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酪農アレコレ(哺乳編)

子牛の飼育は手がかかります。

人間の赤ちゃんも手がかかるように、哺乳をしている子牛も同じように大変な時期です。

子牛の誕生

乳牛の妊娠期間は280日です。牛の品種によって若干のずれはありますが、だいたい280日前後です。

健康であれば、子牛は生まれてすぐに頭を上げ、30分くらいで立ち上がります。

人間であれば立つのは1年くらいなのですごいですよね。

草食動物である牛は、肉食動物に狙われる可能性があるからです。

ちなみに、母牛は分出後の後産をすべて食べてしまいます。これも肉食動物に悟られないよに、分娩があった証拠を消すための習性だと聞いたことがあります。

初乳がとても重要

生まれた子牛は免疫力がありません。

人間であれば免疫の移行はへその緒を通じて行われますが、牛の場合はそれがありません。

免疫は親の初乳から獲得します。

初乳は通常の生乳と比べ、栄養豊富で免疫グロブリンが多く含まれているので、飲ますことで免疫力を獲得します。

しかし、免疫グロブリンを体内に吸収するには時間制限があり、早く飲ませることが重要です。

分娩後2時間以内といわれています。

免疫グロブリンは腸から吸収されるのですが、24時間たつとほとんど吸収されず、腸管内の入り口が時間の経過とともに閉じていってしまうからです。

そして、この入り口は細菌なども素通りできてしまいます。清潔な初乳でなければ免疫グロブリンより先に細菌が体内に侵入してしまいます。免疫か細菌かの競争です。

さらに品質も重要です。親の初乳といえど、十分に免疫グロブリンが含有していないことがあります。このような場合は、他の母牛の冷凍した初乳や初乳製剤を合わせて飲ましたりして対処します。

まとめると、清潔で高品質な初乳を素早く飲ましてあげることが重要ということです。

初乳を飲ますことができれば一安心ですが、本番はここからなんですね。

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