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削蹄講習と乗馬講習

 盛岡市動物公園ZOOMOでは自主的に動物たちのため研修や講習を行っています。今回は削蹄講習と乗馬講習についてお話したいと思います。

 まずは削蹄講習。
 削蹄講習はキリン、ポニー、ウシなど蹄をもつ動物の担当者や獣医が岩手大学の大動物病院内で、標本を使って削蹄の練習をさせていただきました。キリンの“ユズ”や“リンタ”も蹄の変形や過長蹄(伸びすぎてしまうこと)が原因で亡くなっていることから、蹄をケアする技術をもっと高めたいと思い、専門の先生に依頼して実現した講習です。

 第1回目は、蹄の基礎的なことを学びました。先生にアドバイスをもらいながら実際に削蹄し、その後大学にいるウシに協力してもらい、ウシを枠場(削蹄の際にウシを保定する時に使う道具)に入れて枠場の使い方、削蹄鎌などの使い方を教えていただきました。
 正しい削蹄の技術を専門分野の先生から教えて頂くという貴重な時間を過ごすことができました。蹄の形、炎症の起き方などによっての削り方、その際道具を使い分けることなども教えていただき、自分が想像していたよりも削蹄は単純ではなく個体によって違ってくるものなんだなと改めて削蹄の難しさを感じました。

岩大 枠場

 第2回目は前回のおさらいをした後、ひたすら削蹄練習です。削蹄は上手に削るコツをつかむのはもちろん、道具の使い方やどこをどれくらい削るのか…など、何度も練習を重ねて体に覚えこませることが大切です。削蹄中の姿勢は常に中腰で下を見続けるため、長時間となるとかなり大変で、帰りはみんなクタクタでした(笑)

削蹄講習

 そして11月1日、以前から治療を行っていた“うーたん”の右後肢の症状が悪化してしまったため、急遽鎮静をかけて削蹄と治療をすることになりました。
 なぜ鎮静をかけるかというと、本来なら“うーたん”も枠場に入れて削蹄を行いたいのですが、ZOOMOには枠場がありませんでした。先生のご厚意で岩手大学から枠場を頂いたのですが…“うーたん”はホルスタインの中でも背が高く体が大きい個体なので、その立派な体格は頂いた枠場には大きすぎて入らなかったのです。
 今までは、寝室内で頭絡やロープを使い、人力で後ろ足を上げて蹄を見ていましたが、“うーたん”が暴れてバランスを崩したりすると、“うーたん”にとっても作業中の飼育係にとっても危険であり、安全に、かつしっかりと削蹄やレントゲン撮影などをするのは困難と考え、鎮静をかけることになりました。
 昨年9月に先生に来て頂き削蹄をした時は、全ての蹄を先生一人で削蹄して下さったので倍以上の時間がかかり“うーたん”と先生への負担が大きかったのですが、今回は削蹄講習の甲斐あって、講習を受けた職員みんなで手分けをして削蹄し、スムースに作業を進めることができました。現在、“うーたん”の右後肢に痛みはなく、しっかり歩けています。

うーたん鎮静

 いつ、何が起こるか分からない動物たち。何が起こっても対処していけるようこれからも勉強が欠かせません。

 次に乗馬講習です。
 現在、ZOOMOでは3頭のポニーを飼育しています。開園期間中の土曜日、日曜日、祝日には乗馬体験を行っていました。開園から今までに数件の落馬事故もあったことから、令和5年リニューアルオープンに向けて、改めて乗馬の仕方や鞍のつけ方、馴致の仕方などを見直すために、「馬っこパーク・いわて」の職員に来ていただき、出勤者全員で講習を受けました。
 動物公園には過去に何度か改訂をしてきた乗馬対応時のマニュアルがあるのですが、閉園してから職員全員で見直しを行いました。その際に職員から出た質問について講師の方と質疑応答をしたり、実際に私たちが鞍を付けるところや引き馬をしているところを見てもらい細かくアドバイスを頂き、間違っているところは指摘してもらいました。

馬っこパーク研修 (1)

 教えていただいたことを無駄にせず、ポニーの乗馬に参加されるお客様はもちろん、ポニー、職員みんなが安全に乗馬タイムを過ごせ、それぞれ3頭の性格の違いや特徴を理解しながら、ポニーたちの魅力もたくさんの方に知ってもらえるように頑張っていきたいと思います。

(ポニー・ロバ担当:唐芳)

ポポ

カズヤ

モモ

(上から“ポポ”、“カズヤ”、“モモ)

※「馬っこパーク・いわて」 
 普通馬による乗馬レッスンや幼児、小学生の課外授業として馬の世話をしながら体験乗馬をするメニューやポニーを連れて各種イベント、学校への出張もしています。また、心身に障害をお持ちの方を対象としたセラピー乗馬も行っています。

〒020-0605
岩手県滝沢市砂込389-18
℡ 019-688-5290