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グラントシマウマが仲間入り!

6月10日に広島市安佐動物公園から“エレナ”5歳と“ミイハ”1歳、2頭のメスのグランドシマウマをZOOMOの新しい仲間として迎えることが出来ました。
グラントシマウマはシマウマの中では日本の動物園で最も多く飼育されている種で、19園館で123頭飼育しています(2020年現在)。シマウマの仲間は当園で飼育中のグレビーシマウマの他にヤマシマウマ、サバンナシマウマの3種がおり、グラントシマウマはサバンナシマウマ全5亜種の中の一つで、最も体が小さく、縞模様の間隔が広いのが特徴です。
 
当園におけるこれまでのシマウマの飼育経過について紹介します。当園では1991年のアフリカ園オープンに伴い、チャップマンシマウマ(サバンナシマウマの亜種)オス1頭、メス2頭の飼育を開始しました。20年の間に5回繁殖に成功しましたが、2012年には高齢のメス1頭(2012年死亡)となったため、新たな個体を探しましたが見つかりませんでした。代わりに希少種であるグレビーシマウマの飼育の打診がありました。グレビーシマウマは野生で絶滅の危機に瀕しており、国内の動物園では当時7園館で20頭しか飼育しておらず、国内での飼育個体数を増やすため、公益社団法人日本動物園水族館協会の生物多様性委員会が新たな飼育園館を探していました。当園としてもチャップマンシマウマの導入が難しかったため、新たな挑戦として希少種の繁殖を目的としたグレビーシマウマの飼育を2012年より開始しました。2017年に初めての出産がありましたが難産の為、子供は死亡してしまいました。2018年にも出産があり、生まれた子供(ラッキー・オス)は2020年から野毛山動物園でお婿さんとして過ごしています。しかし、2021年にグレビーシマウマのメスが死亡しオス1頭になったことから、国内でグレビーシマウマのメスの補充を模索しましたが難しく、今後のシマウマの飼育展示計画について検討しました。当園のリニューアルに伴い、アフリカのサバンナをイメージした、シマウマ・ダチョウ・シタツンガの混合飼育を実施するために、他園で混合飼育の実績が多く、また導入が可能なグラントシマウマを飼育することとしました。
 国内でのグラントシマウマの飼育状況を鑑みて広島市安佐動物公園よりメス2頭の搬入が決まりました。搬入日は先方の都合はもちろんのこと、当園のリニューアル工事の進捗状況、何よりもシマウマにとって負担が少ない時期を選ばなければなりません。なにせ安佐動物公園からZOOMOまでの1300km以上、トラックで15~16時間の長旅です。安佐動物公園の担当者や輸送業者と相談を重ね、本格的に暑くなる前の時期、尚且つ走行するのは主に夜間にすることとし、日程調整をしました。

搬入作業
輸送箱の中の“エレナ”

輸送は涼しくなる16:00頃に安佐動物公園を出発し、暑くなる前の10:00頃にZOOMOに到着しました。出発後に輸送業者から若い“ミイハ”の落ち着きがないと連絡をもらっていたので、担当者としては気が気でありませんでした。さっそく輸送箱の隙間から覗いてみましたが元気な様子でまずは一安心。というのもシマウマは神経質な動物なので輸送中の事故も起こりうるからです。輸送箱から部屋に移動させる作業が残っているのでまだ気は抜けません。輸送箱から飛び出して部屋の壁にぶつかるという事故事例も報告されているため、部屋の中にはクッション材を用意して輸送箱の扉を開けます。まずは年上の“エレナ”から。すると・・・トコトコと普通に出てきました。顔に傷があるものの大丈夫そうです。次は落ち着きのなかった“ミイハ”です。いざ扉を開けると・・・トコトコと普通に出てきました。こちらも顔に傷があるものの大丈夫でした。担当者としては十分に注意をしていたので、あっさり終わり拍子抜けしたのも事実です。

搬入直後の“エレナ”
搬入直後の“ミイハ”

その後、2週間の検疫を終えるまで外に出せませんでしたが、外に出してからはキリンの“ユン”とも顔合わせを済ませ、柵越しではありますが仲良く過ごしています。

柵越しに顔合わせを済ませたキリンのメス“ユン”とグラントシマウマのメス“エレナ”と“ミイハ”

今後は健康で長生きできるようにトレーニングに励んでいきたいと思います。
 また、現在飼育中のグレビーシマウマの“ラガー”は、今後、グラントシマウマとの比較展示を行いますが、繁殖実績もあることから、借受先である多摩動物公園と協議し返還もしくは他の動物園への移動も検討していく予定です。

グレビーシマウマの“ラガー”

リニューアルオープン後に皆さんがシマウマたちを見て笑顔になる日が待ち遠しいです。オープンしたらぜひ会いに来てください。
(シマウマ担当 齊藤)+