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会社辞めて暇になったからポーカー専業になってみた


以前書いたNoteのアフターストーリーです。

是非こちらも読んでみてください。

導入

私事ですが、先日開業届を出して個人事業主となってきました。

今「「たまたま」コロナの影響で」仕事をしていないので、前向きなきっかけではないのですが実質専業ポーカープロ状態となっています。


ポーカープロになりたい!という若い方もおられるかもしれませんし、既にポーカープロの方も、それにプライドを持っている方もおられると思いますが、正直なところ自分はポーカーで食べていくと表立って言うことに恥ずかしさがあり、本心の大きな部分で"エリート"ビジネスマンとして社会で活躍したいという気持ちがあります。

そういう気持ちはあるのですが、

本心のもう片割れに、体力的にも精神的にも1番万全の、現在28歳の時期に、ポーカー1つにエネルギーを向けてみたらどこまでいけるかを確かめてみたい気持ちもあり、一般社会に軸足は残しつつとりあえず1年程、できる限りポーカーに深く潜ってみようと思いました。

そういうわけで、

コロナが落ち着くまではオンライン専門、コロナが落ち着いたら長期でライブカジノに行ってみようと思っています。

この記事では、今年の1月からスターズで50万ハンド程、N8も入れたら70万ハンド程打ったのでそこで得た気づき等を共有できればと思います。


下図スターズのみ

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道半ば

2020年始まってからの5か月は、自分の中で人生で1番ポーカーに向き合っている期間になっています。

ぼくの人生の中で、ポーカーと真剣に向き合い始めたのは2019年の頭辺りからです。きっかけは間違いなくPiosolverを購入したことですね。


自身のポーカー史を遡れば、

ポーカースターズのサイトに登録したのは2015年1月2日のことです。

それから2017年終わりまでの3年間は所謂レクリエーショナル勢でした。

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これといった勉強をしているわけでもないのに、「このレートでこれだけWinrateを出せれば生活できるかもしれない」などと皮算用ばかりして、下振れて計算が狂っては激高したりしてました。

1度だけ海外のコーチングサイトでプレイを修正する機会があり、それ以降50NLzは何とか勝ち越せたけど、100zはちょっと厳しい程度で留まっており、仕事も私生活もそれなりに忙しかったため2017年終わった辺りからポーカーを2年近くやらない期間がありました。


<復帰のきっかけはリリアンNote>
2019年初めにとあるきっかけでポーカーに戻ってきたのですが、実はそのきっかけはリリアンさんのNoteでした。

なにかのきっかけでリリアンさんのNoteを拝見する機会があり、Piosolverなるものをそこで初めて知ったし、ポーカーの研究というものの足掛かり・ノウハウを得られました。

そこでTwitterを開設して、真っ先にリリアンさんをフォローし、Piosolverを買い、定期的にポーカーに関する呟きを更新して育ったアカウントがこのアカウントになります。

https://twitter.com/pokersouzirou

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そういうわけで、ポーカーの研究らしい研究を始めたのが2019年頭からになります。

仕事から22時頃に帰宅。

軽く晩御飯を食べたらすぐ寝て、3時くらいに起きる。

3時から出社する8時までZOOMを打つ。

出社する前に気になる部分をいくつかPiosolverを回しておく。

帰宅したら回していたPiosolverを確認し、上に戻る。

2019年はそんな生活を続けていました。


<ブレークスルーの体験>
ポーカーに対するブレイクスルーは、2019年に再開してすぐ起こりました。


人間的な成長がポーカーの成長を飛躍させる。


いきなり精神論のようになってしまいましたが、ポーカーを離れていた2年間、仕事も私生活も忙しく充実しており、理想として思い描く通りの生活を送るための努力をし、精神的にも社会的にも自身が成熟した2年間でした。

その経験がどう活きているのかは分かりませんが、2年前より明らかにポーカーが強くなっており、100zもトントン以上で戦えるようになっていました。

ポーカーはメンタルゲームとも語られる通り、心身ともに健康であることが重要であることが実感できた機会になりました。

ぼくの学生時代を振り返ると、そのときのメンタリティーでは到底25zすら勝てなかったと思います。

泰然と構えていられる余裕や、突き抜けた努力で壁を越えた経験が、(ポーカーに限らず)人生のどこかで力になるのだと思っています。


<停滞している1年間>
そして実を言えば、大きなブレークスルーはそれ以降研究を繰り返しているにも関わらず起こせませんでした。


細かい気づきはもちろんあるし、小さくポーカーの理解が深まった機会は幾度となくあるのですが、どうにも飛躍しません。

しかしながら、よりポーカーに向き合い始めたこの5か月を経て、もう少しで突き抜けそうな感覚がある、というのがこの記事を書いている今になります。


本来なら完璧に突き抜けたタイミングで記事を書きたかったのですが、今回ちょうどいい機会だったので途中経過として執筆させていただきました。

この5か月間の工夫の跡を、少し共有させていただきます。


ポーカーは深い

2017年、ポーカーを知ってから2年程経った時、50zをなんとか勝ち越し100zをトントン程度で済むようになりました。

その時ポーカーのことを大体分かってしまった感覚がありました。

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「これって誰がやっても大きくは変わらないし、大体一緒じゃないの?」

