のお話は、そんな厳しい状況の中で新たなチャレンジとして実施した、国内初の動物園オンライン職場体験についてお話します。
 この事業は学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校・N中等部の選択制職場体験として昨年実施しました。N高等学校はかねてより様々な民間事業者や世界のトップランナーたちとカリキュラムを作ってきた実績があり、選択制の職場体験でも「マタギ体験」や「老舗和菓子屋の商品開発」など他校では考えられないような実践的で興味深いカリキュラムを行ってきました。
 そんなN高等学校と実際に相談を始めたのは令和2年の夏頃。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって実地での職場体験ができなくなってしまった中で、より魅力的で生徒たちの自発的な学びをサポートできる新しいカリキュラムは出来ないかということで検討が始まりました。

N高校

 ZOOMOが参加する生徒たちに感じてもらいたいこと、考えてもらいたいことをN高等学校のスタッフにぶつけ、それを最大限実現するための仕組みやアプローチについて議論してプログラムを構築していく作業はとても創造的で、私たちにとっても多くの学びがありました。
 
 さて、出来上がったプログラムはといいますと、動物園の歴史と世界の潮流、日本の動物園の課題とこれからの在り方、ZOOMOの再生事業とリニューアル、動物福祉と環境エンリッチメントについての座学をオンラインミーティングアプリで4回にわたって行いながら、メッセージングアプリやホワイトボードアプリを駆使して細やかなフォローとグループワークを行い、最後はグループごとに動物の福祉に配慮したイベントの立案や環境エンリッチメント案を作成してプレゼンをするというもの。約3週間にわたるプログラムで、各グループにはZOOMO職員とティーチングアシスタントが一名ずつ入り、議論やプレゼン作成のサポートをしました。

N校

 動物学を学ぶ大学生や専門学校生ではなく、動物や動物園に興味を持って集まってくれた高校生中学生に対して、これだけのボリュームのカリキュラムを行って、ついてくることが出来るのだろうかという不安は少なからずありましたが、そんな心配が杞憂に終わるほど、参加した生徒たちは真剣に学んで、多くのことを感じ、自ら考えて、行動してくれました。

 最終日に行った各グループのプレゼンは私たちの想像をはるかに超える仕上がりで、日を重ねるごとに成長していく生徒たちの姿を間近で見ていたので非常に感慨深いものがありました。
 オンラインでつながった年齢も住んでいる場所も違う初対面の生徒たちが、自ら考えて行動をしてリアルな仲間になっていく姿、コミュニケーションが苦手だと言っていた生徒がみんなの前で意見を言えるようになり、最後は名残惜しいと言いながら笑いあっている姿、動物や動物園のことをもっと知ってもらいたいと思って企画したはずの事業は、生徒たちに育てられて本来の目標以上の価値を得られたと感じています。
 たった3週間でしたが、生徒たちの心や行動が変わる様を間近で見ることが出来て、私たちにはこんなにも人の気持ちを動かす力があるのかと、改めて自分たちの仕事に誇りと責任も感じることが出来ました。

 日本初の動物園オンライン職場体験の開催に一緒にチャレンジして下さったN高等学校・N中等部のスタッフのみなさん、サポートをしてくれたティーチングアシスタントのみなさん、参加をしてくれた生徒のみなさん、力を貸してくれたZOOMOの飼育係にあらためて心から感謝します。ありがとうございました。

 ZOOMOはこれからも動物と人とのより良い関係を目指して、教育や研究活動に取り組んでいきます。ぜひ動物だけでなく取り組みにも注目していただけたら嬉しいです。

企画営業広報担当 荒井