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ICM下のショートはどこまで耐えるべきか

MTTをプレイしていると、多くの場合一度はショートスタックで戦うべきシチュエーションというのが巡ってきます。
そのような中、特に20BBを切ってきた位の段階からは一般的にショートスタックといわれ、Power Number表に代表されるような何かしらのPreflop Solutionに基づき、ALLIN or Foldの戦略を取っていく形になりがちだと思われます。

しかしながら、ここにICMが絡んでくるとどのように戦略を変化させるべきなのでしょうか。
今回はICM下のショートスタックに焦点を当て、様々な場面でALLINレンジがどのように変化するかを紐解いていこうと思います。

▼Power Number表/Nash ICM Calculatorの問題点


まず最初に、筆者が考えるPower Number表の課題について言及しておきたいと考えます。

Power Number表は、MTTプレイヤーであれば多くの方が見たこと・あるいは使ったことがあると思われますが、以下のようなシンプルなレンジ表を指します。

一般的に用いられるパワーナンバー表

このPower Number表は、M値(自分のスタック÷ブラインドが一周する間に必要となるチップ数)×自分の後ろにいる人数で導かれた数値(Power Number)を基準にして、その数値が本表の各ハンドに割り当てられた数値を超えていればALLINが肯定される、というものです。

しかしながら、この表はそもそもの計算誤差もある程度存在した上で、ICMやスタックの大きさ(どのスタックからオールインができるか)という点が考慮されていないレンジになります。

そのため、MTT初級者が使うには非常に優れた簡易戦略ではありますが、やはり本来のあるべきからはやや乖離がある指標になるわけです。


さて、もう少し勉強している人になってくると、Nush ICM CalculatorやICM baseのようなツールを用いられる方もいらっしゃるかもしれません。

これは非常に優れたツールで、特に前者は無料で使えながら、全員のスタックサイズ・プライズプールをも計算に入れて、最適なオールインレンジを計算してくれます。

Nash ICM Calculator - HoldemResources.net

ただし、これも限界があるところでは、①オールインか降りるかの2択で計算していること(刻むレンジが存在しない)、②10max以上には対応していないこと(Final Tableのみの対応)という点でしょうか。

そうすると、ある程度残り人数がいる段階でのショートスタック戦略は、スタックが自由に変化させられない問題はあるものの、GTO wizardを用いて検証していくのが最も適当なのではないかと思い、本記事ではそちらをベースに検証していきます。

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