「結局運がどれだけ向いてるかじゃないの?」

「座学で学べることはもう分かった、後はアジャストの仕方だけだな」

そんな感覚でした。


しかし研究を続けていく中で、

今までポーカーだと思って触っていた物は、ポーカーの一片でしかなく、少しずつ見えてきたその器の全貌に、その深さに、改めて慄いています。

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底の見えない器に、一つずつ足場を作って身を沈めていく。
ポーカーを研究するとはそんな途方もない作業です。

しかし、もしもぼくが感じていたような行き止まったような感覚を抱き、足場のかけ方が分からなくなってきたら

1. ポーカーを離れて私生活を充実させること
2. 違うポーカーのゲームをやってみること

この二つをお勧めしたいと思います。
思いもよらぬところから新しい感覚が得られたりするものかなと思います。


余談ですが、ぼくは趣味程度にPLOもPLO5も6+もそれなりなレートでやりましたし、ミックスゲームに関しては齧ったとも言えない程度ですが経験しました。


NLHに関してもHUを集中的にやってた時期もあり、HUの経験で押し引きの感覚が少しばかり理解できたりもしました。

ハイステークスのキャッシュゲームに身を投じた時期もあり、マネープレッシャーの中で1ハンドに対して極限まで集中し続けた経験も非常に有意義なものでした。

なんでもやってみると色々と気づきがありますし、閉塞感を感じだしたら違った経験をしてみるのも面白いかなと思います。


一つ確かに言えることは、「ポーカーは深い」

探求心を失いかけてしまった際には、これだけ忘れずに思っていればいいかなと思います。


試行錯誤

ぼくは100zに上がってから、断続的にですが2年ほどやっており、このレートで通算80万ハンドほどやっています。

しかし未だに突き抜けた感覚はありません。それどころかドンドン強いREGが育ち、追い抜かされている感覚すらあります。

いい加減ブレークスルーしなければいけない時期だと、ヤキモキしながら、なかなか突き抜けられず、試行錯誤を繰り返しています。


試行錯誤の方針として、ぼくは10万ハンド単位で「何らかのテーマ」を決めて打つようにしています。

一度に色んなことを修正しようとすると、全体的なバランスを整えることが非常に難しいので、一つずつ紐解きながら仮説検証を行っていく必要があるかなと思っています。


ぼくはポジション別に見た時にBTNのWinrateに若干のリークがあります。

とはいえ、いったい何を直せばしっくりハマるのか、よく分かっていません。一応、ある程度ポーカーをやってきたため、既にベットレンジの構成の基本的な自身の考えがあり、そのため短絡的に「TurnのCB頻度を上げましょう」等と一言で解決するのはもはや難しくなってきています。

それをするには当然のプリフロップのレンジ構成、フロップのベットレンジ構成を考え直さなければならないからです。

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例えば試行錯誤の跡として、下はぼくのBTNのCB頻度及びサイジングの割合です。

100z 0~10万ハンド

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今年初旬に久しぶりに再開した当初のBTNのCB率をサイジングの割合です。

主に33%のサイズを高頻度に使っており、CB率は標準よりもかなり高い値かなと思います。

ZOOMではあるあるですが、10万ハンドを超える辺りからガクっと難易度が上がります。REGにスタッツを拾われ、アジャストされ始めるからです。

当然この辺りから鬼のようにチェックレイズが返ってくるようになります。

100z 10~20万ハンド

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REGの対応を受け、レンジを若干狭め、ベット頻度を落としサイジングを若干変えました。

CBは主に33%, 50%, 75%のサイズを使いボード毎にベットレンジの構成を組み替えました。

しかしながら、この10万ハンド区画ではあまりしっくりこない結果であり課題も多かったため、次の10万ハンドに向けてまたレンジを調整します。

100z 20~30万ハンド

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この区画ではレンジを広めたうえで、よりポラーに75%ベットの頻度を上げる形で調整しています。
その上で、それぞれのベットレンジの中でどのようにターンのバレルに繋げるかを調整していきます。


勿論2bet/3betそれぞれで分けたうえで、大まかにボード毎の傾向をもとにどういったボードでどの程度のサイズを、頻度を、ハンド選びを検討していきます。

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30万ハンド以降

今現在も調整と検証を続けている最中ですが、まだハンド数は少ないながら、結果としても感覚としても今までで1番合っている状態であり、課題だったBTNのWinrateも上がってきています。

