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冬の恒例作業"高病原性鳥インフルエンザ対策"

 昨年の10月から11月にかけて、園内で飼育している鳥類の獣舎の高病原性鳥インフルエンザ対策をしました。
 現在、鳥類を飼育している獣舎は、30年以上も前に建てられたものです。高病原性鳥インフルエンザが日本で初めて発生したのは1925年との記録がありますが、流行が見られるようになったのは2000年代に入ってからの事で、園の開園当時はあまり認識されていない感染症でした。
 そのため、当然、鳥類ケージも、鳥類が逃げないため、鳥がぶつかってもケガをしないようにという考えが中心に設計されており、現状のままでは、高病原性鳥インフルエンザの感染防止対策は十分とは言えません。
 高病原性鳥インフルエンザは、ウイルスに感染した野鳥の糞や、その野鳥の糞を踏んだネズミなどが獣舎内に入ることで、他の個体に感染します。元々はカモ類などが渡りの際にウイルスを運ぶため、渡り鳥がやって来る前に対策をしなければなりません。

鳥インフルエンザ対策 (1)

鳥インフルエンザ対策 (3)

 対策としては、園内で飼育している鳥たちと野鳥の接触を完全に避けるために、スズメ以下の大きさの野鳥でも獣舎内に侵入できないようにする必要があります。そのため、園では、鳥類の獣舎のフェンスに1.5㎝以下の目の細かいネットを張り、糞の落下・侵入防止のために天井に屋根(シートや波板など)を設置したり、ネズミが侵入しないよう獣舎の隙間を埋めたりする工事を飼育係総出で行いました。

防風ネット (2)

防風ネット (3)

 天井にシートを張る作業では、シュバシコウやニホンイヌワシの飼育ケージは高さが5m位あるため、高所が得意な飼育係たちが率先してシートを張りました。

イヌワシ屋根シート張り1

イヌワシ屋根シート張り2

 また、リニューアル工事も重なったため、ヨーロッパフラミンゴとコフラミンゴ、エミュー、ハクチョウたちは獣舎を移動し、移動先を改修する工事を行いました。ちなみに、ヨーロッパフラミンゴとコフラミンゴはキリン舎、エミューは旧ラクダ舎、ハクチョウは子供動物園へ移動し、少し狭い部屋にはなりますが、新しい獣舎ができるまでのしばらくの間、過ごしてもらうことになります。

エミュー引っ越し工事①

エミュー引っ越し工事③

 最後に、高病原性鳥インフルエンザウイルスが広がる要因には人の移動によるものも考えられます。普段から獣舎の入り口には消毒槽を設置し感染症対策を行っていますが、この時期の鳥類の獣舎には、獣舎の入り口の他にそれぞれの鳥の部屋の入口にも消毒槽を設置して、2重に消毒を行っているほか、なるべく特定の職員が飼育作業をするなど、万全の体制で飼育作業にあたっています。

鳥類舎・猛禽類担当:伊藤