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薔薇と能楽

 完全に騙されました!

 こちらの「【数量限定】Adoファースト写真集」を一昨日購入した者ですが、実際に送られてきたのはなんと細江英公による三島由紀夫裸体写真集『薔薇刑』(1963年刊)でした!

 確かに顔出ししてないAdoさんが本当に写真集を出すものかと公式情報を確認しなかった私も悪いのですが、しかしいくらなんでも全くの別人の写真集を送ってくるなんてあまりにもひどすぎます! Adoさんのスラリとした美しい肢体を期待してページをめくってみたらそこにいたのはムキムキの三島由紀夫だったなんて……。ショックのあまり半日寝込んでしまいました。そして返金を求めて出品元に連絡したところ、「Adoさんの正体は実は三島由紀夫である」と主張して全く取りあってくれません!
 どちらも〈ブルーローズ隊〉と〈楯の会〉という民間防衛組織の隊長であり、両者ともに高い芸術性を有していること、薔薇と能楽に縁があること、孤独な幼少期を過ごしたこと、海外で評価が高いこと、肖像画で頻繁に血を流していること、寿司が好きなこと(三島は常盤鮨でAdoさんはくら寿司)を理由に、『豊穣の海』で飯沼勲がタイ王国王女ジン・ジャンに転生したようにAdoさんは三島の生まれ変わりで、Adoさんが2025年大阪万博開幕式に登場するのは前世の三島が1970年大阪万博の年に自決したからなのだと出品元は主張してるのですが、あまりにも理屈に無理がありすぎます!
 まず歌唱力が天と地ほどの違いがあります! 三島が唄っている「からっ風野郎」をYouTubeで聴いたのですが、はっきりいってAdoさんの足元にも及びません!
 それから、もしもAdoさんが三島なら、ライブタイトルは『美しい星』の内容からして「マーズ」ではなく「ヴィーナス」なるだろうし、「モナ・リザの横顔」は「聖セバスチャンの横顔」になるはずです。
 そして何より「カムパネルラ」!
 まさか宮沢賢治の正体も三島だと出品元は言い張るのでしょうか。まったく購入者をバカにするのにもほどがあります!
 このことから判るように、Adoさんの正体は三島ではなく、宮沢賢治の亡くなった妹、トシなのです。
 それはAdoさんが小学校の時の夏祭りでじゃんけんに負けて季節外れの獅子舞に噛まれたというエピソードからしても明らかです。あの獅子舞は賢治の愛した岩手の鹿踊りのものだったのです。「ダーダーダーダー、ダースコダーダー、ぎんがぎがのすすぎの中さ立ぢあがる、はんの木のすねの、長んがい、かげぼうし」の鹿踊りのリズムからGigaによる『踊 (Bon-Odo Remix)』は生まれたのです。
 三島もまた妹の美津子を若い頃に亡くしているから出品者は勘違いしてしまったのでしょう。
 そんなわけで本来なら評価は☆ゼロなのですが、『星めぐりの歌』をはじめ星とゆかりの深い宮沢賢治作品をもっと出品者は読んで勉強してほしいという思いから☆一つにしました。

『薔薇刑』のほうは大切に保管させていただきます!

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