<直近2万ハンド弱>100NLz全ポジション収支

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実感としてはこの数か月の中で、今が一番感覚として良く、このままブレークスルーできればと思う一方、

この上さらにどんな課題を見つけることができるか、この10万ハンドを終えることを楽しみにしている状態です。


課題を全部潰そうとすると、もぐらたたきのようになってしまい全体的なバランスも崩してしまうし、なによりどこから手を付けていいかゲンナリしてしまいます。

どっちみち結果に跳ねるまで相当ハンド数かかるゲームなので、1つずつ検証しながら一歩一歩進むことが結果的に近道になる、かもしれません。


ポーカーを向上させていくうえで、自分の成長が遅いことに苛立ちを覚えることは常です。どれだけやっても報われないのに、自分より若くして、より早くステークスを駆け上がる人達を脇目に、しかしそれでも一歩ずつ踏み進めていかなければいけない。

ポーカーで食っていくことはそういうことだと、身に染みています。

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おまけコラム

下記については特に証跡のない完全なるぼくの感覚なので、そういう考えもあるのねくらいで、コラム的に読んでいただければと思います。

適正VPIPについて

以前こんな呟きをしてみたところ、少しばかり反響がありました。

正直呟きに特に意図はなかったのですが、これに対してぼくがそもそも何を思っていたのかを書いてみようと思います。

例えば参加率を上げましょう、となった時に

・プレイしずらいハンドを無理にプレイする必要はない

・ブラフを適切に混ぜていないとバリューで取れるEVが減ってしまう。

・ハンドレンジが絞られれば、ポストフロップで不利に働く

そんな話はあるかと思いますし、どれも合っていると思います。


それを踏まえて、ぼくの考えを書いておきましょう。

それは「プリフロはスティールが目的」ということです。

言葉を非常に簡潔に書いてしまいました。

特定の局面におけるリンプ戦略は正当化されていますし、当然スティールできなかったときはポストフロップに進むわけでそんな単純な話ではないですが。


プリフロップソリューションというのは何種類も世の中に出回っています。

例えばBTNのオープンが45%のソリューションがあったとして、それはSBがXX%3betしてきて、BBはXX%ディフェンスしてきて、といった情報が絡み合って計算されているわけですね。

であれば、当然実際のSBの3bet率が低ければもう少しオープンレンジを広げることができます。

仮にSBが5%くらいのレンジしか3betしないのであれば50%強のレンジでオープンしてもよいでしょうし、BBも同様に5%程度の3bet率であれば感覚的にはオフスートのよっぽどのゴミ手以外はオープンしてもよい感覚です。


同じことがCOでもMPでもUTGでも、ポジションに関係なく考えられます。

重要なことは、ポーカーにおいては常に頻度が先に決まり、ハンド選びはその後の話になるということです

BTNのオープンが概算60%程度いけると踏んだうえで、Q5oを入れるか93sを入れるかはどちらでもいいんですが、テーブル状況を見たうえでどの頻度でレイズできるか。

簡略化すれば、どの程度スティールの見込みがあるのかを考えることは非常に重要なことです。

そして大体のリークとして、プリフロで3bet打ちすぎの人よりは少なすぎる人のほう多いため、参加率が低いというのはスティールに対する意識が少し欠けているのではないかなと思っています。


そしてプリフロの細かいミスは、この先一生誰にも指摘されません。

あまりに個別の議論すぎるし一概に合ってる間違ってるを論ずることが難しいからです。

ソリューションは前提としてうえで、自分で頻度を考えて適宜レンジを変えていくといった考え方を早い段階から意識して身に着けておくことが結構大事だったりします。


現環境における100zの理論値は10bb/100?

完全なお遊びコラムです。

Piosolverを使って研究していると、これ本当に強いのか?なんて疑問も出てきますよね。
ぼくの感覚からすると、GTOをきちんと理解すると果てしなく強力な武器であり盾となる確かな実感があります。

とはいえ、GTOとはエクスプロイトをし続けた最終ゴール地点であり、それまでの過程を理解していかなければ読み解くことは中々難しいのかなと思います。


では仮に、完全に思考を停止して、Piosolverが出した計算結果をそのまま全てに適応させたらどうなるのか?

こんな妄想をしたことありませんか?
現実的には不可能ですが、すべての局面を暗記すればいいわけで、一つの解答になりますよね。


ぼくの感覚ですが、おそらく今の環境で100zにPiosolverを置くと10bb/100程度出るのではないかなと思います。

自分の今までのハンドとレビューを通して、自分がどれだけPiosolverから乖離してしまったか、それでどれだけPotを落としてきたか・得てきたかを換算すると多分そのくらいの値になるのではないかなと思います。

勿論エクスプロイトが正しくできれば、それ以上も出るでしょう。
そう考えると、まだまだ研究の余地があるなと思わされます。

※数字はあくまでぼくの個人的な感覚として捉えてください。















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